■■■ 【サブストーリー】リア Step001 日常の崩壊
今回のサブストーリーはリアです。
彼女も複雑ですよね。
お姉様が男と一緒にお茶をしていた。
信じられない光景。
思わず、
「お姉様!彼...男!?」
って叫んじゃった。
お姉様はあの事件の日以降、男と2人きりでゆっくりとお茶を飲んでいる場面は見た事がない。
唯一の例外はスバンだけ。
とは言え、本当の意味で2人きりになった事は無いはず。
必ずアタシか、メイドか侍女が傍にいる。
それでも、男としてお姉様とお茶をするのは他には居なかったの。
ただ、どう見てもお姉様はスバンを「男」と認識していないのよね。
本当にただの隣人で、近所付き合いをしているだけに見えるの。
ただ、スバンはそうじゃないのが分かる。それも、面白いほどに分かりやすいの。
お姉様を妻に迎えたいという考えが全身から出まくっているの。
でも残念ながら、そういうのはお姉様には全く分からないので、見てて気の毒なぐらいに...楽しいの!
そんなお姉様が男と屋敷の中とは言え密室で、本当の意味で2人きりで話をしているなんて、本当に驚いちゃった。
屋敷に戻った際に、事前にシャインから「タニア様は男性のお客様とお二人で応接間でお茶をされています」って聞かされて、思わず走って突撃しちゃったわ。
お姉様から「シャインから聞いてないか?」って聞かれたけど、「聞いて突撃しました」って言えないもんね。
そんな男。リョウ・カダヤは変わった男だった。
変な服装をしてる。
貴族が着るような形なんだけど、色々と違う。
しかも真っ白って、聖職者なのかしら?
そして、お姉様を見ているけど、見ていない。
ほとんどの...違うわね、全ての男はお姉様をじっくり見るの。
それはもう、服が透けて見えてるんじゃないか?って思うぐらいに見てる。
あ、そこはスバンも一緒。
お姉様ももう慣れちゃったみたいだけど、傍から見てても気持ち悪い。
恥ずかしくないんだろうか?
ともかく、リョウはちょいちょい見てる...あれは胸よね...けど、すぐに視線が消える。
面白いわよね。
本当はお姉様が相手をしている「男」を見る為だけに突撃したんだけど、言い訳みたいにコボルドの話をする事になった。
実際、気になっていたのもあるんだけどね。
そうしたら、リョウが色々と話をし始めて、ギルドに行く事になったの。
正直、良く分かってないけど、お姉様の様子から、ちょっと問題が起きてそうな感じ。
で、ギルドで色々と話を始めたんだけど、またコボルド討伐の依頼が発生したのよね。
しかもサイクロプスという「おまけ」まで付いて。
結局、この依頼は受ける事になったの。
アタシとミームだけだったら、絶対にこんな危険な依頼は受けないんだけど、お姉様も来てくれるって話だし、リョウも来るって言ってる。
それにしても、不思議なのはリョウ。
会って、その日にお姉様と友になったそうで、屋敷でお茶をしてたんだって。
なんでも魔法理論の話で盛り上がったそうで、めずらしくお姉様が嬉しそうに見える。
でも、「男」なのよね、リョウは。
魔術師の男が訪ねてきた事はある。
けど、結局は「紫紺の魔女」であるお姉様に興味があるか、「女」としてのお姉様に興味があるか、だけ。
「男」は、「女」としての、お姉様にしか興味がない。
それがアタシにとっても、お姉様にとっても、常識だった。
けど、リョウは「男」なのに、違うのよね。
本当に、普通に「友達」なのよ。
会ったばかりなのに、お姉様と楽しそうに話をするし、意見も言うし、それも話が合っているのよ!!
これは凄い事なの!!
アタシははっきり言って、頭は良くない方なの。
だから、お姉様の言っている事が良く分からない事が多いの。
だからと言ってお姉様が怒ったりはしないけど、ちょっと寂しそうな感じだったの。
お姉様と話の合う人間。
首都に行けば学校の同僚とか、話の合う人はいるみたいなんだけど、少なくとも、ここエルセリアには居ない。
居たとしても、ほぼ男で、話にならない。
だから、お姉様の楽しそうな所をここ数年見た事がなかったの。
それが、とても楽しそう。
そして、お姉様と仲が良さそう。
個人的には嬉しい。
お姉様が嬉しそうに、楽しそうにしているのを見るのは、胸が温かくなる。
だけど、ちょっとだけ寒い。
なんでだろ。
嬉しいはずなのに、ちょっとだけ嬉しくない。
リョウが嫌い?
そんな事はない。
アタシにとってもリョウはもう友達だ。
いっぱい色んな事を知っている。
いっぱい色んな事が出来る。
いっぱい色んな物を持ってる。
そして、いっぱい色んな事を教えてくれる。
お姉様もいっぱい教えてくれたけど、今一つ分からなかった。
けど、リョウはすごい。
ちゃんと分るの。
ひとつ分かると、他の事も分かるようになるの。
それが面白い。
色んな事を教えてくれる、リョウが好き。
友達としてね。
だから、リョウが嫌いって事は絶対にない。
だけど、なんだろうな。
お姉様とリョウが仲良くするのが気になるのは何故だろう?
アタシは2人には「男」と「女」としても仲良くして欲しいと思ってる。
それこそ、結婚しても良いと思ってる。
それぐらい、お姉様にはぴったりの相手だと思ってる。
それは本当。
だけど、なんだろうな。
お姉様とリョウが仲良くするのが気になるのは何故だろう?
今までお姉様の一番近くに居れたのは、アタシ。
でも、もうリョウがお姉様に一番近くに居る。
でも、それでいい。
お姉様、あんなに嬉しそうなんだもの。
もう、お姉様の一番近くに居られないかも知れない。
それが恐いのかもしれない。
分かってる。分かってるはず。
考えられないけど、いずれアタシも一番近い「男」が出来るかも知れないし。
本当に考えられないけどね。
分かっていても恐い?
それとも、別の事が恐いの?
分からない事が恐い?
本当に分からない。
ま、そのうちに分かるんじゃないかな。
今は、お姉様とリョウをくっつける事だけ考えようかな。




