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ノンデリ男の敗北 ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~  作者: アル


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2/11

第2話「友達少ないんだ?」

翌日。

俺は大学近くのカフェで、彼女と向かい合っていた。


「そういや昨日さ、サークルの飲み会におもしろい女来てて。」


「……女?」


彼女が持っていたストローから口を離した。


「うん。法学部のやつ。めちゃくちゃ小さくてさ、最初中学生かと思った。」


「は?」


「俺がそう言ったら、めっちゃ冷静に言い返してきて。なんだっけな……身長でどうとか、根拠がどうとか。」


思い出すと、ちょっと笑えてきた。

冬城凛。

今まで会ったことのないタイプだった。

俺が何を言っても怒鳴ったりムスッとしたりするんじゃなく、全部淡々と言い返してきた。


「マジでおもしろかったわ。」


「……ねえ。」


「ん?」


「なんで私といるのに、昨日会った女の話ずっとしてんの?」


「え?」


そう言われて、俺は首を傾げた。


「だって昨日の話してただけじゃん。」


「それが嫌だって言ってるの。」


「あー……そういうこと?」


彼女の眉間にしわが寄った。


「そういうところ、ほんと無理。」


「何が?」


「もういい。」


彼女はテーブルの上に置いていたバッグを手に取った。


「別れよ。」


突然だった。

……とはいえ。

こういうのは、初めてじゃなかった。


「分かった。」


「……は?」


今度は彼女が固まった。


「だから、分かった。」


「止めないの?」


「だって別れたいんだろ?」


「…………。」


何か言いたそうな顔をしたあと、彼女は勢いよく席を立った。


「そういうところが嫌なの!」


そのまま店を出ていった。

残された俺は、テーブルの上のアイスコーヒーを一口飲んだ。


「……そういうところって、どこだよ。」


結局よく分からなかった。



その日の昼休み。


「また振られたの?」


大学の食堂で、田中が呆れた顔をした。

俺の隣では、小川がラーメンをすすっていた。


「振られたっていうか、別れよって言われた。」


「それを振られたって言うんだよ。」


「そうなの?」


「お前、本当に今までどうやって彼女作ってきたんだよ。」


「普通に?」


「その普通を聞いてんの。」


田中がため息をついた。

小川がラーメンから顔を上げた。


「で、今回は何か月?」


「二か月くらい?」


「短っ。」


「前より長くね?」


「比較対象がおかしいんだよ。」


田中が頭を抱えた。

俺はそんな二人を見ながら、唐揚げを口に放り込んだ。


彼女ができること自体は、別に珍しくなかった。

告白されて、なんとなく付き合うこともあった。

俺から声をかけて、そのまま付き合うこともあった。

ただ、長く続いたことはあまりなかった。


「で、原因は?」


小川が聞いた。


「昨日会った女の話したら怒った。」


「女?」


「昨日の飲み会にいた法学部の。」


「ああ。」


田中がすぐに察した。


「冬城さん?」


「そう。凛ちゃん。」


「本人にその呼び方やめろって言われてただろ。」


「細かいな。」


「細かくない。」


そう言われたところで、俺は食堂の外に目を向けた。


「あ。」


見覚えのある、小さな姿が横切った。

黒く長い髪。

落ち着いた服装。

そして、胸がでかい。

昨日の女――冬城凛だった。


「いた。」


「何が?」


俺は立ち上がった。


「凛ちゃん。」


「おい、夏樹?」


田中の声を無視して、俺は急いでトレーを返却口へ戻し、食堂を出た。


廊下の先を歩いていた凛に追いついた。


「おーい。」


声をかけると、凛が振り返った。

俺を見た瞬間、少しだけ嫌そうな顔をした。


「ああ。昨日の失礼な人。」


「名前覚えてない?」


「覚えています。佐藤夏樹さん。」


「じゃあ名前で呼べよ。」


「嫌です。」


即答された。


やっぱおもしろい。


俺は凛の横に並んだ。

俺が百八十あるせいもあったけど、並ぶとやっぱり小さかった。

頭ひとつどころじゃないくらい差があった。


「近いです。」


「そう?」


「圧迫感があります。」


「そういやさ。」


「なんですか。」


「昨日、なんで飲み会来たの?」


凛が俺を見た。


「どういう意味ですか?」


「いや、なんかああいうの好きそうに見えなかったから。」


「……それは合っています。」


「やっぱり?」


「人が多い場所はあまり得意ではありません。」


「じゃあなんで?」


少しだけ間が空いた。


「人脈づくりです。」


「人脈?」


「大学三年なので、就職活動もありますし。今まで特定の友人としか関わってこなかったので、もう少し交友関係を広げたほうがいいかと思いまして。」


「へえ。」


思ったよりちゃんとした理由だった。


「友達少ないんだ?」


凛の目が細くなった。


「……失礼ですね。」


「あ、また怒った。」


「怒っていません。」


「でも友達少ないんだろ?」


「親しい友人は二人です。」


「二人?」


俺は思わず凛を見た。


「少なっ。」


「余計なお世話です。」


凛はそのまま歩いていた。

俺も隣を歩きながら、少し考えた。


「でもさ。」


「なんですか。」


「親友二人いるって、普通にすごくね?」


凛が足を止めた。


「……はい?」


「俺、友達はめっちゃいるけど、親友って言われるといないかも。」


「いないんですか?」


「たぶん。」


改めて考えてみた。

大学に来れば誰かしらと喋ったし、飯に行くやつも、飲みに行くやつもたくさんいた。

でも、「親友は誰?」って聞かれたら、すぐに名前は出てこなかった。


「今まで考えたことなかったわ。」


「自分のことなのに?」


「うん。」


凛が呆れたように俺を見た。


「だから、二人もいるの普通にすごいと思う。」


「……別に、人数は重要ではないので。」


「そういうもん?」


「私はそう思っています。」


「へえ。」


凛はまた歩き始めた。

俺もその隣を歩いた。


挿絵(By みてみん)


昨日も思ったけど。

やっぱこいつ、喋ってるとおもしろい。



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