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CLUB♪ ~きっとそれは伝説になる~  作者: Mimiru☆
まだまだ続くぜ我ら遊部っ!
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縁故・プライヴァシ―

舞台は春休み真っ最中。

辻村家騒動を終えた遊部では、また何か起ころうとしていたー

桜の花が、風ではらはらと舞う。

ひとひらの花びらが、開いていた窓を通して中に入ってくる。

きれいなピンク色に染まった花びらを手に持ちながら、彼はぽつりと一言。


「海、行きたいなあ……」


辻村さんの騒動も終わり、すっかり暖かくなってきたこの季節。

遊部では相変わらずと言っていいほど、全員が集まっていた。

みんな暇を持て余しているのか、メールなどで永遠さんが呼びかけるとすぐに集まろうという話になる。

俺も俺で宿題しかやることがないから、実質暇ではあるんだが。

毎日のように遊んでいる遊部メンバーは、彼の提案にも顔色一つ変えずに問いただした。


「どうしたんですか? 藪から棒に」


「だってさぁ、おいら達夏に遊んでたわりに海行ってなくね?」


「確かにそうっすけど、今頃っすか? あ、でもレンちゃん先輩のとこ行くのに見ましたよね? 海」


「見ただけじゃあん。せっかくなんだから、行きたいなあって」


「あんた馬鹿なの? 海に行くにはまだ寒いでしょ! もう少し時期を考えて!」


北城さんが呆れ半分につぶやく。

彼が言うように、温かくなったとはいえ水に入るのは少々気が引ける。

俺も賛同しかねないなと思っていた、そんな時だった。


「皆さん、レンちゃん先輩のおうちに行ってたんですか!? ずるいです! 初耳です! 私なんて海にすら行ってないのに!」


当時いなかった、辻村さんが体を乗り出したのは。


「そいやまだ萌ちゃん、その頃いなかったっけ。夏休み、遊びに行ったりとかしなかったの?」


「当然行きましたとも! でも海は友達との予定が合わなくていけなかったんです! だからぜひ行きたいです!」


「別にこの時期じゃなくていいでしょ。海なんて、夏まで待てばすぐ……」


「何を言っているんですか! このメンバーで行けるのは、これが最後かもしれないんですよ!?」


途端、ぴしゃりとその場が静まる。

何かしらしていたみんなの手が止まり、彼女の顔を見ないように顔をそらしている。


「そうですよね、永遠先輩! 四月に旅立っちゃうんですよね!?」


三月も終わりを告げる季節。

もうすぐ、永遠さんはオレ達の前から姿を消すことになる。

理由はもちろん、進路先であるアメリカへ行くため。

卒業してからもこうやって顔を出してくるから、別れるという実感がわかないのは事実。

彼といれるのも、あと少ししかないのか……


「え、今それ関係なくね? 渡米問題より、今は海でしょ海海」


あっけらかんとした声色で、永遠さんが俺達の顔を覗き込むように見る。

相変らず、彼は勝手だ。

永遠さん自身から、進路のことやこれからのことは全く言おうともしない。

そんなことより楽しいことしようよ、の一点張りだ。

まったく、これだから永遠さんは……


「せっかくなんだし、海行きませんか? 皆で行っちゃえば、寒さなんてへっちゃらですよ♪」


「颯馬先輩が行くなら、辻村萌黄! どこまでもついていきます!」


「オレもぜんっぜん大歓迎っすよっ? 輝も行くよな?」


「……構わないが……北城さんは、大丈夫そうですか……?」


「はぁ……この流れで、断れるわけないでしょ? 行くよ。どうせうち、あっちだしね」


呆れるように言う北城さんの顔は、嫌そうには見えなかった。

みんな楽しそうに、あれがしたいなど色々言い合っている。

かくして俺達は、六人全員で海に行くことになったのだった。


「うわああああああああああ! きれいな海ですね!!!!」


電車で一時間弱。

俺にとっては、二度目となる海に来ていた。

ここから少し歩くと北城さんがお世話になっている若葉園があり、以前は五人でお泊り会をした。

