■■■ Step041 マッドサイエンティストの使いたくなかった禁じ手発動
第五章が始まりました。
ここから本格的なストーリーになる・・・かも?
足早に城内を通り、夜霧に戻って来た。
「お待ちしておりました、ご主人様」
カラーが入口の所で出迎えてくれた。
「留守番ご苦労様。で、あれから何か分かったかい?」
「いいえ。特に大きな動きはありません。ですが、エルセリア領主とクラスタンプの間では、やはり人の動きがあったようです」
「そうなのか?」
千里眼を打ち上げたのは10日前だから、それ以前の動きだったら分からないんだよな。と思っていたが、間に合ってたようだな。
「はい。いまから9日前にクラスタンプからの行商人が入ってきています。同日に早馬がエルセリアに入っています」
「なるほどね。で、その行商人は?」
「翌日にエルセリアからの早馬がコープルに入り、その後行商人はクラスタンプに移動を開始。3日前にクラスタンプの首都タカラスに入っています」
「状況としては、クラスタンプと領主がタイミングを合わせているって判断出来るよな?」
「おそらくですが出来ますね」
さて、これで色々と裏が取れたな。
確実な証拠。という訳ではないが、状況証拠としては十分だろう。
「エバンも困った奴じゃわい」
と、今まで黙って話を聞いていたお爺様が口を開いた。
「エバンとは?」
「エルセリア領主の名前じゃ。40年程前の戦争ではまだ若造じゃったが、功績を上げたのじゃ。それが切欠で奴の父親が領主に抜擢されたんじゃが...当時から血気盛んでのう」
「血気盛んが昂じて暴動ですか?」
「ホント、困ったわい」
聞いているだけだと困っているような雰囲気はないが、その言葉は重かった。
お爺様にとっては古い知り合いになるんだろうか。
だが、そんな事を感じさせないようにも感じる。
「国王陛下は大変ですね」
「お前、本当に口の減らない奴じゃな」
それを平然と聞いて、平然と返事している貴方もですよね?
と、思ったが口には出さない。
後が怖そうだからな。
「リョウ。聞こえるかい?」
タイミングよく、ミームから連絡が入ったので、今回もみんなに聞こえるようにしておいた。
声は落ち着いているので、大きな事件とかは起こってないようだな。
「ミーム。聞こえるよ。何か分かったかい?」
「大した事は分からないねぇ。ともかく街は平穏だよ。だけど兵士が増えたっていう話はあちこちで聞くね。何人かはクラスタンプ軍への対抗として準備しているんだって言ってる奴がいる」
流石ミームだな。期待通りにちゃんと仕事をしてくれたな。
「その噂は領主が流している可能性もあるな。そう言っておけば理由付けになって、皆は安心するだろうからな」
「そうなのかい?まぁ、ありえなくもないか。実際、街は平穏だからな~」
そして、その平穏を一気に破って暴動を起こすのだ。効果抜群だろうな。
あ、これも確認しとかなきゃだな。
「で、ご飯は食べたのかい?」
「あぁ。満腹さね。今から帰って寝ようかと思っているよ」
「悪いがもう一つ頼まれても良いかい?」
「聞けるものであればね」
「今からタニアの屋敷に行って、屋敷に泊ってくれないか?タニアの了承を貰っておくからさ」
屋敷に行ってもらい、ミームの最低限の安全を確保する。
同時に、この情報を屋敷の人にも共有してもらいたいのだ。
「タニアの屋敷に泊まれって?それは良いけど、どうして?」
「聞いての通り、ちょっと色々と起こりそうなんで、ミームを現地作業員として確保しておきたいんだよ。それと今から急いで戻るので、それも伝えて欲しい」
「今からかい?急いで戻るとしても、2日後ぐらいかな」
「もっと急ぐつもりだから、明日には着くと思ってくれ」
「本当にか?まぁ分ったよ。シャインに伝えておくよ」
ミームは驚きながらも笑って快諾してくれた。
「それはそうと、タニアには了解を貰っているのかい?」
「あぁ。了解済みだ」
と、タニアが返事をする。
正直、今いきなり言った話だが、タニアも問題ないと判断したんだろう。
「お、タニアも聞いてたのかい。なら大丈夫だね。屋敷に行って来るよ」
「シャインにすまないがよろしくと伝えておいてくれ。それと事情説明も頼む」
「わかったよ。他にはないんだね」
「あぁ、大丈夫だ。色々ありがとう。おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
通話を切り、一同を見回す。
よし、あとは命令書の到着を待つだけだ。
「今からここを出て、夜通し走っても明日の昼ぐらいにしか到着せんぞ?」
改めてお爺様が疑問を提示してくる。
言っている事は正しい。
「そうですね」
「間に合わなかったら、エルセリアには入れん。どうするつもりじゃ?」
「その時はミームに内部で動いてもらって、なんとかします」
「そうじゃった...内側に仲間がおるんじゃったな」
こういう時は内部に仲間がいるのが助かる。
「彼女も大切な仲間ですよ」
「ところで、最大の問題なんじゃが、ええかの?」
「どうぞ」
「どうやって砦の領主の前に行くつもりじゃ?」
「策はあります。が、秘密です」
それは考えている。領主の前に行く事は問題ではない。
問題はそこから「どうするか」なのだ。
「タニアは安全なんじゃろうな?」
「タニアが安全でなければ、私は実行しません」
「はぁ...その自信はどこから来るんじゃ...」
それは私も分かりませんよ。
そもそも自信ではなく、これは決意なんですから。
「リョウ様!ルーヴです!開けてください!」
突然、夜霧のインターホンが鳴り、そこからルーヴの声が聞こえる。
何かあったのだろうか?
