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CLUB♪ ~きっとそれは伝説になる~  作者: Mimiru☆
まだまだ続くぜ我ら遊部っ!
29/35

つぼみ繁栄の芽生え

時期はバレンタインデー後。

思い出の人が明らかになった、レンちゃんとあの人とのそのあとのお話ー



☆蓮華side☆


「大翔様、おはようございます!」


「大翔君! 駅前においしいって評判の喫茶店があるんだけど、一緒に行かない!?」


「ずる~い! 私が先に誘おうと思ってたのよ~!」


女子の群れが、僕を囲みながら言う。

あまりにうるさい騒音に、たまらず僕は


「うるさぁぁぁぁぁぁぁい! 僕まだ行くとも言ってないからね!?」


と叫んだ。

僕の名は北城蓮華。こんな名前だけど、れっきとした男です。

昔からからかわれるのが日常だったため、それを避けるべく大翔としてここじゃ知られている。

僕の本名を知っているのは、成り行きで入った遊部くらい。

あっちはあっちで「レンちゃん」って呼びまくるわ、女の子扱いされるわでたまったもんじゃないけど。


「部活入ってるから無理って前言ったよね!? そーゆーのは君達だけで行きなよ!」


「え~~~~~~~!」


「ふーん、じゃあ誘うだけ無駄ってことかー。残念だなー」


急に男性の声が聞こえて、びっくりする。

この声には、聞き覚えがある。

募る嬉しさを隠しながら、ゆっくりと振り返る。


「い……いつからいたんですか……司先輩……」


「うるさぁいの辺りから」


この人は秋山司。

三年生で、元生徒会の副会長だ。

いつもけだるげで聞くところによると、寝ることが好きらしい。

詳しいことは颯馬からしか聞けてない。

というのも、彼が僕を探していた人だからだ。

昔、憧れの意を抱き僕が変わるきっかけとなった……


「何俺の顔じっと見てんだ? 何かついてるか?」


「べ、別にっ! それより何の用ですか? 人の話盗み聞きして」


「そーいやあんまり話せてなかったなーと思ってなー……今日は響いねぇし、一人だと道端で寝そうなんだよー」


は、はあ……


「だからさ、一緒帰らね?」


はあ!!!???


