■■■ 【番外編】王族家族会議
ニアラブ (以下:ニ)「さて、王族家族会議をする事になったのだが...」
ルイクス (以下:ル)「お父様、急な話ですな」
タスバーク(以下:タ)「これは...誰の差し金ですかな?」
マーク (以下:マ)「黒々猫とか言う人だそうです」
イブウェル(以下:イ)「黒々猫?...それ、作者じゃなかったですか?」
シャーリー(以下:シ)「ヨルージュ、大丈夫ですか?無理したらダメですよ?」
ヨルージュ(以下:ヨ)「はい、お義姉様。まだそれほど大変ではありませんから」
リリャン (以下:リ)「安定しているとは言え、妊娠中は本当に無理してはダメですからね?何かあれば言って下さいね?」
ガーランド(以下:ガ)「クウィル、なんか嬉しそうだな?」
クウィル (以下:ク)「えぇ、ちょっと楽しい事がございましたので」
と、今回は王家家族の家族会議を開いてもらいました。
番外編ですので、物語から飛び出してもらい、思う存分話してもらいます。なので、色々オフレコな会話があると思いますが、気にしないでください。
なお、王家の人々は、まだあまり馴染みがないと思いますので、簡単に紹介させていただきます。
ニアラブ (80歳):前国王。了とは口喧嘩友達で、最大限に警戒をしている。
カリナを獅子身中の虫として送り出した。が、カリナが取り込まれないか心配している。
タスバーク(46歳):ニアラブの次男。ジョーチェ法皇国国教ワクター教の法皇。
マーク、タニアとリアの父親で、タニアに男が出来た事を喜んでいるが、それは貯めていた縁談が進められるという認識。
シャーリー(39歳):タスバークの妻で、マーク、タニアとリアの母親。神聖魔法の使い手であり、徒手空拳の門派「頂撃穿舞」の免許皆伝。
タニアに男が出来たと喜び、了にエスコート作法を教え了を認める。
マーク (20歳):タニアとリアの兄。とても生真面目で極度のシスコン。了を認めているが、タニアの男としては認めていない。
タニアの縁談推進派の筆頭。ワクター教枢機卿。
ルイクス (55歳):ジョーチェ法皇国の国王。ガーランドとクウィルの父親。
了については信用しているが警戒している。了を飼いならせない事に苛立ちを覚えているが、それを隠している。
リリャン (44歳):ジョーチェ法皇国の王妃。ガーランドとクウィルの母親。
了についてはクウィル経由で色々聞いており、とても興味がある。タニアの男としては認めている状態。が、その先は未定。
ガーランド(24歳):ジョーチェ法皇国の第一王子。了についてはかなり認めており、面白い男だと思っている。
タニアとリアが懐いている事もあり、了を貴族にしようと考えている。
クウィル (21歳):ジョーチェ法皇国の第二王子。了と色々と会話をしており、了を友だと感じている。
タニアとの間の事は認めており、なんとかタニアとくっつけたいとは思っているが、今のところは...静観。
イブウェル(43歳):ジョーチェ法皇国の大将軍。王家に迎合しない了を目の敵にしている。
が、タニアを第一にしている所は認めている。が、気に喰わない...。
ヨルージュ(24歳):現在、妊娠6か月で、出産予定日は日本時間で2029年9月29日。ガーランドの幼馴染でもある。
タニア、リアに続く女の子を願っている。了に関してはタニアが興味を持った男という事で興味を持っている。
では、続きをどうぞ...。
■了についての意見収集
ニ「ともかく、リョウについてなのだが...皆はどう思っておるんじゃ?」
マ「邪魔者です」
タ「まぁ~...確かに邪魔だわな」
ル「それはどういう意味でだ?」
マ「タニアの将来に対しての邪魔です」