「ルーヴ?どうしたの?」
夜霧のドアを開き、ルーヴを招き入れる。
すると、胸に抱いていた一枚の書簡を渡して来た。
「これ...国王陛下からの書簡です。これを渡すように仰せつかりました」
「お!ありがとう!これを待ってたんだよ」
お兄様の誰かが来るかと思っていたらルーヴだったとはね。
そういや、ちゃんと挨拶してなかったからな。有難い。
「あと、陛下からこれも渡すようにと...」
と、夜霧の入り口に立っていた兵士がずっしりと重い袋を3袋も渡して来た。
確かめるまでもなく、金貨が入っているようだ。
「なるほど。軍資金って事だな」
「陛下からは返す必要はないとの事です」
「なるほど。ありがたく使わせてもらおう」
個人的には足りるかな?と思ってしまうが、それは言わぬが花。
「これから出発されると聞いたのですが...」
「そうなんだよ。かなり急な用事でね」
「そうなんですね。とても楽しかったので残念です」
「ごめんごめん。またみんなで来るからさ。その時よろしく」
下手に約束出来ないけど、なんとなくまた首都に来る事になると思うんだよな。
「わかりました。お待ちしております」
ウルウルとした目で見つめられた。
そんなに楽しかったのかな。
今度はみんなでトランプゲームでもしてみよう。
「おぬし...いや、まぁ良い。では儂も戻るとするか。さっきの話を国王にしてやらねばならぬしのう」
「よろしくお願いします」
何か言いかけたが止めちゃったな。この人らしくないが、今は一刻を争うのだ。
「おぬしも何をするか知らぬが、まぁ頑張れ。儂としても大きな事件は起きて欲しくないからの」
「その割には嫌そうですね」
「おぬしに頼らねばならない事態が嫌じゃな。なんか借りを作るみたいじゃわい」
そうでしょうね。
これは国レベルで対処しないといけない案件だ。
それを私みたいな意味不明な者に関わらせるのは嫌なのだろう。
しかし、すぐに動けて、対処できるかも知れないのは私しかいない。
「みたいじゃなくて、これは借りですよ」
「何を言っておる。おぬしも必要があっての行動なのじゃろう?」
「それこそ何を言ってるんですか?あなた達の管理不足が原因じゃないですか」
「くそう...今に見ておれ!」
本当に、この人との会話はタニアと違う意味で楽しい。
勝った負けたではない。遠慮なく言える事が楽しいのだ。
「お爺様が負けた?」
「嘘...ありえない...」
そうなのか?たぶん相性の問題だと思うけどな。
もう日が落ちて、暗い道だがバイクである電龍は問題ない。
ヘッドライトを点灯させ、真っ暗な城内を走り抜け、街中を通り、一気に首都を出た。
目指すはエルセリアの街だ。
首都を飛び出し、しばらくは夜の平原をひた走る。
タニアとリアはいつものように電龍に乗っている。
もう、パターンだよね。
カラーは夜霧の中で待機だ。
そもそも電龍に4人も乗れません。
今からかなり忙しくなってくるので、今の内にユリに連絡しておこうと思い電話をする。
『もしもし、ユリ?』
『あら~、了くんから電話やて。珍しいやん』
この声はかなりご機嫌だな。
『あ~...確かにそうやな』
そう言えばいつもユリたちからかかって来てたよな。
いつも向こうからかかってくるので、こちらから電話する事ってなかったんだよな。
『どないしたん?なんかあったん?』
『あぁ、あったんや。今から数日忙しくなるんと、秘密の行動をするんで、電話に出るんは難しくなったんやわ』
緊急事態の最中に電話があると大変だからな。
簡単に現状を説明して、納得してもらおう。
と、言う事でこっちの世界に来てからの事を掻い摘んで説明した。
『えぇ~!電話でけへんの?』
説明したが、やはり文句を言われた。
『すまん!チャットは大丈夫やから、そっちで連絡してくれへんかな』
全く連絡なしというのは流石に問題ありだと思うからな。
