第4話 慣れてきた生活
がんばって書いてます
不定期ですがお願いします
さて、ここでは私の事を幾つか話しておこう。
私の名前はサクラバアキハ、漢字で書くと桜庭秋葉だ。年齢は高校1年生なので16歳。身長は170。髪は黒のロングだ。
中学から高校、まぁ私が死ぬまでは弓道をしており、この世界に来てからオリバーには弓を使いたい、と言ったのだがあまりに下手糞過ぎて駄目だと一蹴された。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
私は死ぬまでは一般人。特段趣味は無かった。友人と談笑し、携帯を弄りながらメッセージを確認したりや、話を合わせる為に流行物に手を出したりしていた。まぁ、普通の高校生かと言われれば、そうかもしれないしそうじゃないかもしれない。
そんな私が死んだのは寒さの残る1月8日。始業式の日だ。駅のホームで騒いでいた中学生に押され線路に転落し、電車に撥ねられた。
正直、最初の内はかなりホームシックになった。普段は思わなかったが実家が恋しくなり、友人たちとも会いたかった。しかし、そんな感情も生活するうちに克服できていき、私は目標を決めた。
元の世界へ帰る。
ちゃんと帰れる。と思っていれば何とかなるモノだ。忍耐力があるとすればそれは弓道部の顧問が厳しかった所為だろう。ウザかったが、そういった点では感謝している。
さて、私の事はこの位でいいだろう。はっきり言って面倒臭い。次はこの世界の事だ。
まぁ、言わずもがな元の世界とは全く違う。魔物は居るし、魔法はある。電気は無い。
そして、何て都合が良いのだろうか、この世界の文字は英語に近いのだが、何故か私は読む事書く事が出来ている。
ああ、適当だな。
あ、あとこの世界の構成も話しておかなければ。
この世界には、大きな大陸は1つしかない。エルニアン大陸だ。幾つか諸島群はある。そして国は2つ。私が居るのはエルニアン大陸の西の大国。ローゼンバーグ王政国家だ。
そして東の大国、アルバード帝国。女王が支配するローゼンバーグと違い、アルバードは皇帝が支配する独裁国家だ。まぁ、独裁と聞いて聞こえは悪いが、別に軍国主義というわけでは無い。実際はローゼンバーグと変わらない。
と長々と語っているが、これらは全てオリバーからの受け売りだ。
まぁ、この位でいいだろう。他の事は後々語るとしよう。
現在、私は依頼を終えてイェーガーへ戻る為首都を目指していた。隣にはルンルンとスキップをするカノン。依頼内容は首都郊外の百姓が畑を荒らす魔物を退治して欲しい、との事で簡単に終わった。
ちなみにイェーガーに入ってもう1カ月は過ぎている。厳密に言うと今日で1カ月と1日だ。
そろそろ本格的に帰る為の方法を探しに行きたいのだが、如何せんギルドの人手が足りない、との事でもう少しいなければならない。
「アキハさん。私たち結構強くなりましたよね?」
強くなった事が嬉しいのかカノンは笑顔だ。
まぁ、確かに強くなった。初めての上級魔物も他のメンバーの協力もあってだが討伐は出来た。そして、初の対人戦も経験した。対人戦とは言っても、敵と仮定していたので殺したのだが。
何にせよ人と戦うのはあまり好きではない。
「アキハさん?」
無言の私を心配したのかカノンは心配そうな顔で覗き込んでくる。こういう所、結構鋭いよね。
「大丈夫。それよりも、さっさとギルドに戻って報告しなきゃ」
「はい!」
イェーガーに戻ってみると、マーロットさんがタバコを吸いながら出迎えてくれた。どういうわけか、なぜか私たちの事を気に入っている様だ。
「お帰りアキハ、カノン」
言われ、私とカノンは「ただいま」と言うと受付で依頼完了報告を済ませ、宿舎に戻ろうとすると「アキハにお客さん」とマーロットさんに言われ、待合室へ行く。
そこに居たのは赤の軍服に身を包んだオリバー・アズエルだった。
「オリバー!」
私は嬉しく、声が大きくなった。
「アキハ。久しぶりだ。イェーガーでの活躍、聞かせてもらったよ。本当に強くなったな」
褒められ、私は嬉しくなり自然と顔に笑みが出るのを感じた。
マジで恥ずかしい。
「ま、まだまだ。全然だよ」
「んな事無いさ。協力とはいえ上級魔物を倒したりしたんだ」
「そ、そうかな・・」
「そうだよ」
ふいにオリバーが微笑み、再び恥ずかしくなる。
「本当なら俺も同行したかったんだが・・・頼れる仲間がいるようで安心したよ」
オリバーは目線をカノンに向け、カノンは静かに敬礼する。
「俺はオリバー・アズエルだ。宜しく」
「私はカノン・ローレインです」
聞き、オリバーは私に向く。
「アキハ、仲間を大切にな」
それに私は頷くとオリバーは待合室を後にする。
「アキハさんって・・・アズエルさんに惚れてます?」
突然、カノンに言われ私は慌てて否定した。
「へぇ~?」
この反応。中学の時の友達に居たよ。
「もう。カノン、早く宿舎に行くよ」
「ちょ、ちょっと! 待って下さいよ!」
その日の夜。私とカノンは近くの食事ができる店に入った。
店内は何と言うか・・・お酒が出てきそうなバーだった。
私が戸惑っているとカノンは「こっちですよ」と手を引きカウンター席に座る。
さて、何頼もうかなー
「マスター。ワイン」
隣のカノンは笑顔で注文。
まてやオイ
「アキハさんは?」
「え?」
まだ決めていない。何? あたしも酒頼めば良いの?
