75.予言の書
予言の書
テンテンはなっぴとのシンクロ率が90パーセント以上。そのおかげで人間界と王国との間にある『次元の谷』を超えることができた。なっぴの経験したことは、たとえそれが祖母「里香」の記憶であろうともテンテンは共有していたのだった。
(以下、『なっぴの昆虫王国 シャングリラ編』より)
「私は、お前がアマテラス様に謀反を起こしたことが信じられなかった。しかもヤマタノオロチとなって…。結局はアマテラス様の力により再び今度は、カムイよりももっと深い『根の国』に封印された。その時私は初めてイオナがこの星のアマテラスになったことを聞いた。オロチ、お前は知っていたのだな…」
しかしオロチは答えの代わりに再び八つの首をもたげた。
「ああ、最初の生命体は女神から分離したものだった。しかしその後の生命体はどうだ、あるものは卵、あるものは分裂して増える。
歩くのも動くのも、細い毛がやっと進化して可能になり、わしらの様な人型になるまで気の遠くなる間俺は待った。(それがこんなサル型生命体だと……、冗談じゃあない、)約束が違う。こんなゴミたちを産み、守るのが俺たちの役目だと……、断じて違う。俺とイオナはこんな出来損ないのために天と地に別れたと言うのか」
「だから、原始に戻すのか?この星を」
「ああ、そうとも。邪魔をするなっ!」
オロチは溶岩弾を一斉にミコトに浴びせた。
(以上、『なっぴの昆虫王国 シャングリラ編』より、カッコ内は補足)
「オロチもマンジュリカーナに浄化され、地球は救われたけれど、最強の敵『シュラ』が現れた。それはみんなも知っている通り」
テンテンはそう言うとリンリンを見つめた。
「地球原初の生命体ラグナ、いえ『ダーマ』と呼んだほうがいいわね。彼もまた同様に一度地球の生命体は滅ぼし、その後復活させようとしていた。その復活の日に備えて原始生命体を海底に隠していた。それが『ラグナ・ノア』の役目だったわね」
とリンリンが話を続けた。
「ダーマはノアに地球の生物の『遺伝子情報』をコピーするために虫人や魚人に『ラグナ』を寄生させたのね。彼はシュラが地球の生き物を殲滅させることを知っていた。」
マイは言う。
「それに抗うことはできない、でもなっぴなら、マンジュリカーナならできるかもしれないとダーマは思っていた」
「マイの言う通り、なっぴは不死身のシュラと必死で戦った。そしてそれに答えて現れたサクヤによって、インセクトロイド・シュラは消え去った」
由美子は戦う巫女として、レムリア王国から最初に人間界にやってきた日のことを思い出した。その時の理由は人間界に持ち出された七色の原石を込めた「七色テントウ」を探し出しそれを守ること、すなわちヨミに操られるラクレスたちの手先となった「ブラック・ソルジャー」を阻止し、王国に住む「虫人」を救うためだった。
「なっぴを動かしたものは、虫人はもちろんのこと、この星の生き物を救うということだった。リンリンの呪縛を解き、そしてシルティも巫女アゲハとして復活させた」
一度は闇に落ち「漆黒テントウ」となった「リンリン」そして同じく「カタビラアゲハ」としてなっぴを襲った「シルティ」も由美子の話に頷いた。
「今思えば、一体あれはなんだったのかしら。『すべての生き物を根絶やしにさせろ』頭の奥から聞こえたあの声、あの声はラクレスを狂わせたヨミの声ではなかったわ」
「リンリン、私にもそれが頭の中に響いていた。それはマルマやヨミの声ではない。研ぎすまされたその声には怨念や闇の類は一切感じられなかった」
「そう、シルティもあの声を聞いていたのね。あれはひどく冷たい声だった。それをなっぴは取り除いてくれた」
「こうして振り返ると、今までなっぴがしてきたことと『特別任務』とは深い関係があるってことよね」
「マイ、特別任務について話してもいい?」
由美子はそう言うと、古い石板からコピーした紙をマイとリンリンの目前に広げた。
「これは一部の虫人に伝わる『予言の書』のコピー。かなり時間が経っているので、今の私たちではほとんど解読できない。この石板を残したのはゴリアンクスのカグマ博士とされている」
「真偽のほどはわからないけれど、この『予言の書』を解読したものがいる。そのものは『サンドラ』という新興宗教の教祖なの」




