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第9話:時代の流れって恐ろしい(ヲタ的な意味で)

【ストーリー概要】

新垣の店で、様々なトラブルの末、昼食を撮り損ねた二人。


どうしようか、別の場所を探そうかと考えていた二熊だが、

氷理はとある特別な提案を出してきた。

 午前十三時二十分


 新垣の看病をナツメさんに任せ、バイクで移動するオレと二熊。

 現在は、人通りの多い住宅街をのんびりと走行している。


「あーあ、結局飯を食い損ねちゃった」

「そうだな……あれはちょっと予想外だったからなぁ……」


 三人での久しぶりの再会が、まさかあんなにも悲しい事件になってしまうだなんて……時の流れというのは非情に残酷だ。


「この辺りは、あんまり飯屋ないだろ? コンビニでも寄るか?」

「……いや、せっかくだから市役所で飯を食わせてもらおうぜ。あそこにはちょうどタダ飯があるし」

「タダ飯? そんなものあったか?」

「……まあ、お前はまだ知らないと思うけど、実はあるんだよ」

「……?」


 二熊はオレの言葉に『?』を浮かべているようだが、説明するのが面倒くさい。

 ひとまず連れて行けば分かるだろうから、オレはそのままバイクを走らせることにした。

 ………

 ……

 …


 十三時三十六分 市役所裏口


「ここだ、二熊」

「ここだ……って、どうみても関係者以外立ち入り禁止って書かれているじゃんか」

「そうだな」


 オレ達が来たのは市役所の裏。

 普段は一般の人が来ることはない、完全なるスタッフオンリーゾーンだ。


「お前、ペットショップのおじさんだろ? 市役所関係なくね?」

 そんな場所に迷うことなく一直線に向かったオレに対し、二熊はどうやら疑惑を感じているようだが――

「あるんだな、それが」


 そう言って、オレは財布の中から一枚のICカードを取り出して、二熊に見せる。

 カードは黒く光沢があり、表面には『TACHIMACHI★CARD』とだけプリントされた文字が書かれている。


「……なんだそれ?」

「関係者カードぉ~!」

「関係者カード?」

「これを使うと、なななんと! 目の前の扉が開いてしまうのです」


 カードを太陽の光に反射させ、ひゅっと空高くに飛ばし、回転してキャッチに失敗するオレ。

 おい二熊、わざとらしく笑うな。今のは無しだ。忘れるか死ね。


 ゴホンと一つ咳払い。

 オレはカードに付着した泥を叩き、気を取り直して扉の電子ロックに当て解除する。

 ピッ……!

 ガチャン……!


「はい、開きましたとさ」

「おぉ……市役所なのに以外とハイテクなセキュリティ」

「スゲえだろ? 普通の市役所の職員ですら持っていない、超特別製なんだぜ」


 そう言って、二熊に自慢をするが――


「……氷理、自慢したいっていう気持ちはよく分かった。しかし、お前はバカだから知らないとは思うが、不正に鍵を入手して扉を解錠することは、れっきとした犯罪なんだぞ」

 二熊はオレの肩に両手を置いて、しみじみという。


「今回はちょっとおふざけが過ぎたな。俺も一緒について行ってやるから、一緒に警察に行こう……な?」


 そう言って、二熊はオレの背中を押してくる。


「ちょ……待てって! 二熊」

「何だよ氷理。今さら刑務所に行くのは嫌か? お前もいい大人なんだから、無駄な抵抗はしない方が良いぞ」


 オレの背中を押す二熊の手の力が強くなる。


「いやいやいやいや、違うってマジで。これは町長から貰ったセキュリティキーだって」


 そう言って、カードの後ろに表記されているオレ宛てに書かれた町長の直筆サインを二熊に見せる。

 表面には『Mitsuki kino』と名前が彫られている。


 二熊はオレからカードを奪い、目を凝らして表裏をじっくり眺める。


「……一応本物なのか?」

「当たり前だよ。ITにそこまで詳しくないオレが、いちいち偽物のカードを作るような技術を持っていると思うか?」

「思わない。だって、お前アホじゃん」


 即答の二熊、非情に憎たらしい。


「おいコラ、ちょっとは疑えよ。学生時代から数年間の時間経過で、IQが急増したとか、ちょっとは懸念してみろよ!」

「……じゃあ氷理、お前は俺がこの数年で頭が良くなったと思うか?」

「は? もうちょっと考えてから嘘言えよクズ」


 バカの二熊にそう返事する。

 ぷちっ……!


「……よぉ~し! 今から氷理君をこの世で一番苦しい方法で殺しちゃうぞぉ~♪」

「ひひひひひひ! IQ低いくせに出来るのかなぁ~?」


 よし、オレがいかに頭が良いか二熊に教えてあげないと……まずは道ばたに落ちている大きな石で奴の後頭部を――


「……うるさいなあ。事務所の下で何騒いでいるの……?」

「……ん?」


 オレと二熊が火花を散らしながら睨み合っていると、裏口の扉がかちゃりと開かれて――

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