俺、到着する
カリが家から出てから一時間と数分……やっとゲームショップに到着した。
ゲームショップはまだ開店準備中だったがその前には古強者が多数並んでいた。
古強者はカリを見るとソワソワと話し始めた。
「おい、あれ……」
「あぁ、間違いない。開拓民の中で一番荒地を開拓し続け何時の日にか荒地を全て四季折々の美しいグリーンカーペットに変えた伝説級の男—―久遠カリだ」
「見ろよ、あいつの頭の上……猫がいるぞ」
「今回発売されるのは、オンライン耐用。という事は‼」
「まさかあいつの開拓はもう始まっているという分けだな」
「クソッタレ。先を越された」
など口々にカリの事を言っていた。
カリはそんな事を気にせず最後尾に並んだ。
「遅かったじゃないか。俺のライバル」
そこにはフードを被った長身の男が立っていた。
「まさか、来ないかと思ったぞ。このお寝坊さん」
この男は自分の頭をコッツンコいた。
「あのー、すいません。どこかでお会いしましたっけ」
周囲が一時的に固まり、失笑した
「おい、俺だよ。吉野順平だよ。幼稚園の時から今に至るまで久遠カリ、貴様をずっと追い続けてきた男だ。いつの日か、君と結婚する為に」
カリはこの言葉を聞いた瞬間、リュックサックから携帯電話を取り出し、どこかに連絡をした。
「もしもし、警察ですか?俺の目の前に幼稚園の頃からストーキングして来て今になって結婚しようだなんて気持ちの悪い事を言って来た男がいるのですが……」
「あっはい。中富町のゲームショップです」
「はい、お願いします」
カリは携帯電話をリュックサックに戻すと、吉野順平と名乗る男の方を向いた。
「貴方が気持ち悪かったので通報しました」
程無くして、サイレンの雄たけびと共に警察が到着し吉野順平は連行されて行った。
「何だろうな。あれ」
「にゃー」
その後、カリが吉野順平に会う事は無かったという。
やばい!失踪しそうになった。