22/49

志賀の陣

　浅井・朝倉軍は約三万の兵を引き連れ、京に向かって進軍を開始した。この報告を受けた宇佐山城の守将である森可成は手勢五百ほどを率いて敵と接触、小競り合いとなるも勝利した。

　しかし大勢は変わらず、再編成の終わった浅井・朝倉軍は兵を二つに分けて森勢を何重にも包囲する。それでも森勢は二千の援軍を得て奮戦するが、衆寡敵せず森可成をはじめ多くの武将が討ち死にした。この中には織田一門で弟の信治も含まれている。

　森勢を撃ち破った浅井・朝倉軍はその勢いのまま宇佐山城に攻撃を仕掛けるが、落城までには至らなかった。が、浅井・朝倉軍は京の目と鼻の先まで迫って来ていた。

　この事は野田・福島城を包囲する信長本隊にも届いた。野田・福島城を落としても京を奪われては元も子もないので、勝家を殿に残して信長は京に向かった。

　京に着いた信長は浅井・朝倉軍に攻撃を仕掛けるべく兵を進めるも、浅井・朝倉軍は信長の軍勢が見えるや否や比叡山方面にまるで敗走するかのように向かって行った。

　そこで信長は「信長に味方するならばかつての山門領を還付する」「出家の道理により片方に贔屓するのが無理ならば敵味方両方に適応せよ」と延暦寺を説得さるために書状を持たせて使者を送った。加えて「これを違背するならば諸堂諸をことごとく焼き払う」と通告した。

　しかし延暦寺の僧等はこの勧告を無視した。現在の信長を取り巻く情勢からの判断だった。こうした浅井・朝倉軍は延暦寺の支援を得て籠城することになった。