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アルツランド皇女の来訪

 グランド王国外部での戦争は終結に向かっていた。

「ぐふふっ、われらは決して死なんぞ! 決して!!!」

 グランド王国の王、アルヒルドは裂かれた腸を抑えながら血反吐を吐き散らしながら目の前の王女をにらみあげる。

 ローズ大国王女、リリアは血にまみれた細身の剣を下げ、地べたを這うグランド王国の国王を見下ろす。

「私にたてつくからですわ」

 グランド王国の騎士団は全滅の一途をたどりつつあった。

 城は火の手が上がりつつあって、この場にいる騎士団の半数以上が血の海に倒れ伏していた。

 もはや、負けは確定である。

「負けるわけにはいかん。あの女にすべてを奪われるわけにはいかんのだぁああああ!」

 アルヒルドは死の恐怖よりも奪われる恐怖におびえながら握った剣を構え突貫する。

 だが――

「哀れな男ですわ。王の資格がなっていませんでしたわね」

 アルヒルドの体を剣が一突き。

 無残にも彼女の冷酷な瞳の前で血の中に沈んでいった。

「王女殿下、こちらも片付け終わりました」

「ご苦労様ですわ。私どもも城へ進軍を開始いたしますわ」

「了解です」

 リリアは遠方に見える王城を見つめ城への進軍をアリシアへ提言した。

「そうはいかないわ」

「何者です!」

 突如、前方にひらりと忽然と姿を現したモノクルメガネに漆黒のドレスをまとった妖艶な美女と漆黒のローブをまとった人物。

 アリシアはリリアを背後に押しやって守るように前に進み出る。

「お初にお目にかかるわ、ローズ大国王女、リリア・ローズよ」

「何者かと聞いてるんだ!」

 アリシアは一気に踏み込み先手を仕掛けた。

 だが、妖艶な美女の前にすっと、飛び出たローブの人物によってアリシアの攻撃は防がれてそのまま蹴り飛ばされる。

「っ! アリシアっ!?」

 ローズ大国で一番の強さを誇るアリシアが赤子のように吹き飛ばされた光景を目の当たりにし全ローズ大国の兵士、騎士、そして、聖騎士がおびえ切ったように萎縮し足を動かすことができず硬直した。

 リリアも同じで相手の様子を深く観察し出方をうかがう。

「私のことをよくご存じのようですわね。どちらかお伺いしても?」

 リリアにはこの場で現れる人物にはある程度想定していた者が少なからずいる。

 けど、確信を持つためにも彼女の口からその名前を聞いておきたかった。

「アルツランド皇国、皇女ミシェル・アルツランド。以後お見知りおきをリリア王女殿下」

「っ!」

 この世界で最大の謎に包まれている国。アルツランド皇国。

 幾千年万も戦争を生き抜いてきた一番歴史ある古い国である一方で悪いうわさが絶えない国でもあった。

 なによりも、過去には英雄を従えていた国でもあるがその当時の英雄の死には当時のアルツランド皇女がかかわってるという説は有名な話だった。

 そして、現代においてもアルツランドは何かを仕出かそうとしてるのではないかという話はこの騒動が起こる数年前からうわさはあった。

「‥‥突然、来訪してくるとは私たちに何用ですの? 噂ですと我が国にグランド王国が仕掛けさせたのはあなたがたアルツランド皇国だという話も聞いてる状況下で」

 威嚇するような発言をあえて言い放ち相手の答えを慎重に待ち続けた。

 手汗を握って緊張が走り続ける。

 リリアは直感で分かっていた。

 この数をもってしても彼女らには勝てないと。

「うふふっ、どこからそんな噂を聞いたのか知りませんが我が国はこの騒動には一切かかわりはございません」

 嘘とわかりきったような発言を平然として答えた。

「我が国はすこし、グランド王国と資金的な援助を行っていただけにすぎませんわ。グランド王が無断で暴走したために我が国に罪をなすりつけようと流したデマでありましょう」

「‥‥‥‥」

 リリアは悔しさをくいしばり平然と微笑んだ。

「そうですか。では、なぜこちらに?」

「謝りに来たのですわ。同盟関係であるグランド王国の不始末を我が国がきちんと片づけさせていただきますわ。ですが、悲しいお知らせもあります。逆の方角で戦っておられましたローズ大国の騎士団ですがグランド王国にやられておりました。ですけど、ご安心ください。我が国がきっちり仇打ちしましたから」

「っ!」

 逆といえば第5聖騎士n部隊であることは想像できた。

 でも、最下位の聖騎士でもグランド王国に負けるはずもない。

 彼女の発言は明らかな嘘が入り混じってる気がした。

「‥‥ありがとう存じます」

「いえいえ、あとで亡骸を拾いに行くといいでしょう。では、私どもはそこに転がっておりますグランド王を貰い受けますわ」

 そう言ってからローブの人物が軽々とグランド王を担ぎあげる。

「では」

 そう言って数秒後に霧が発生し、晴れた頃には彼女たちの姿をはなくなっていた。

 あまりの数秒の出来事でリリアは言葉を無くす。

「うぅ‥‥」

「アリシア!」

 リリアはとっさにアリシアへ駆け寄った。

 長い間付き添ってきた聖騎士の幼馴染に。

「すみません。王女殿下。失態をいたしました」

「あなたが無事であるならいいんですわ。それより急ぎますわよ。アルツランドが何かをし出かす前に城へ急いで我が国の騎士の救出を」

 リリアの心はまだいやな違和感がふつふつと煮えたぎっていた。

(無事でいるんですわよ。キジョウユウキ)


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