正反対の可憐アベック
舞台は三月上旬。
卒業式の準備に追われる、新生徒会の三人のお話ー
☆颯馬side☆
「……ねえ、颯馬。卒業式まで、あと一週間もないよね?」
「そうだね♪ 月日が経つのはあっという間だね~♪」
「確かにあっという間なのは分かるけど……いまだに生徒会の一年生が決まってないってどういうことなのぉぉぉぉぉ!」
レンちゃんはそういいながら、オレの体をゆさゆさ揺らす。
彼にゆられるがまま、オレはにこにこ笑ってみせた。
三月上旬。
オレー矢神颯馬は、生徒会室にてレンちゃんこと北城蓮華と一緒にいた。
中学生の受験関係で、高校の授業は休み。
生徒会として、その手伝いにやってきている。
みんな目の色変えて勉強しているのを見ると、必死なんだなって感心しちゃうくらいだよ♪
「仕方ないじゃない、レンちゃん。学園のプリンスとなんて、みんな気が引けちゃうんだよ♪」
「だからって三人だけはなくない!? 来年どうやってくの!?」
「それは作者がキャラを作るのがめんどくさいって投げてるだけだから、来年にはきっと入ってくるよ♪」
「はあ? 何作者って」
「ああ、ごめん。独り言♪」
オレがそういっても、レンちゃんは不満そうにため息をつく。
慣れない生徒会長ってこともあり、きっと不安なんだろうなあ。
レンちゃんは気が強い割に、中心に立って何かしようという立場ではない。
どっちかっていうと、協調性を大事にするタイプ。
あとプライドが高いから、意見が割れると絶対に譲らないんだよね~。
「……なにじろじろ見てるの」
「別に? 相変わらずかわいいなって♪」
「……怒るよ?」
「そういえば、答辞はうまくいきそう?」
「まあ、大体は……ちょうどここにあるから、少し読んでくれない?」
レンちゃんは、本当に素直じゃない。
ちょうどここにある、と言っておきながら最初から手に持っていたのは誰だって目に見えている。
渡した後もちょくちょくオレのことを見てきたのも、自信がない証拠だろう。
強そうに見えるけど、繊細な面もあるんだよねえ。レンちゃんは。
「うん、いいと思うよ♪ さすが優等生だね♪」
「優等生は余計だよ。あとは式に飾る、花を見に行くんだよね? えっと、確か場所は……」
「うわぁ、真面目に活動してるぅ~頑張ってるね~北城君っ❤︎」
そこに、声がする。
レンちゃんが怪訝に顔をしかめ、不機嫌そうに振り返るのを見て誰が来たのかは一目瞭然だ。
もっとも、オレは来ること自体わかってたんだけどね♪
「受験生誘導、お疲れさま♪ みゃーちゃん♪」
「ありがとぉ~颯馬~! もう来る人来る人声かけられちゃって、大変だったよぉ~かわいいっていっぱい言われちゃった❤︎」
白石雅、一年の頃から生徒会として一緒だった同級生。
レンちゃんと同じくらい、はたまたそれ以上の女顔だからみゃーちゃんと呼ぶようになった。
彼と違うことと言えば、かわいい自分が好きでもっとみんなにちやほやされたいという考え。
同じ女顔な二人だというのに、性格も全くの正反対なのだ。
「大変とかいう割に、ずいぶんうれしそうだね。白石君」
「え~何? ご機嫌斜め~? 自分の方が可愛いとでも言いたいわけ~?」
「言うわけないでしょっ! 大体かわいいって言われて、何が嬉しいの! 君、男の子でしょ!」
「す~ぐかっかしちゃって。そんな怒ってると早死にしちゃうんじゃない? 北城君っ❤︎」
「なっ……!」
「はいはい二人とも、来て早々けんかしないの」
このように、二人は犬と猿のように仲が悪い。
考え方がまるで逆だから、当然っちゃあ当然なんだけど。
オレにとっては二人の仲裁に入らないといけないから、少し大変なんだよね♪
「二人とも、いい加減仲良くしたら? 仮にも同級生でしょ?」
「「嫌だ」」
「こういうところは息が合うんだね……」
「大体この人が会長ってのにも納得いかないんだけどぉ。僕の方が可愛いのに、みんな見る目がないよねえ~」
「知らないよ。好きでなったわけじゃないし」
「うわぁ、勝ったからって調子乗ってるの? いっやらし~!」
「そんなことな……!」
「そうやってかよわい自分を演じることで、司先輩に取り入ったんでしょ! 僕の先輩なんだから、横取