タ「まぁ~...タニアには多数の縁談が来ておるからの。男に興味を持った今ならとんとん拍子で進むと思うしの」
ニ「お前...それ、本当に思っておるのか?」
シ「我が夫ながら浅はかですね」
タ「おい!夫に向かって!!」
シ「なんですか?浅はかを浅はかと言って何が問題あるのですか?」
タ「ぬぅ~...」
ニ「止めよ!!そこで夫婦で殺気を撒き散らすでない!するならベッドの上でやれ!!」
ク「お爺様...」
ル「相変わらず、むちゃくちゃな...」
ヨ「まぁ、お子様はここには居ないのが良かったって事で...」
イ「言われて顔を怒りではない要素で顔を赤くしているお兄様、お義姉様を可愛く思うのはなぜだろうな...」
ニ「はぁ~...で、先日リョウにエスコートの指南をしたシャーリーはどう思っておるのだ?」
シ「単純に良い男子だと思いますよ?タニアの事を第一に考えている事は疑いようもありません」
ク「私も同じ意見です」
イ「お前はリョウにレイピアを作ってもらえるという事で浮かれておるだけではないのか?」
ク「叔父様は見る目がございませんね」
イ「なんだと!?」
ク「正直に申しますが、私は王家にあって異端児です。しかし、リョウは私がどういう人物かを分かっていながら全く普通に接しております」
イ「それがどうしたと言うのだ?お前に王子の素質がある事は誰もが知っている事であるぞ?」
ク「叔父様からそう言っていただく事は大変誇りに思っております。が、初対面の者が私を見て、それを判断出来ると思っておいでですか?」
イ「ぬぅ~...」
ル「珍しいの。お前が言い負かされるとはの...」
イ「兄上!!」
ニ「騒がしい!全く、イブウェルももう少し考えてから発言せい。だからクウィルに言い負かされるのだ」
■女性陣の意見
ガ「話が進まないな。そう言えばシャーリー叔母様はリョウにエスコートの作法を教えたと聞きましたが、印象はどういうものなのですか?」
シ「印象ですか?今までに見ない良い男子ですよ?それこそガーランドに匹敵する良い男子です。ただ、タニアの事を考えている、本当にそれだけの男子です」
リ「シャーリー、もう少し詳しく教えて下さらない?」
シ「タニアの副官で、タニアをエスコートすると聞きましてね。少し力を入れて教えましたの」
ヨ「シャーリー様が力を入れてですか!?それは...リョウも大変でしたね」
イ「ちょっ...ヨルージュ!!」
シ「構いませんよ、私は『頂撃穿舞』の免許皆伝ですからね。まぁ、確かにちょっと熱が入ると...ね」
タ「ね。じゃないと思うんだが...」
シ「なんですか?」
タ「いや...」
シ「ともかく、リョウは『タニアの為に』という、それだけの為に私の厳しい言葉にも耐え、愚直に私の指導を受けていました。暗愚な男には絶対に無理な事です」
マ「お母様の指導は厳しい事で有名ですからね」
ニ「お前は耐えられず、リアは耐えたがな」
マ「お爺様!!」
リ「ともかく、シャーリーのお眼鏡には叶ったって事?」
シ「男子としては十分に合格点を与えても良いでしょう。ただ、その先は別の話です」
マ「ですよね!!」
シ「マークが何を期待しているのかは知りませんが、後は二人が決める事だと思っていますし、決めた事に対して反対しません」
マ「な...」
ヨ「それは素敵ですね!私としても今後が楽しみです!」
イ「ヨルージュ、それはタニアとリョウの関係を認めると言う事になるんだぞ?」
ヨ「ダメなのですか?そもそも私たちの関係も、誰も認めて貰えず、私が身ごもった事で認められたのですよ?認められない事がどれだけ苦痛でしたか...覚えていらっしゃらないのですか?」
イ「いや...覚えている...ぞ...?」
