第45話 筋肉聖女、受験者選抜トーナメントを確認する!
実技試験の三日後、カリスティア王立宮廷大学の掲示板に、毎年恒例の受験生選抜トーナメントの参加資格者が貼り出された。
アナとヨルは待ち合わせをして、参加資格者の発表を見に来ていた。
「私の名前があるわ」
「おめでとう、アナ。教官に三連勝しているのだから、当然だと思うよ」
この受験生選抜トーナメントに参加できる者は、魔術師コースと騎士コースの実技試験において、それぞれ上位十六名が選出される形になっている。
特に騎士コースにおいては、三試合のうち一試合でも教官役の騎士に勝利すれば、ほぼトーナメントに出場できるといわれていた。
なぜなら、教官との対戦実技試験において、実戦経験豊かな教官に勝利することは非常に難しかったからだ。
もし、受験生が勝利すれば、その受験生は相当に高いレベルの剣技を、すでに身に付けていることになる。
ヨルが小さな声でアナスタシアに話しかけた。
「教官役の騎士に勝利すれば、トーナメントに出場できる。――そう考えれば、不正もしたくなるよね」
「そう考えてしまう人がいるってことね」
二人は、ある名前に注目していた。
「……やはり、選抜者の名前の中に、ミカエル・ラスカリス殿下の名があったね」
「でも、上手くいくかしら」
「今日の発表を見て、僕は確信したよ。アナなら大丈夫。きっと上手くいくよ!」
まるで自分のことのように喜び、考えてくれるヨルの姿を見て、アナスタシアの心は温かくなるのだった。
「あと、これでアナは、ほぼ宮廷大学への合格も決まったね。おめでとう!」
「そうなのかな?」
「学科試験もできたんだよね?」
「うん」
「なら、魔法も剣技も、実技試験は最高点だと思うよ」
「ありがとう」
「あとは僕の方だね。学科は自信があるんだけど、対戦実技試験がどこまで評価してもらえるかにかかっているね」
「そんな、ヨルだって……」
「一代限りの最下層とはいえ、僕たち平民が貴族になれて、人生を変えられる限られたチャンスだからね」
「――今年の平民の受験者層のレベルが、どのくらいかによるかな」
アナスタシアは黙って考え込んでしまった。
正直、男爵以上の貴族の子として生まれれば、幼少期から学問や騎士、魔術師としての教育を受けるため、平民よりも圧倒的に有利となる。
そして何よりも、魔力量の差が大きい。
多くの平民の魔力量は一桁から二桁程度だが、貴族出身者のほとんどは三桁以上の魔力量を持っている。
優秀な貴族になると四桁以上の魔力量を持つ者もいる。
そのため、魔法の実技試験では、平民と貴族の間で圧倒的な点差が開いてしまうのだ。
カリスティア国内の、魔力量で人の価値が決まってしまうような風潮に、アナスタシアは改めて疑問を持った。
――魔力量を重視しすぎると、ヨルのように違った才能を持つ人を、埋もれさせてしまうのではないかしら?
そのようなことを考えながら、今度はアナスタシアの方が、ヨルの大学合格を必死に願っていた。
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