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86. バサルク王宮編(29) 頬杖
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
夜、王太子執務室で、オーニチェは机に中途半端に頬杖をついていた。
黒い瞳の先には、昼間に折れた剣の刃先と、ペルラとの婚約書があった。
オーニチェは何をするでもなく、揺れる灯火の中で、ぼんやりと見ていた。
ずいぶん時間が過ぎた気がした。
部屋の外で近衛が交代する気配がした。
部屋の中の、一番遠い隅に座っていたピレイが、音を立てて本を閉じた。
「もう寝ましょう」
「眠くない」
オーニチェは動かず言った。
「朝儀に起きれません」
「出たくない」
「ダメです。私も出ます」
ピレイはオーニチェを立たせると、寝室に付き添って行った。