リ「なぜ疑問形なのですか...私とシャーリーは最初から認めていましたのに、お義父様と貴方様とタスバーク様が認めて下さらないと、私たちに泣きついて来たではないですか...」
イ「あ...いや...おっしゃる通りで...」
ニ「(藪蛇じゃのう)リリャンもリョウを擁護するつもりかの?」
リ「私はまだちゃんと見定めておりませんので今は保留ですが...リョウを認めるか認めないかだけの話では『認める』と判断しております」
ル「見定めておらんのにか?」
リ「シャーリーからも話を聞き、クウィルからも話を聞き、ルーヴからも話を聞いております。特にクウィルの話は具体的であり、信用できると判断します」
ク「ありがとうございます、お母様」
マ「ふん。レイピアにつられただけではないか...」
ク「そこは否定はしません。が、それはリョウに裏表がない事とは関係がありません。リョウは...目の前の事は素直に受け入れられる度量の広さを持っています。そして本質を見抜いて判断しているようです。私の事は『男の娘』だと言ってました。非常に本質を見抜いた言葉だと感心しました」
ガ「なるほど。確かに本質を見抜いた言葉だな」
イ「普通は、そういう事を言われたら怒るものなのだがな」
ク「おっしゃりたい事は分かっております。ですが、今の私にはぴったりと当てはまる言葉だと思いましたので」
ニ「そこについては儂も否定はせんがな...」
■ガーランド・クウィル・マークの意見
タ「私としては、タニアの目を男に向けてくれた事はリョウに感謝しておる。が、タニアは王家の中では『長女』だ。いずれ他国に嫁ぐ身となる。婚期の最後に男に目覚めてくれた事は本当に感謝だな」
マ「まだ早いのでは?それよりも早々に領主から解放して手元に呼び戻す事を考えていただければ...そうすればリアも戻って来るでしょうし」
ニ「お前はそれしか考えておらんのか?」
マ「兄妹が仲良くする事は、良い事ではありませんか?」
ル「お前のは極端すぎるのだ!」
マ「どうしてですか!?」
ガ「私としては、タニアが幸せになるなら、リョウの元に嫁いでも良いとは思っているがな」
マ「ガーランドお兄様!?」
ク「そうですね。私もガーランドお兄様と同じ意見です」
マ「クウィルお兄様まで!?」
タ「その事について、シャーリーに聞きたいのだが、リョウはタニアの為というのは色恋の話なのか?私にはそういう風には全く見えんのだが?」
シ「そうですね。良く分かりませんが今は色恋ではない...ようですね」
マ「ほら!どうやらタニアが我が手に戻るのは、そう遠くないですね」
リ「何を言っているのやら...」
ニ「愚者の戯言はどうでも良い」
マ「お爺様!?」
■ニアラブの意見とエバンの話
ニ「ついでに言うと儂にもリョウはタニアに対して恋をしているようには見えなんだ。じゃが、タニアは無意識にリョウに恋をしておるのう」
ル「そう言えば、ヤレスが死んだ年齢は26だったか?」
タ「そうだ。そして、リョウも同じ年ぐらいではないのか?」
シ「あら?そんな大事な事、まだ知らなかったのですか?」
ニ「なに?シャーリーは知っておるのか?」
シ「それこそエスコート作法の際に聞きましたわ。別に秘密の情報でもありませんので言いますが、25歳だそうですよ?」
ニ「25...あの知識量と度量で25なのか...」
ル「恐ろしいですな...」
イ「頭でっかちの若造ではないか!」
ニ「本当にそう思っておるなら、お前もそれまでよの」
イ「...」
タ「しかし、確かに大した若者ではありますが、そこまでのものなのですか?」
ニ「タスバークもか...恥を忍んで言うが、儂は奴との口論で一度負けておるぞ!?」
イ「はぁ!?お父様がですか!?」
