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改心国王物語  作者: toiasa
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第八話 後継者

第八話 後継者


七十歳。


グンナール王は皇太子アルフレッドを呼んだ。


机の上には一冊の本が置かれていた。


題名は――


『蛇の道』


王が五十年かけて書いた本だった。


中には、


詐欺、


独占、


土地投機、


扇動、


金融操作、


権力腐敗、


戦争商売、


ありとあらゆる手口が記録されていた。


アルフレッドは驚く。


「これは禁書ではありませんか。」


王は頷いた。


「その通りだ。」


「だからお前にだけ渡す。」


「悪を知らぬ善人は国を守れない。」


「だが悪を愛する者に渡してもならない。」


王は窓の外を見た。


豊かな畑。


整備された道路。


行き交う荷馬車。


笑う子供たち。


前世では一度も見なかった光景だった。


そして静かに言う。


「私は昔、土地を奪う側だった。」


「今は土地を守る側になれた。」


「それだけで十分だ。」


アルフレッドは深く頭を下げた。


その瞬間、


エングバリ王国は単なる王国ではなく、


知恵を受け継ぐ国家へと変わっていった。


そして後世、


人々はグンナール・ノトラ・エングバリをこう呼ぶようになる。


『蛇王』。


悪を知り、


悪に堕ちず、


その知識で国を守り続けた王として。

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