「あら? そっちの子はお酒飲まないみたいねぇ。珍しいわぁ、このご時世身持ちが堅いのね。そういう子好きよ」
私はマスターからウィンクされた。
マスターは両生類。いや、男よりだろう。でも心は女。
オカマだ。
オカマに好かれたよ。
「そうねぇ。お酒飲まないなら、あたしのおススメ頼んでみない?」
「じゃあそれで」
「オッケぃ。じゃ、ちょっと待っててね」
それを言うとマスターはワインを出し、カノンに渡すと料理を始める。
一方カノンはワインを瓶ごとラッパ飲み。
酔っぱらったジジイかよ。と思いながら私はコップの水を飲む。
程なく、料理は出された。マスターのお得意らしいパスタだ。
「今日は奢りよ。・・・あなたの事、マーロットから聞いてるわ」
パスタを食べようとした手を止め、マスターを見る。
どうでもいいが、カノンは顔を真っ赤にし「キャハハっ!」と騒いでいる。
「異世界から来たんでしょ? 一応あたしは情報屋も兼ねてるから。特別に一つ教えてあげる」
私は耳を傾けた。
「詳しくは知らないけど、異世界人はこの大陸のどこかにいるみたいよ。漠然としてるけど、会って話が出来れば何か手がかりがあるかもよ」
かなり有益な情報だ。私はマスターにありがとうございます。と礼を言う。
「もう。いいのよん礼なんて。それよりパスタ食べて」
「はい」
言われるがまま、私はパスタを一口食べる。
「どう?」
「・・・辛い」
「やっぱりね」
言うとマスターは信じられない量の香辛料を私に見せる。このオカマ、なんて辛い物を私に。と思うが味は美味しい。
「そういえば、名前聞いてなかったわね」
「あ、私はアキハ、サクラバアキハです」
「そう。私はシャム・ロット。シャムで良いわ・・・ところでそっちの」
言いながらシャムさんはカノンを指さす。どことなく、呆れ気味だよ
「カノン・ローレインって名前です」
代わりに私が言うと、シャムさんは「オッケー」と言いながらカウンターに肘をつく。
「にしてもあんた達可愛いわねぇ。正直、店にウェイトレスとして欲しい位よ」
私は苦笑いを浮かべ、シャムさんを見る。
何か、気に入られたんだろうか?
「でも、旅に目的があるなら無理よねぇ・・・残念だわ」
本当に残念そうな表情のシャムさん。何を言えばいいのだろう。
「にしてもアキハちゃん。あなた恰好は元気だけど、案外無口なの?」
言われ私は改めて自分の恰好を見る。ああ、確かに元気だなぁ
「いえ、まだ慣れていない部分が大きくて」
「そう・・・アキハちゃん。帰りたい?」
優しく問いかけられ、私は日本の事を思いだす。
「・・・帰りたいです」
出た言葉に偽りはない、私の本心だ。
「なら、自分を強く持ち、向こうの事を絶対に忘れない様にしなさい。そして、帰りたい、と思う気持ちを強く思いなさい。んふ。お姉さんからはこんだけね」
お姉さん? など突っ込まず私は静かに頷いた。シャムさんは凄く頼りになる。ここまで、私は恵まれている。なぜなら良い人にしか出会っていないのだから。