タ「兄上でさえ勝てぬのに!?」
ル「おい!...とは言え、実際父上との口論で勝った試しはありませんな...」
ニ「エバンも負けよったしの」
ル「あのエバンがですか?」
ニ「移送中も城内に入れた後も一切口を開かなかったので、処刑の前日に酒をしこたま抱えて奴と夜通し呑み明かしたんじゃ。そこでリョウの文句を言ったら奴め、口を割りおったわい」
タ「囚人と酒を飲むとは...無茶をなさる...」
ニ「黒梟を使えばどうとでもなるわい。ともかく、エバンが言うには、正々堂々と戦って負けたのだそうだ。タニアにな...」
イ「タニアにですか!?」
シ「報告ではそのような事は無かったはずでは!?」
タ「リョウめ...タニアには危険が無いと言っておったではないか!?」
ニ「慌てるな。タニアには危険は無かった。エバンはタニアと領主としてのあり方について議論をし、議論という闘いで負けた。そう言っておった」
イ「なんと...エバンも口ほどでもない...」
ニ「エバンに一度も勝てなんだお前が言う台詞ではないのう」
イ「くっ!」
ニ「ともかく、リョウに『お前は正々堂々とタニアと戦い、負けたのだ。胸を張れ』と言われたんだと、言っておった」
ル「正々堂々と戦って、負けた。胸を張れとは...矛盾しておりますが?」
ニ「エバンも言いくるめられたと言っておった。嬉しそうにな。矛盾はともかく、エバンは納得して、大人しく斬首されたのだ」
マ「分かりません。なぜ納得するのですか?そもそも、奴は貴族です。苦しまない毒による自害も出来たものを、わざわざ斬首を選ぶ理由も分かりません」
イ「そうか?私は少しだけ分かるな...」
ル「そうだな。私も少し分かる」
シ「そうですね。武闘家として私も...」
ク「私も」
ガ「ここまで来ると後付けのようで気後れるが...私も分かる」
タ「これは息子を今少し鍛え直さねばならぬか...」
マ「え?なぜ?」
ニ「マークは真面目過ぎる事が裏目に出ているようだな...」
シ「マーク。明日から私の特訓を受けてもらいますね」
マ「え?嫌です」
シ「ダメです」
マ「何故に!?」
ニ「マークは明日から頑張ってもらうとして、エバンはこうも言っておった。『儂の意志はタニア様に受け継がれた。リョウには遺産を継がせた。儂は今後も生きる事が出来る』とな」
リ「生きる事が出来る...ですか...」
■リョウへの褒章について
ル「どちらにしても、リョウに継がせた遺産が気になりますな」
ニ「それは最後まで口を割らなんだ。だが、想像するに領地運営の暗部をリョウに継がせたのじゃろう。タニアにはそういうのは難しいからのう。領主としての心構えをタニアには伝えた。と言う所じゃろうな」
シ「そうでしょうね。タニアは純粋ですから...しかし、純粋だけでは領地の運営は出来ませんものね」
ル「国家の運営も似たようなものだしな。だから、黒梟という組織があるのだし」
ガ「それでは...リョウはお爺様と同じ立ち位置に居るという事になるのでは?」
ニ「鋭いの、ガーランド。規模は全く違うが、リョウは儂と同じ立ち位置じゃ」
ガ「だとすると、いよいよリョウをこちら側に取り込む必要がありますね。いっそ貴族にしてしまうのは?」
マ「あのような者をですか?それは他の者に示しがつきませんよ!」
ガ「ま、確かに今のままではダメだろうな。だが、リョウの事だ。きちんとした手柄を立てるだろう。その時、国としてどうするか...と思うのですが、父上はどうお考えですか?」
ル「それはその時に考えれば良い。が、お前の意見は正しい。とりあえず領地のない男爵位を与えるぐらいで良いだろう。どうせタニアの元から離れる事はないだろうからな」
タ「確かに、それが妥当でしょうな」