『わかったけど...それにしても、例の領主って何なん?めっちゃ迷惑やわ?』
『ほんま...そうやわ』
こっちの世界ではのんびりとした異世界探索をしたいと思ってたんだがな。
全部ぶち壊しになってしまった。
が、今更な話だな。
ともかく、エルセリアにはゲートがある。
それだけなら首都に一時的に移動させるだけで良いが、タニアの屋敷があり、住んでいる人がいる。
ミームもいるし、いちおうスバン君もいる事だしな。
『タニアちゃんは大丈夫なん?』
『大丈夫や。リアも元気やしな』
『了くんは?』
『俺も大丈夫。そっちはどうや?』
『こっちも皆元気やで。今順番にお風呂に入ってるとこ』
『わかった。じゃあ、すまんがみんなに言っといてや。今からちょっと大変やから、これで切るで』
『うん。気を付けてね。無茶はあかんよ?』
『ありがとう』
これで突然の電話コールで驚くとかはなくなったはず。
これを乗り切って、大阪に戻るぞ!
「リョウ...みんなとはしばらく電話出来ないんだな」
後部座席に座っていたタニアが聞いてきた。
翻訳機『刹那』を付けていないが、なんとなく分ったのだろう。
「夜のうちに行動を起こすという事は考えられないからな。今夜は大丈夫だろうけど、領主側の動きが分からない。一通り終わってから電話しようか」
「そうだな」
今も千里眼で砦の動きは見ているが、兵士だらけで良く分からない。
それに分かるのは砦の外だけだしな。
しかし、この様子だと決行日はおそらく明日だな。
兵站も集まってきているし、見る限り慌ただしいからな。
一応色々と準備はしているので、こちらの作戦の成功率は高いと思っているが、実際は出たとこ勝負だな。
首都からはそこそこ離れたのを確認し、タニアとリアに話しかける。
「もう少し走ったら、ちょっと休憩するぞ」
「え?もう?急ぐんじゃないの?」
リアが驚く。
「急ぐから休憩するんだよ。まぁ、夜霧で説明するから」
首都セルドイから約3km離れた所で停車した。
周りは何もない平原だ。
千里眼で確認しても、私たち以外は存在しない。
黒梟の誰かが追ってきているかと思ったが、今はそれどころではないと思ったのだろう。
有難いことに放置されている。
夜霧に入り、コーヒーと紅茶を用意して一息つく。
いやしかし、この2日間は本当にヘビーだよ。
しかも、もっとヘビーなのが残っているもんな。
これから、エルセリアの暴動を止めなきゃなんだよなぁ~...。
椅子に座ってうなだれていると、タニアが心配そうに聞いてきた。
「大丈夫か...?確かに今回の件は大変だが、リョウが全部抱える必要はないぞ。以前も言ったが私たちを頼ってくれ」
そうだよな。
また失敗してしまったな。
「ありがとう、タニア。そうだな。ちょっと1人で突っ走ってしまったな」
「いや。それでも、このような事態に作戦を思いつけるのはリョウしかいないがな」
「本当にね。まさかお姉様を領主にしてしまおうって考えるのはリョウだけよ」
お褒めに預かり大変恐縮だが、今回の件については本当に思いついただけなんだよな。
「タニアが領主になったら、リアにはもっと頑張ってもらわないとな」
「え?待って待って待って!アタシ、忙しいの嫌だからね?」
突然焦りだすリア。
「お姉様の手伝いをしないつもりか?どうせ仮なんだから、楽しくみんなで領主を楽しもうと思ったんだが...」
「楽しく領主?」
お、食いついてきたな。
「だって、簡単に領主なんてなれないんだぜ。だったら領主の間に楽しんでしまおう。どうせ、すぐに新しい領主が来るんだから」
「確かにそうだな。領主にはなりたくはないが、なるんだったら楽しんでみるのも良いかもな」
タニアも食いついてきた。
まぁ、私たちはいつでもこんな感じでいいんだろう。
「はいはいはい!アタシ、冒険者ギルド担当が良い!!」
「冒険者ギルド担当って、何をするんだよ?」
突然張り切りだしたリアだが、そんな役職聞いた事もないぞ?