りしないでくれる?」
彼の口から出てきた先輩の名に、レンちゃんはほんのり頬を赤らめる。
なんで知っているのというような、そんな顔だった。
秋山司先輩は、前副会長だった生徒会の人。
しかもレンちゃんにとっては、ずっと探していた昔の人でもある。
だからひそかにくっつかないかなって思って、色々模索してたけどそれは彼も同じ。
まあ、みゃーちゃんが同じ理由で模索してたわけじゃなさそうだけどね。
「君……司先輩とどういう関係なの?」
「べっつに~ただの先輩後輩だよ? だけど前からつばつけてたんだよね~司先輩かっこいいし、僕のこと気にかけてくれるし❤︎」
「……あっそ」
「だからどぉんなに頑張っても、北城君は僕には勝てないってわけ! もう二度と近づかないでよね!」
そういうとみゃーちゃんは、受験の方を見てくる~と言ってスキップしながら外を出る。
足音が遠くなるにつれ、レンちゃんは机を思いっきりバンッとたたいて
「なんっなの! あの人は!!!!!」
と怒りをあらわにした。
「違うって言ってるのに、なんであんなけんか腰なわけ!? むかつく!!!」
「まあレンちゃん、みゃーちゃんにも悪気があるわけじゃないし……」
「悪気がない!? どこが!? あんな人とこれからもやっていくと思うと、ほんっとに嫌なんだけど!」
「大丈夫だよ、司先輩に気に入られているのは断トツでレンちゃんだから♪」
「なっ! そのことで怒ってるんじゃないし!」
「仕方ないんだよ。みゃーちゃんは、ああいう人だから」
そういうと、レンちゃんは怒りが静まったようにイスに座る。
どういう意味? と、彼が聞いてきた。
彼のまっすぐ向ける瞳に、オレは話しざるを終えないと思いながら少し笑って見せた。
「本人から直接聞いたわけじゃないから、明確ではないけど……みゃーちゃん、母親に虐待されてたんだよ」
「ぎゃ、虐待!?」
「お父さんが、小さいみゃーちゃんを守ろうと事故で亡くなっちゃって。そのせいで、お母さんがあなたのせいって攻め立てて」
『あなたがいたせいで、あの人は……!』
昔、オレも同じ目にあったことがある。
転々とした親戚の中に、不幸な目にあってオレを責めた人がいた。
オレは不幸を呼ぶ、疫病神だって。
みゃーちゃんも、同じ。
自分のせいで父を亡くし、母にずっといじめられてきた。
まだ、小さかったというのに。
「みゃーちゃんは、きっと誰かにかまってほしかっただけなんだよ。かわいくいようとするのは、振り向いてほしかったんだろうね。ああ見えてみゃーちゃん、気が弱いから」
「颯馬は、一年の頃に知り合ったの?」
「同じクラスだったからね。生徒会に入ったのも、みんなの人気者になりたかっただけなんじゃないかな?」
知れば知るほど、オレは最低だなって思う。
情報屋としてあらゆるものが、オレに流れ込んでくる。
だからあまり友達を作ろうとは思わなかった。
だけどみゃーちゃんのことを知った時、似ていると感じた。
誰かに助けてほしいけど、それを言えないみゃーちゃんのことが。
「司先輩達、そのこと知ってるの?」
「知らないと思うよ。司先輩って、どんな過去だろうが関係ないからね」
「……あの人らしいね」
「どう? レンちゃん。仲良くやっていけそう?」
オレが聞くと、レンちゃんはまた黙ってしまう。
手の指を少し動かしながら、オレから目をそらしてぽつり。
「ま、まあちょっとくらいなら仲良くしてあげてもいい……かも」
と恥ずかしそうにしていった。
まったく、本当に素直じゃないんだから。
そう思いながら、オレは照れてる彼をからかうようにつんつんつつく。
新しい生徒会の距離が少し近づくのは、まだ先の話―
(本編へつづく・・・?)
思えば、直接的にかかわったことがないなと思い、この話を思いついた始末です。
れんちゃんと雅ちゃんって、同じかわいい系男子なのにまったく馬が合わないんですよ。
そこで雅ちゃんの秘密も兼ねて、絡ましてみました。
後付け感半端ないですね。許してつかんさい。
そんな本編・番外編とはまったく関係のない
バレンタインデー書き下ろし小説を別作品にて公開中です
そちらもぜひ、お楽しみください
次回、あの人たちの意外な一面が?




