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めこねこの日々のあれこれ  作者: めこねこ


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―第0️⃣3️⃣1️⃣話― 【カンヌ受賞】日本人初の快挙に沸く我が家。しかし目の前には『狸寝入り』の大女優と名俳優がいた。

爽やかな五月の週末。運動会を終えた我が家では平穏な一日がはじまりました。


そんなわが家。土日になると、高校生の息子と中学生の娘は、これでもかというほど「睡眠」を謳歌します。


「寝る子は育つ」と言いますし、平日は学校生活で割と早起きな二人なので、私たち夫婦もうるさくは言わず、そっと寝かせておくようにしています。


……が。

ここ最近、私と妻の間で、あるひとつの疑惑が浮上していました。


「あの子たち、本当に寝てる……?」


そう、どうもただの爆睡ではなく、

「狸寝入り」をしている気配が濃厚なのです。


――――――


完全に目は開いていないものの、起きている気配はビンビンに伝わってきます。

「なんとなくまだ起きたくない」「布団から出たら負けだ」という、若者特有の謎のプライド(?)が、布団のシワから滲み出ているのです。


しかし、親としては心配になることもあります。


「そろそろトイレに行きたくて限界なんじゃ……」

「時間を無駄にしていると、後で宿題がパニックになるんじゃ……」


そんな親の心配をよそに、部屋からは時折「ゴソゴソ……」と寝返りを打つような不自然な気配や、「んんっ」というわざとらしい咳払いの音が聞こえてきます。


その完璧ではない「演技」に、一番最初に気づいたのは人間ではなく、わが家の猫たちでした。


いつもは一緒に丸まって寝ている猫たちが、ふと不思議そうに立ち上がり、

「おい、起きてるんだろ?」

と言わんばかりに、ちょいちょいと前足で娘の顔を優しく触って生存確認(催促)をしています。


それでも意地でも起きない二人。

その徹底抗戦の構えは、見事というほかありません。


――――――


そんな子供たちの姿をリビングから眺めていた時、ふと、今世界中を賑わせている「最高に熱いニュース」が頭をよぎりました。


世界最高峰の映画の祭典、カンヌ国際映画祭。

なんと、濱口竜介監督の最新作『急に具合が悪くなる』に主演された岡本多緒(TAO)さんが、日本人初となる「コンペティション部門の女優賞」を受賞するという、歴史的な快挙を成し遂げられたのです!


世界的な大スターたちが集まるあの華やかな舞台で、日本の女優さんが世界の頂点に輝く……。映画好きならずとも、日本人としてこれ以上ない誇らしいニュース。


……と、そんな世界のトップオブトップの演技力に日本中が沸いているまさにその瞬間。


わが家の薄暗い子供部屋のベッドの上にも、

「絶対に布団から出ない大女優」と、

「猫のパンチを食らってもピクリともしない名俳優」が、

静かにスタンバイしていたわけです。


彼らの「睡眠に対する情熱と演技力」は、ある意味でカンヌ級。

これはもう、親バカを承知で、誰かにこの名演を紹介せずにはいられないと思い、今こうして筆を取っている次第です(笑)。


――――――


そんな「わが家の名優たち」について、台所で妻と笑いながら話していました。


「いや、あの二人の狸寝入りは本当にすごいよ。岡本多緒さんばりのリアルな『急に具合が悪くなる』を毎週末、ノーカットで実演してるんだから」


すると、わが家の絶対的審査委員長である妻が、ハーゲンダッツのスプーンを片手に、冷ややかな視線で一言。


「あの二人の演技力が高いんじゃないのよ。宿題に抗う防衛本能で眠ったフリをしてるだけよ。後から後悔することを分かっていてもね」


……。


妻の足元を見れば、ちゃとらんが、「そうだよ」と言わんばかりの甘えた声で鳴いています。多分。


どうやら、子供たちの名演技を引き出していたのは、問題を先送りしたいだけの、現実逃避が生み出した奇跡だったようです。


とは言っても、そろそろお昼も近くなってきます。


遅めの開演をしてあげましょう。さて、起こし方は優しく——がわが家の流儀です。

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