イ「褒章という話だと、クラスタンプ軍を叩きのめしたという話があるが、その事についてはどうされるおつもりで?腹立たしいことだが、事実であれば褒美を与えねばなりますまい」
ニ「要らんじゃろう」
イ「お父様!?それで良いのですか!?」
ニ「奴には行動の自由を与えてやれば良い。それ以上は不要じゃ。もし、出すのであれば金で良かろう」
ル「金...ですか?」
ニ「タニアが領主となったのじゃ。土地は困っておらんじゃろう。それよりも運営に金が必要じゃからの。とりあえず金を渡しておけ。リョウならばそれだけで全てを察しよるわ。忌々しいが、それだけの能力を持っておる」
ル「分かりました。次に来た時にはクラスタンプ軍撤退の褒章として用意しておきましょう」
■ニアラブの最終判断
ニ「ともかく、リョウについては警戒を怠らん事じゃ。今回黒梟から一名潜り込ませたからの。もう少し詳しい事が色々と分かるじゃろう」
ル「流石お父様。リョウの裏が取れそうですね」
ニ「どこまで取れるか分からぬがな。その者が儂からの刺客というのはリョウにはバレておるからの」
タ「バレているのですか!?」
ニ「儂が『黒梟の一人で、お前を監視する者だ』と教えておるからの」
イ「お父様!?」
ニ「どうせすぐにばれるんじゃ。最初から言っておいた方が良いし、リョウは気にしてはおらん。文句は言っておったがのう」
タ「そりゃ文句は言うでしょうが...本当にそれだけですか?」
ニ「それだけじゃ。今後色々と分かるじゃろうが、それは分かってからじゃ。あと、ルーヴに連絡手段を渡したようじゃからの。今後はこちらも慌てる事はなくなりそうじゃ。それだけは助かるのう」
ガ「王家は警戒されている...という事ですね」
ニ「そうじゃな」
イ「良いのですか?奴にそのような態度をさせて」
ニ「実害はない。それに、リョウに別の国に行かれる方がマズイじゃろう。クラスタンプなんぞに行かれたら、それこそ目も当てられん...」
ル「そのような事になれば、南部をかなり強化いたしませんと...」
タ「あ...そう言えば、クラスタンプからも縁談が来ておったような...」
ニ「はぁ!?聞いておらんぞ!?」
タ「すみません。なんせ大量に縁談の話が来ておりまして...全て覚えきれておりません。が、確か第二王子のネンクル殿だったはず...」
ル「ちなみに、縁談の話はどれぐらい来ておるのだ?」
マ「377件です」
シ「多いわね~...流石我が娘」
マ「ちなみにリアにも縁談の話が来ておりまして、こちらは82件です」
イ「リアも思いのほか多いのう」
シ「思いのほかとはどういう意味でしょうか?」
ヨ「そうです!リアちゃんに失礼でしょう?」
イ「あ...いや、すまない。リアが美しい娘である事は承知しているのだが、色々と知っておる身では...」
シ「何を知っておられるのでしょうか?」
イ「あ...いや...え~...」
ニ「これ、シャーリーもよさんか...ともかく、リアも16じゃ。縁談を進めるのに良い歳になったと言う事じゃろう。ただタニアの方が見目麗しいと思われたんじゃろう。あと、タスバークではないが、19という適齢期後半という事もあり、縁談話に拍車がかかっておるんじゃろうて」
ガ「そうかも知れませんね。それにしても377件か...確かに多いな」
リ「私の時は数件だったんですけどね...」
シ「そりゃあそうでしょう。ルイクス様との結婚がずっと噂されていたんだから...。それでも求婚者がいたんだから凄いじゃない」
ヨ「私は全くありませんでした...」
リ「国の内外問わず、大将軍が目をかけている女性に唾を付けようという猛者なんていないでしょ?」
ヨ「そういうものなのですか?」