「わかんないけど、面白そう!」
わからんのか~い!
「あ~...まぁ、楽しむのが目的だから、それでも良いかもな」
「あの...私はいかがいたしましょうか?」
控えめにカラーが声を掛けてきた。
「そうだな~...そもそもカラーは何がしたい?」
「したい事ですか...私はご主人様のご用命に応える事でしょうか?」
「なるほどね。それはとても助かるな。よろしく頼むよ」
気持ちも大分落ち着いてきたので本題に入ろうか。
「さて、ここで休憩したのはちょっと理由があってな。一気にエルセリアに戻ろうと思うんだよ」
「え?だから、さっきまで走ってたんじゃないの?」
「そうなんだけど、このままずっと走ってたら本当に明日の昼ぐらいに到着になって、場合によっては間に合わない可能性がある」
「そうだよね。それはさっき聞いたわよ」
「で、一番確実なのは、今すぐエルセリアに戻る事だ」
全員が固まった。
ん?それほど驚く事なのか?
当たり前の事を言っただけなんだけどな。
「今すぐって...今すぐ?え?だからお城を出て走ってたのに、明日の昼に着くのよね?今すぐってどういう事?」
リアがとても混乱しているが、その前にカラーに確認だ。
「その前にカラーに確認だが、私の事はどこまで知っている?イスフォーンから何か聞いていないのか?」
「イスフォーン様からは、ご主人様が違う世界から来られた事、ゲートを作ってこちらに来られた事」
「なるほど。ゲートの事を知っているなら話は早いな」
その説明をどうしようかと思っていたが、知っているなら問題はない。
「では、今からここにゲートを作って、一度大阪に戻り、そこからエルセリアの屋敷に移動する」
決定的な事実を伝えたら、再度全員が固まってしまった。
「え?どういう事だ?」
「言ってる事が分かんないんだけど?」
まだ分かって貰えなかったようだな。
「じゃあ、見ていれば分かるよ。ちょっと来てくれ」
みんなで夜霧から外に出てもらい、私はタブレットで自宅の機器を操作する。
しばらくすると、電龍の目の前の空間に光のゲートが出現する。
光の奥には懐かしき実験室が見える。
「リョ...リョウ!これはどういう事だ?」
まだタニアが混乱しているな。
「自宅の実験室...堅牢の間にもう1つのゲート発生装置を作っていてな。それを稼働させて、ここにゲートを作るように指示をしたんだ」
「これで、リョウの家に戻る事が出来るって事か?」
「そうだ。そして、タニアの家に繋がるゲートを通れば、あっという間にエルセリアに戻れるって訳だ」
「それは...凄すぎるぞ!!」
まぁ、本当はこの機能を使って、一気に首都まで行こうかと思ったんだけど、面白くないから止めたんだよな。
おかげでゴーレムを拾っちゃったんだけど...。
「個人的にはこういう裏技は面白くないからな。出来るだけちゃんと移動しようと思っていたんだが、今回は仕方がない」
「確かにそうだな。この方法で移動しても面白くはないよな。逆に驚いたけど」
「でもでも、これだったら簡単に首都に行けるから、お兄様たちにもすぐ会えるようになるわよね?」
リアはするどいな。
と言いたいところだが、これぐらいはすぐに思いつくか。
だって、今目の前でそれと同じ現象が出来ているんだから。
「そうなんだけど、これをやろうとしたら、私が異世界の人間である事を説明しなきゃになるんだぞ?」
片道2日かかるところを、1分以内で移動するんだから、大問題だろ。
そもそも地球でも大騒ぎになる。
「え?問題あるの?」
「え?問題だらけだけど?」
「え?どんな問題なのよ?」
「え?このゲートって国家機密を遥かに超える存在だから、タニアとリアとミームと一緒に居られなくなって、もうこの世界にも来れなくなるけど?」
「え?それはダメ!!」
「だろう?だから、今はタニアとリアとミームとカラー。これだけの人にしかダメ。分かった?」
「あ~...うん...分かったわ」
とは言うが、リアの事だ。問い詰められたらちょっと危ないかもな。
「一応確認するけど、誰にも言ってないよね?」
「言ってないわ。そもそも聞かれてもないもの」
「...その反応、聞かれたら答えてそうだね~」
ジト目と言われる視線をリアに向ける。
それを受けて、リアは非常に乾いた笑いを浮かべるしかなくなったようだ。
