タンポポの花
その、勇樹の咲夜ちゃんへの告白日の晩です。
咲夜ちゃん、無事に告白に続くファーストキッスを終えて、そのままお部屋でベッドイン!
アッハンウッフン、ネットリヌットリ、濃厚で熱~い初体験を~!!
……な~んてことには、なりませんでした~。
そこは晩熟な勇樹のことですからね。一気に進みませんね。
残念ながらキス止まりです。
まあ、焦ることは有りません。これからゆっくり愛を育んでください。
多分。多分ですよ。私は咲夜ちゃんの方から勇樹を「食べちゃう」ことになるんじゃあないかと踏んでおります。多分ね……。
で、勇樹が帰ってしまったので、咲夜ちゃんと二人、名木林神社に夜桜見物です。
ここの参道は桜のトンネルになっていて、お花見スポットなんですよ。
今年は開花後の気温が高くてアッと言う間に満開となり、花の寿命が短いようです。
時々吹く風で、桜の花びらがフワ~ッと舞い散ります。とっても綺麗です。
「私ね、桜が満開の夜に産まれたから咲夜って名前なんですって。
桜の象徴、木花咲耶姫様の御名前のサクヤに『咲夜』と当てたんですって。
でも、夜に咲くなんて、水商売じゃないし、幸薄そうで嫌だったけどね」
と、桜を見上げながら咲夜ちゃん。
「へ~。そうなんだ。でも、夜の桜も優美で大人っぽい感じで、凄く綺麗だよ。素敵だし、咲夜ちゃんにピッタリだ」
私の返しに、咲夜ちゃん、視線を私に向けます。
「ハルカちゃん、前に自分の名前の話をしていたでしょう。
あなたは三月の産まれ。だから、これのことなんじゃないかなと私は思うの」
咲夜ちゃんが指差しているのは足元。
そこには黄色い花に交じって一輪だけ白い花を咲かせる白花タンポポ。
「ハルカは、『春の香り』のハルカなんじゃないかな。
その象徴としてのタンポポ。春の訪れを知らせてくれる花の一つ。
タンポポって、ハルカちゃんっぽいよ。踏まれても蹴られても負けずに綺麗な花を咲かせる。そしてみんなの心を明るくする……」
あ……。そ、そうだよ。
私の家の周りに多い白花タンポポ。この近辺では、普通は殆ど見ない種類。
誰かが植えないと、有るはずが無いモノ。
もしかすると、これ、私の両親が移植したものが増えたのかもしれない!
タンポポは踏まれても蹴られても負けないか…。
ハハハ。そうだね。きっとそうなんだ。ありがとう咲夜ちゃん。
「春の香り」……。
「春に香る」……。
でも、これだと春限定だよね…。
あ、「春の如く香る」なら、全季節オッケーだ。よし、これでイキマショウ。
多喜ハルカ、「多くの喜びは春の如く香る」っナンテネ。
そうよ。これ、トンデモナクステキな名前じゃない!
何が「多くの喜びは遥か彼方」よ!
私、多喜ハルカ、これからも、このタンポポの様に負けずに強く生きてゆきますよ。
踏まても、蹴られて、明るく綺麗に咲くのっ!
なんてったって、私は究極ラッキーガールなんですからねっ!!
私のすぐ前では、私の義娘となったビンちゃんがニッコリ微笑んでくれていました。
そうです。私は、もうヒトリボッチでは無いのです。
咲夜ちゃんもいますし、優秀な秘書二人もいてくれる。タカイの小父さんもいる。ナギさんも、スクさんも……。
そして、そして。何よりも、私の頼もし~い守り神様ビンちゃんが!!
これからも、ずっと、ずっと、ず~っと、よろしくね。我が愛娘ビンちゃん。
優しい風がフワ~ッと吹き、薄桃色をした桜の花びらが一斉に舞い散ります。
そんな、桜吹雪の中でのことでありました。
一応の完結とさせて頂きます。お読み頂きありがとうございました。評価・感想など頂けましたら幸いです。
なお、一旦完結させましたが、この後も話は続きます。
以降は新しい話として投稿しますので、そちらもお読み頂けましたら嬉しいです。
ただ、投稿開始まで少し時間が掛かりそうです。早くて2カ月程度。遅くても今年中には投稿し始めたいですが、今のところいつからになるか、未定ということで…。
投稿開始に際に、こちらの話の最終話として以降の話の情報をお知らせします。ですので、ブックマークをしておいて頂けますと幸いです。
宜しくお願いいたします。