「なななな何言ってるの!? 嫌に決まってるじゃん!」


「なんでそんなに焦ってるんだ?」


「焦ってない!!」


「お前、怒ったりすると敬語じゃなくなるよな」


「うっ、うるさい! とにかく! 今日は部活だから、一人で帰って!」


こうやってセリフに怒気が含まれてしまうのも悪い癖だ。

素直に「いいよ」なんて、言えるわけがない。

こんな急展開……誰も望んでないのに。


「ん~……今の部長って誰?」


「紅葉っていう一年だけど……?」


「じゃあそいつに言っとくわ。今日一日借りるって」


「はあ!!!!???」


「つーわけで、放課後ここでなー」


そういって彼はひらひら手を振って、行ってしまう。

あまりの衝撃の展開に、僕は戸惑いを覚えるばかりだった……。



その後、思いのほか情報はすぐにわたっていた。

というのも、朝一で


「レンちゃん、とうとうやったね!! 司先輩からのお誘い! 初Hはどこになるのかな!? ヤった感想待ってるね!」


超ご機嫌の颯馬が話してきたからだ。

どうやって紅葉と連絡を取ったのか、休み時間にすれ違った時に


「話は聞きましたよ~よかったっすね、先輩w ゆっくり楽しんじゃってください☆」


と意地悪そうに笑いかけてきた。

こうなってしまうと、もう後がない。

生徒会を盾に……と思ったけど、それも颯馬がカバーしている。

くだらないときに限って、遊部は連携がいい。

普段はおふざけばっかりの、ダメダメ集団なくせに……


「わりぃ、終礼長引いた。ちゃんと来てくれたんだな、お前」


しばらく待っていると、彼がやってきた。

彼の言葉に返答するかのように、ふんっと顔をそらす。

先に僕が歩き出すと、それについてくるかのように先輩が並んだ。


「今日颯馬に偶然会って、話してきた。お前、颯馬達からもレンちゃん呼びされてんだな」


「……呼ぶなって言ってるのに、全く聞かないだけです」


「名前偽ったのも、それが嫌だったからだろ? キャラまでかぶる必要、あったのか?」


「そっ、それは……っ!」


危うくこぼれそうになった言葉をつぐむ。

言えない。言えるわけがない。

あなたにあこがれていた、なんて……


「ど、どうだっていいでしょっ! あんたこそ、どうして僕があの時の子だってわかったんです!?」


「だってお前、昔の顔まんまじゃん」


「なっ!!?」


「別人だと思ってたが、たまたま遊部でのお前らを見かけてな。それで知った」


ぐぬぬ……!


「いい仲間に会えて、よかったな」


ふいにそんなことを言われるものだから、返答に困ってしまう。

確かにそのことは認める。

遊部に入ってから何もかもめちゃくちゃになった。

もちろん、いい意味で。

こんなこというと輝以外み~んな調子のるから、あんまり言わないけど。


「やっぱ中江にはそーゆー力があるんだろーな。変な奴」


「……先輩も、あの人のこと嫌い?」


「いや? 全然ふつー」


「よくそれで響先輩に怒られませんね……」


「響がどう思ってようが、俺は俺だしなー。個人の自由ってやつ?」


やっぱりこの人、変わってる。

昔もこんな感じで、僕を励ましてくれたっけ。

てっきり生徒会は、みんな遊部が嫌いだって思ってたのに。


「……その様子じゃ、俺ら全員遊部を敵対視してるって思ってるだろ?」


「うげっ!? なんでわかるの!?」


「分かりやすいんだよ、お前は」


「だ、だって……あんな理不尽なことされたら、誰だって……」


「中江もあったように、響にもそれなりの苦労があるんだよ」


そういう彼の顔は優しそうで、響先輩たちのことを考えているようにみえて。

その顔をみて、きっと彼しかわからないことがあるんだろうなと思った。

僕が知ってるのあの人のことは、颯馬から聞いた情報だけだし……


「そういう先輩自身はどうなんです……? 進路……とか」


「俺かー? ダメもとで受けてみたわ、四年大」


「へぇ~……意外。就職する思ってた……」


「一日だけだったけど、若葉園行ったじゃん? そん時に思ったんだよ。子供とかを相手すんのも、悪くねぇかなーって」


それって先生になるってこと……?

どこまでもこの人は僕の上を行く。

きっと卒業頃にはあっさりと受かってるんだろうな……


「なんなら、一緒来るか?」


「はあ……? 僕受験来年なんですけど」


「どーせ何も考えてねぇんだろ? 進路。こうして再会できたのも何かの縁だ。どーせ来るなら、やっぱ昔のままがいいなー。大翔じゃなく、蓮華として……さ」


随分勝手な真似だ。人の進路にまで茶々を入れる。

三年生って、この人ばっかりだ。

でも全然いやじゃないのは、この人だからかな。

もっと知りたい。この人と一緒に、行きたい……


「ふんっ! 僕がどうしようと勝手でしょ! まあでも……考えてあげなくもない……」


「すげー上からものを言うな」


「うっさい! そもそもなんで一緒に帰ろうなんて言い出したの!? 道端で寝るとかうそでしょ!?」


「あながち本当なんだが……単純に話がしたかったんだよ。蓮華としてのお前と」


「何それ……意味わかんない……」


「ラスト一年頑張れよ、蓮華」


そういってポンッと頭をたたかれる。

ふっと鼻で笑う彼に、「も~」と言ってついていく。

桜が満開になりだす、春の季節。

来年、僕はこの桜を見ることができるのかな……


fin

ここにきて、司蓮か颯蓮かという選択肢ができましたね。

私個人的には颯蓮推しなのですが、司もすごくかっこいいので

選べないですね。

あ、でも絶対レンちゃんは総受けだと思ってます。

何の話でしょうね、すみません。


次回はあの時、彼はどうしていたのか…?

という裏話です。



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