「あはは~...でも大丈夫!本当に言ってないから」
ま、リアは素直な娘だから、言ったならちゃんと言うだろう。
「分かったよ。ちゃんとリアの事を信じているから」
「ありがとう!」
「いえいえ。じゃあ、ともかく、このゲートを通って大阪に戻って、それからエルセリアに行こう」
「分かったわ」
早速電龍に乗り込み、ゲートに向かって進む。
ゆっくりと大阪の実験室に入り、そのまま進んで既設のゲートに向かう。
ゲートを少し操作して、タニアの屋敷の庭に出るようにしておいた。
なので、ほぼノータイムで首都セルドイからエルセリアに移動した事になる。
夜中なので、誰も気が付いていないのが良かったな。
「すご~い!もうお屋敷に着いちゃった!!」
「これは...本当にすごい技術だな。体験しておきながら信じられん」
「これがゲート...素晴らしいです、ご主人様」
三者三様に驚いているな。
「ともかく、今日は部屋に戻って寝ようか」
「いや、その前にお風呂に入りたいのだが?」
「アタシも!」
「あの...私も体験したいのですが...」
お風呂が大人気だな。
日本人としては嬉しいが、屋敷にも設置してくれって言われそうだな。
問題は水なんだが、どうしようかな。
とりあえず、それは後回しで良いか。
「おっと。じゃあタニア、すまないけどカラーと一緒に...って、そうだ!カラーって例えば水浴びとかは問題ないのか?」
「はい。そもそも私の身体はゴーレムとは言え、生命体として人間の女性と変わらないのです」
「あ、そうなので。じゃあ、タニア、一緒に入るついでに説明してあげて」
「任せろ」
頼もしいな。
「その後リアが入ってって事で...あ、着替えも必要だし、先に屋敷に入って、屋敷のみんなに戻って来た事を伝えてもらった方が良いかも?」
「あ!じゃあ、アタシはミームを誘って、一緒にお風呂に入るよ!」
「お!いいんじゃないか?問題はリアがちゃんと説明できるかなんだが?」
「大丈夫!」
「なんとな~く心配だけど、まぁ良いか。じゃあお願い。私はその間にお風呂の準備をするよ」
「では、私もご一緒します、ご主人様」
と、カラーが声を掛けてくる。
「いいけど、どうして?」
「先ほども言いましたが、ご主人様の役に立ちたいので、簡単な事は覚えたいのです」
「ありがとう。とても助かるよ。覚えたい事はなんでも教えるけど、無理はダメだからな?」
「承知いたしました」
そんな感じで二手に別れ、色々準備する。
カラーには簡単にお風呂の掃除と、準備の方法、あとは使い方を説明した。
タニアと入る時に実践してもらえば良いしね。
あとはトイレ掃除だけど、これは明日でも良いだろう。
掃除洗濯は苦痛ではないけど、出来る人が増えるのは助かるな。
それにしても、今日出会ったのに、もう馴染んでしまったな。
ま、出会いに感謝だな。
イスフォーンにも感謝しておこう。
しばらくしてタニア、リア、ミームが戻ってきて、まずはカラーの紹介。
特に問題なくミームに受け入れてもらったのだが、小声でこんな事を言われてしまった。
「リョウ...お前、女難の相があるんじゃないのか?」
そんなつもりは無いのだが、周りを見ればそうだろうな。
マジで周りに私以外の男性がいない。
別に男性が嫌いだとか思っている訳ではないし、男性の友人も普通にいるのだが、身近な存在ではないんだよな。
なんでだろう?
なんやらかんやらで女性陣がお風呂に入ったので、私もお風呂に入ったのだが、カラーを含め、全員が夜霧で寝たいと言いだした。
「私はまだここで寝てないからな。今後忙しくなりそうだし、今のうちに体験したいんだ」
とミームが言えば、
「私は眠る事はないのですが、皆様と一緒にベッドというものを体験してみたいです」
とカラー。
「アタシはね!この高いのが良いの!狭いけど」
狭いは余計だ!
「まぁ、砦の方は何があるか分からないからな。まとまっていた方が良いだろうという話だ。大阪のパジャマパーティーを思い出すな」
と、これはタニアだ。
そんな訳で、女性陣はついでに夜霧でパジャマパーティーにするそうだ。
楽しめる時に楽しむのが良いだろう。
私は一人寂しくロフトベッドに転がる。
明日は忙しくなるはずだから、とっとと寝よう。




