第8話 私は前に会っている
目標を作ってみました。
ファンタジーって何をどうするか、を考えていて本当に楽しいです。
ミルフィをパーティーに加え、私たち3人は北へ向かっていた。
北へ進んでいくと、ゴブリンやゴート、サイクロプス以外の魔物も出てきはじめた。首都から大分離れた証拠だろう。
「なぁ、アキハって異世界人なんだよな?」
「そうだけど、それが?」
「いやさ、異世界って何か想像つかなくてさ」
まぁ、考える事なんて無いだろうしね。
「そう言えば、私も考えが付かないんですよね」
カノンもミルフィと同じようだ。
「にしても、異世界かぁ……昔絵本で読んだ神話の世界的な?」
「え? その神話って?」
私は異世界人なので知らない。
「神話って言うのは、過去のエルニアン大陸に関する関連書物を学者がフィクション化した物です」
「確か、巨大建造物に空中艦隊が登場するんだったよな」
巨大建造物? 空中艦隊?
空中艦隊って……駄目だ、そっちの知識は疎いから思いつかない。
「来たる厄災に巫女は目覚める。巫女は世界の中心となり、鍵となる。厄災を防ぐは巫女の聖なる力。それを護るは異世界より来たる時の救世主。汝目覚めし巫女を護りて世界を救いたまえ。が確か絵本の最初に書いてありました」
随分と大袈裟な最初だな。最初? って事はあらすじで良いのかな?
「その絵本の内容は巫女と時の救世主の話で、厄災は巨大建造物を基地とした空中艦隊。それと此間アキハさんと見つけたアレです」
アレ? ごめん、分んない。
「ほら、あの魔術回路」
思い出した。確か、紫色の瘴気を纏っていて、恐らくは魔物狂暴化の原因だったアレだ。
「ああ、思い出した。その回路って、魔物を狂暴化させて大陸中を混乱に陥れたんだよな」
ミルフィが言うとカノンは頷いた。
「でも、絵本の中の話だしな。気にする程でもねぇよな」
「まぁ、そうなんでしょうが」
歯切れの悪いカノン。
今の話を聞いて、私はそれなりに考えた。
案外、絵本の中だけの話ではないのかも知れない。
「所詮は絵本の話。とは言っても重なるんですよね」
「重なる?」
カノンにミルフィが聞き返す。歩きながら話していた私たちだが、カノンが足を止め、私たちも足を止めた。
「今のところは2つ。まずは異世界の救世主とアキハさん。それに合わせたかのような魔術回路」
そう、あんまり考えたくは無かったが、私もそれは考え付いていた。
偶然、と言ってしまえばそうなのだろうが、重なって来てしまっている。
「しかも、その魔術回路を最初に発見したのはアキハさんと私。重なってると思いませんか?」
それにミルフィは頷くと考え込む様に唸り始めた。
「なぁ、カノンの言ってる事が正しかったとしてよ。厄災、ってのは起こるのかな?」
「正しかったら起こると思いますよ。登場人物、配役が正しいとして、順番は合ってるんです」
順番? と私は聞き返した。
「まず、小規模ですが魔物の狂暴化。異世界人。魔術回路です」
「ねぇ、カノン。次は?」
私は次が気になり聞く。
「次は、巫女です」
私は間髪入れず、巫女の特徴を聞いた。
「流れるような銀髪に碧の瞳」
カノンが答え、考える。
流れるような銀髪に碧の瞳かぁ……。
「って言ってもまだ仮説にも満たない段階ですし、気にする程じゃないですよ」
「だよな。何かマジな雰囲気でビビったぜ」
とカノンが微笑みミルフィはホッとする。しかし、カノンは微笑みを浮かべながらもどこか真剣な目を浮かべている。
気にする程じゃない? いや、気にするよ。
だって
私、前に流れる銀髪に碧の瞳の女の子と会ってるんだから。