第15話:ブラックアウト→ブラックイン
【ストーリー概要】
小学生に蹴られることはご褒美です。
でも、それを求めるのは犯罪行為です。
法律は、子供を守るために存在します。
そう、彼らのようなブラック団から守るために……
――二十分後
「…………はっ! こ、ここは……」
ブラックアウトから目覚めたオレは、飛び上がるように、横たわっていたソファから起き上がった。
「……ようやく起きたか氷理」
「二熊……」
オレの横では、既に起き上がっている二熊が、たばこを吸いながら佇んでいる。
「お、オレ達は一体……」
「ああ……そうだったな」
二熊がたばこの吸い殻を灰皿に擦りつけると、そのままゆっくりと口を開く。
「俺達二人はな、ついさっきまで喧嘩をしていたんだ」
「よく起きるような慢性的なやつな」
「そして、その光景を見た聖ちゃんが、俺達が決裂して危ないことをしてしまうのではないかと懸念した」
「ああ……」
「そこで、聖ちゃんは俺達の喧嘩を制止するために、自らの足を使って、金的を豪快に蹴り上げてきたのさ」
そういって、二熊は二本目のたばこを取り出す。
「……肝心の聖ちゃんは、今どこに……?」
「……疲れて寝てしまったようだ。町長が今、聖ちゃんをおぶって二階の仮眠室に寝かせてきている」
「……そうか、可愛いな」
「……ああ、小学生だもんな」
心地よい風が俺たちを受け入れる。
「それで、さっきはトラブルのせいで町長に返事をし損ねたが、氷理はどうするんだ?」
「さっきのって……ああ、メンバーになるっていう話か?」
そういえば、要望だけを聞いて気絶してしまったんだっけか……。
「自分の町を改革することが出来て、報酬も出すが、ちゃんと責任もって活動しろよって言うのがメンバーとしての役目だと思うが……それってお前に出来るのか?」
二熊がオレに訊いてくる。
「出来るか……って言われてもなぁ。だって、そんなのやったことないじゃん」
「だよなぁ……俺もやったことねえもん」
「お、そうだな」
俺と二熊がハハハと、軽く笑う。
「まあ、何となく始めちゃえば良いんじゃないか。為せば成るって言うし」
「そういうものかね……」
スゲー適当なことを言われている気がするけど――
ガチャ……
「ああ、二人とも目を覚ましたかい?」
「町長……」
部屋の外から扉を開けて来た町長。
「いや、先程は済まなかったね。子供とはいえ、聖がとんだ危害を加えてしまって……」
「そのことですか……」
小学校二年生だというのに、大の大人二人を数秒で始末することが出来るというのは、確かに予想打にしなかった演出だが……
「大丈夫です。小学生の女の子から蹴りを入れてもらうなんて人生で多くないですので、良い経験になりました」
「聖ちゃん自らがオレ達へと触れ合ってくれるなんて、むしろラッキースケベでお金を払いたいくらいです」
「……うむ、今度から聖には三百メートル以内に近付かないでもらおうか?」
「「すみませんごめんなさい言葉が過ぎました堪忍してください二度と問題発言しないので小学生と俺達の可能性を剥奪しないでください!」」
町長の靴をなめまわしながら俺達は謝罪を繰り返す。
聖ちゃんと触れ合う機会が減るくらいなら、自殺をする以外の選択肢しか残らなくなってしまうからな。
「……え、えっと、本当に大丈夫かね? 市役所で不祥事とか本当に辞めてくれたまえよ? あと、革靴がヨダレでベトベトになるんだが……」
「「大丈夫です! 大人としての適切かつ最善の行動力を持って健やかに健康でのびのびとした学生生活を遅れるように影から支える程度の存在として携わらせていただければ結構です!」」
今度は右手を心臓に捧げて町長に盟約する。
滅多にないオレと二熊の真面目なシーン。
「……ほ、本当に……頼むからね……ね?」
町長はオレたちのことを発情期の猿を見るかのごとく心配をかけているけれども、大丈夫だ。
その心配はすぐに払拭させることを約束しよう。
オレと二熊は、心臓を捧げて誓う。
その後、町長は数分間、大量の脂汗をかきながら悩み抜いた末に、オレ達と聖ちゃんとの交流に許可を出した。
小さな声で、危険ならアサシンを雇って暗殺を……みたいな危険ワードが聞こえたが、多分オレ達には関係なさそうなのでスルーした。
………
……
…




