88. 【閑話】74話「灯火」のヴィレンス・サイド
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
※第74話「バサルク王宮編(17) 灯火」のヴィレンス視点です。
ヴィレンスは、大広間へ向かう途中で剣戟の音を聞いた。
音の方へ向かうと、吊り橋で敵に囲まれているディアバスがいた。
一人で短剣を握っている。近衛はすでにやられたらしい。
ヴィレンスは駆け寄り、長剣を抜いた。
敵の数は多いが、それだけならどうにかなる。
問題は、狭い吊り橋でディアバスを守りながら戦わなければならないことだった。
本当なら、灯りを消して自分の動きを見られにくくしたい。
だが、ディアバスがいる。
床の織物で敵の足元を崩せば、ディアバスまで巻き込む。
橋の外へ出るにも、ディアバスを守りながらでは難しい。
仕方なく正面から戦う。
敵を避け、ディアバスを守り、さらにディアバスも避ける。
――正直、邪魔……あ、護衛対象だったか。
その時、奥宮前の回廊にペルラが見えた。
敵が接近してきているのに、近衛はいない。
ディアバスもペルラも守らなければならない。
――さぁ、どうする?
◇
ディアバスに長剣を渡すと、ペルラのところに一目散に走っていった。
ディアバスは短剣には慣れていないが、長剣なら戦える。
しかも、ペルラのためなら200%の力が出そうだ。
これで、ペルラもディアバスも守れる。
そして、自分はこの吊り橋を自由に使える。
――まさに一石二鳥だな。
ヴィレンスは素早く灯りを消した。
敵がどよめいた。
◇
しばらくして、周囲は静かになった。
ペルラの方を見ると、応援の近衛が来ていた。あちらも大丈夫そうだ。
ヴィレンスは服についた埃を払った。
王宮行事のためにせっかく礼装に着替えていたのに、少し運動してしまった。
遅刻だ。早く大広間へ行こう。
〜閑話 おわり〜