シ「と言うか、イブウェル様以外から声がかかって嬉しいの?」
ヨ「嫌です」
イ「(ほ...)」
ニ「しかし、タニアの縁談の話はまだまだ増えるじゃろう。今やエルセリアの領主となったのじゃ。そのおこぼれに預かる事が出来るという考えもあるからのう」
ク「エルセリア領主というのは、おいしい話なのでしょうか?私には苦労の塊にしか見えませんが...」
ニ「聡いの、クウィルは。まさしくエルセリアは我が国の要衝であるからの。特にクラスタンプの動向には気を付けねばならんし、トモニアの管理も必要じゃ。何より、商人どもの動きには目を光らせておかねばならん。なかなか管理するにはなかなか大変な場所じゃ。エバンは良くも悪くも優れた領主であったからの。今まで上手く管理しておったのじゃが、さて...」
マ「そのような場所であれば、早々に次の領主を決めねばなりませんでしょう?」
ニ「リョウにも言ったが、そうホイホイと領主は変えられん。領民が不安になるしな。そもそも先ほどの話を聞いておったか?管理するのが大変な場所なんじゃぞ?普通のものであれば気後れするわい!それにクラスタンプが攻めてきたという事実もある。そのような物騒な場所に誰が好んで行くんじゃ?」
ク「そうですよね...リョウもよくぞ思いつきでもタニアを推してくれたものです」
ニ「正にのう...結局リョウの思いつきが最善の方法だったと言う訳じゃ」
ル「奴はそこまで考えていたのでしょうか?」
ニ「考えてはおらんじゃろう。今も自分がタニアを領主にした責任を負って行動しておる。健気なものじゃ」
イ「自ら言いだした事だ。それぐらいの責任は負うべきでしょう」
ニ「その意見は正しい。が、それを行動で示しておる。エスコートの作法を知りたいと言った事にもそれは現れておる。あれ程の者がタニアの傍に居る事は非常に心強いものじゃ。儂が実権を握っている時に、あのような者がおれば...いや、無理じゃな...儂はリョウを危険視しておる。儂以上の能力を持つ者など怖くて傍には置けんじゃろう」
タ「お父様以上の能力ですか!?それは無いでしょう!?」
ニ「奴は『今』の儂と同等の思考能力、洞察力を持っておる。当時の儂は、今の儂より未熟じゃ。当然、当時の儂はリョウに及ばん」
ガ「それは本当ですか?リョウは私とほぼ同年代ですが...今のお爺様と同等なのですか...」
タ「恐ろしい存在ですな」
ル「逆にタニアが心配になりますな」
マ「では、タニアを首都に呼び寄せて、早々に次の領主を...」
シ「さっきお義父様が難しいとおっしゃったでしょう!!」
■国王ルイクスの考え
ニ「ところでルイクスよ、お主はどう考えておるのじゃ?」
ル「正直考えたくないですな」
タ「おい!そう言う訳にはいかないだろう?」
ル「いちいち突っかかるなよ。国王としては何とかして懐柔したいと考えておる。それこそ男爵位を与える事ぐらいは考えてはおる。が、それは良策ではないとの事なので、諦めるがな」
イ「では現状無策という事ですかな?」
ル「正直、無策だな。リョウに対しては全く策を思いつかぬ」
タ「おい!それは無責任だぞ!?」
イ「兄上...それは無いでしょう...」
ル「では聞くが、お主たちは何かリョウに対しての策があるのか?」
タ「...」
イ「...」
ニ「まぁ、そうじゃろうな。そもそも儂も策なんぞないからのう」
ガ「お爺様!?それは本当ですか!?」
ニ「本当じゃよ。今は都度都度対応しておるだけじゃ。しかも、どういう問題を持ち込むのか全く分からんからの。胃が痛いわい...」
ル「大変申し訳ないのですが、リョウの対応はお父様にお願い出来ませんか?」