今では、すっかりいい思い出だ。

海に行く、と言っても準備もろくにしていない。

そのため水の中に入ることはできないのだが……


「さて、オレのかわいい子ネコちゃんはいないかな? ちょっと探してきまーす♪」


「颯馬先輩! 萌ちゃんと一緒に、愛の追いかけっこしましょう!」


「そんなことより辻村さん、海をテーマに二次創作でも作らない? もちろん、同性愛で♪」


「よおし、海だぁ。一狩ついでに潜ってくるぜ~じゃあ各自じかいさ……」


「行かせるか!!!! 勝手に動き回らないで、迷惑だから!!!」


北城さんがとめてくれなければ、多分みんな思い思い行動していたかもしれない。

それだけ彼らは自由だし、止められても「え~」と不満の声を漏らしている。

さすがにこの時期だからだろう、人も出入りしていなかった。

そのせいか砂浜はすごくきれいで、自然そのものを貸し切りにしているような感覚だった。


「だってレンちゃん、海ですよぉ? 海。せっかくなんだから、入りたいとか思わね?」


「思わないよ! こんな時期に入ったら、風邪ひくでしょ!?」


「みんなで入れば怖くないって言わね?」


「言わない!」


「そんなつれないこと言わないの♪ それっ!」


「つめたっ! そ~う~ま~~~!」


颯馬さんから始まった水の掛け合いは、しばらく続いていた。

なんだかんだいって、彼も少し楽しそうに見えた。

俺もしばらく見ていただけだったのだが、紅葉が水をかけてきたので参戦した。

まだ海水は寒かったものの、そんなの忘れるくらい楽しかった。

俺達だけの笑い声が、砂浜中に響き渡るー


「すんませーん。遊ぶのは自由ですが、長時間やってると体壊すからやめてくださーい……って」


そこに、一つの声がした。

何だか妙に聞き覚えがある声だと思いながら、ぱっと振り返る。

そこにいたのはー


「なっ! つ、司先輩! なんでいるの!?」


「北城……? つか遊部の連中じゃん。わざわざ海まで来るとかどんだけ暇なんだよ……」


「やはり僕達は、どこかで巡り合う運命でもあるのかもしれないね。こんなところで、卒業旅行かい?」


海の家と書かれた場所から出てきたのは、かつて生徒会として戦った二人の先輩方だったのだー



「はいよ、お茶。余り物のありあわせでよけりゃ出すけど、どうする?」


「ああ、結構結構。よきにはからいたまえ」


「なんでそう上から言うの、君は! あ、あのお茶だけで大丈夫ですので」


「そうか? ならいいけど」


先ほど注いだのか、まだ湯気がゆらゆら立ち上っている。

お茶の水面に見える自分を眺めながら、ひそかにため息をついた。

海の近くにある、食堂的な場所。それが海の家だ。

主に食事ができて、海で必要な道具はここで言えば借りれるようにもなっているらしい。

そこになぜ、この三人がいるのだろう。

いかにもおしゃれな私服を着こなす先輩方の姿は、まるで住む世界が違う人のように思えた。


「それで、なんで先輩方がここにいるんですか」


「あれ? レンちゃん、近くに住んでるのに知らなかったの? ここ、司先輩のおうちだよ?」


「はあ!?」


「昔から親がやってたから、たまにこうして手伝いに来るんだよ。つっても帰ってくるのは、長期休みくらいだけどな」


ということは、司先輩は一人暮らしなのか……。

両親がという割に、それっぽい大人の方は見えない。

客もいないから、手伝いに帰っているというわけではなさそうだが……


「司先輩がいるのは納得いきますけど、響先輩はどうしてこちらに?」


「ああ、ボランティアの一環だよ。人気が少ないほうが、海は掃除しやすいからね」


彼はそういいながら、司先輩が注いでくれたお茶をゆっくりすすっている。

響先輩達とは卒業式以来とはいえ、いまだ気まずい雰囲気が残っている。

永遠さんなんて、彼の姿を見てからというもの口を開こうとしない。

さて、どうしたものか……


「そういえばお二人とも、第一志望通ったんですよね? おめでとうございます♪」


一番に話題を提供したのは誰であろう、颯馬さんだ。

彼のニコニコとした笑顔をみながら、先輩方が口を開く。