ニ「儂にか?...まぁそうするしか無さそうじゃな...あい分かった。しかし、お主らに相談する事なく決断する事もあり得るぞ?それでも良いか?」
ル「事後にでもご連絡は頂けるのですよね?」
ニ「当然じゃ。でなければ国の運営に支障をきたすじゃろうからな」
ル「であれば問題ありません。そもそも、リョウに関しては私には判断がつきませんゆえ...」
ニ「一応言っておくが、儂もきちんと判断をしておる訳ではないぞ?やっておるのは単なる会話じゃからの」
タ「会話...ですか...」
ク「リョウは会話をすればする程、理解できる人物です。そして、リョウは会話する事を億劫とは思っていません。分からない事を素直に聞けば、きちんと説明してくれます。後はリョウからの質問にこちらがどこまで答えるかですかね」
シ「クウィルの意見には同意するわね。リョウは素直な子よ。そして純粋ね。まるでヤレスのよう...」
マ「ヤレスお兄様ですか...お母様の親戚でしたよね。正直、あまり好ましいとは思っておりませんでしたが、優しい方だったのは覚えております」
シ「あなたは、タニアが自分よりもヤレスに懐いていたのが気に喰わないだけでしょう?」
リ「あれはどう見ても、タニアちゃんがヤレス君に恋焦がれていたわよね」
ガ「エルセリアの最前線に送られた時に、タニアも志願してエルセリアの最前線にまで行ったんだもんな」
イ「それがあの娘の不幸の始まりでもあったが...」
ル「『紫紺の魔女』とは、よく言ったものよ...」
タ「あれから6年か...長かったな」
シ「そういう意味では、リョウに感謝でしょうね。タニアを蘇らせたのですから」
マ「私にも出来ましたがね」
ニ「無理じゃ」
タ「無理だな」
ル「無理であろう?」
イ「無理」
シ「出来なかったからの今でしょう?」
リ「現実を見なさい」
ヨ「えっと...頑張ろうね?」
ガ「そもそもお前の暑苦しさに逃げておったではないか」
ク「乙女心が理解できない男性は嫌われますよ?」
マ「...」
■王家のリョウ対策本部設置
ニ「ともかく、儂がリョウの窓口で良いな。ルーヴは引き続き儂の補助をさせ、何かあればルーヴ経由でリョウと連絡を取る事とする」
ル「クウィル、お前もお爺様の補助をせよ。リョウと忌憚なく会話出来るのは今のところ、お爺様とルーヴとお前だけのようだからな」
ク「承知しました」
シ「私はどうしましょうか?」
タ「タニアとリアの事を中心に会話をすれば良いのではないか?母親だからそうするのが自然だろう」
リ「私もリョウと話をしてみたいわね」
ル「それは好きにすればよかろう。ただし、奴は神出鬼没であるからな。会うのは難しいかも知れんぞ?」
リ「あら?お茶会に誘うって言う事も出来ますでしょ?」
ヨ「あ!そこに私も呼んでくださいまし!」
リ「えぇもちろん」
イ「女性陣は楽しそうで良いな」
リ「こういう事はね、楽しくするのが一番なのよ」
ニ「確かにそうじゃろうな。リョウも楽しい雰囲気であれば、色々とボロを出すじゃろうし、そこはリリャンに任せるので良しなに」
リ「心得ました、お義父様」
ガ「じゃあ、私はどうしようかな?」
ク「私のレイピアの件もありますので、一緒に来られてはいかがですか?」
ガ「そうだな。確かに私もリョウの作る武器には興味がある。その時は参加させてもらおう」
マ「じゃあ、私は...」
タ「お前は何もしなくて良い」
ル「話がややこしくなるだけだ」
ニ「既に話がややこしくなったわい...」
シ「ルーヴから連絡があったら、特訓するようにしましょう。当日は動けなくなるでしょうから」
タ「任せる」
マ「え?嫌です!!」
シ「ダメです!!」
こうして、了についての王家の話し合いは無事(?)に終了していったのでした...。