「ま、一応なー。てっきり落ちたと思ってたんだが」


「四年大、でしたよね……ここを継いだりとか、しなくて大丈夫なの?」


「親いわく、やるだけやってきなだとさ。とりあえず大学の間くらいは、こっちにいるつもり」


「そうなんですか~よかったね、レンちゃん。司先輩、近くにいてくれるって♪」


「い、いちいち言わなくていい!」


「響先輩はどこ行くんすか?」


「僕は経営大学で、必要な知識を学ぶつもりだよ。御曹司たるもの、そういう勉強は欠かせないからね」


そういいながら、響先輩はお茶のお代わりを持ってこようと立ち上がる。

他のみんなはそんなことを気にもせず、楽しそうに話したりしていた。

唯一、永遠さんをのぞいて。


「あの、永遠さん」


気が付いた時には、彼に声をかけていた。

永遠さんは「なんじゃらほい?」とふざけるように返事をしてきたが、いつもと違って少し暗めだった。


「永遠さんは今……響先輩との仲は、どうなっているんですか」


「どうって……輝りん、意外と核心つく質問してくるのね。先輩ちょっとびっくりよ」


「す、すみません……」


「まあよくもなければ悪くもない、ってやつ? おいらがアメリカいけるのも、半分あの人のおかげだしね」


一瞬、耳を疑った。

俺が知らない間に、二人に何かあったのだろうか。

そんなことを考えている俺に、永遠さんはお茶碗をもって


「喉乾いた。ついでにおかわり持ってきてちょ」


と、俺に言ってきた。

仕方なく立ち上がり、厨房の方に行ってみる。

そこには響先輩がいて、慣れたようにお茶の葉を急須に入れていた。


「響先輩、あの……」


「君達のことは、遊部に入った頃から注目していたよ。ずいぶん彼を慕っているんだね」


お茶碗に茶を注ぎながら、響先輩が言う。

その動作一つ一つが絵になるようで、どことなくあの人と似ているような気がした。


「輝君は、能ある鷹は爪を隠すということわざを、知ってるかい?」


「……知ってます、けど。どうしてですか?」


「彼を表す、代名詞みたいなものさ。不思議だとは思わないのかい? テストで赤点常習犯の彼が、アメ

リカの留学ができるほどのレベルに到達したこと」


確かに、それはひそかに気になっていた。

永遠さんのテストのひどさは、期末テストの時一緒に勉強したからわかる。

まるで中学生並みの知識で、北城さんも手を焼いていた。

それなのに……


「彼は立派な演者だ。危険性のない親しみやすい中江永遠を、長い間演じ続けていたのだからね」


「演じて……?」


「その気になれば、僕がいるこの座も奪うことが出来た。何もしてこなかった彼を憎むようになったのはそのせいだ。そのことに気付くことが出来たら、颯馬君達を傷つけることはなかったのにね」


その言葉を聞いて、思った。

永遠さんは本当にすごい人なんだ、と。

体育祭の時に見せられた、彼のいつもとは違う本性。

あれが本当の永遠さん、なのかもしれないな……


「ああ、それと僕が言ったことは秘密にしておくんだよ? 彼に言うと、調子に乗り出すからね」


「……はい、わかってます」


「君達のおかげで、少しずつ元の関係に近づけそうだ。礼を言うよ、輝君」


そういうと響先輩は、みんなのもとへ帰っていく。

彼が戻ると、また一層盛り上がっているかのようにボルテージが上がる。

能ある鷹は爪を隠す、か。

その言葉を胸に秘めながら俺も、後を追うように走る。

遅いよ~と文句を言いながら笑いかけてくれる、あの人のもとへ―


fin

余談ですが、司はかなり料理上手です。

しかも食いしん坊という、結構意外なところもありれんちゃんとくっついたら

どっちも料理できるという有力カップルですね。


響の性格上なのか、輝と永遠と颯馬としかちゃんと絡んだことありません。

生徒会の方々とは優しい一面がみられるのですが、こっちが素なんだよ! といっても

説得力に欠けますね。うんうん。


次回は爆笑覚悟(?)のバラエティ企画です。

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