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ふわりとした設定

学園が舞台になってますがあまり関係ないかも?

学園は貴族専用で、15歳から18歳までとされている。

ツンデレ、誰もいない時だけ優しい、そんなの物語だから許されることだ。

目の前の男に手を差し伸べられ私は薄ら笑いを浮かべるしか出来なかった。


私ことリオネットの趣味はおしゃれだ。見目は十人並というところだろう。それでも煌びやかな装いは私の心を踊らせた。


10歳の頃に婚約者となったボニファーツィオ・ドメニコーニ伯爵令息との出会いはさらに幼い頃……6歳の頃。その出会いによって私の心は打ち砕かれた。


「ぶすに似合わないな。地味にしていろ」


そう言われながらむしり取られたブローチは母からのプレゼントだった。

付けて家族に見せた時には皆が笑顔になり幸せだったというのに……


一瞬気まずい雰囲気になったものの、まだ子供の言うことだから。と、その後は穏やかな時間になった。

それでも私の心はひび割れたようだった。


会う度に似たような事があり、私はおしゃれをしなくなった。



1人でお忍びで出かける時のみ、めいっぱいおしゃれをする。

それが私の唯一の楽しみになった。


婚約を結んだのは家の事情だった。私もあいつも望んではいなかった。

それでも婚約は無事に結ばれ、婚約者はあいつに決まった。



幼い頃の記憶なんてろくなものが無い。

それはボニファーツィオが見目麗しいことも起因している。

婚約が決まった頃は地味な装いをしていたので、似合わない婚約者と言われていた。


ボニファーツィオは伯爵令息ではあるが三男で継ぐ爵位がない。

比べてリオネットはトロヴェージ侯爵家の長女で、兄がいるものの、他に兄弟はおらず、トロヴェージ侯爵家の持っている子爵位を入婿に与えることになっていた。


息子に爵位を貰えるドメニコーニ伯爵家と、ドメニコーニ伯爵家のもつ鉱山の利権が分けられるトロヴェージ侯爵家の利害が一致した結果の婚約だったのだが、幼い子供達にはわからなかった。


故にリオネットが権力でボニファーツィオを手に入れたと噂された。

本人がいくら違うと訴えても誰も信じてくれなかった。



ただ一人、同年代の集まりの中でとても小さな子以外は……


男の子だったのか女の子だったのか当時は分からなかった。レオという名前もどちらとも取れたからだ。


隠れて泣いているリオネットの所に泣きながら隠れようとレオが現れたのが出会いだった。


リオネットの悩みとレオの悩みを言い合う事で急激に仲良くなった。

リオネットの悩みは言うまでもなく婚約者の事だった。

レオは小さな身体を馬鹿にされる事が辛いと泣いた。

同年代の子達以外も兄弟からも馬鹿にされていたらしい。

レオは長子だが弟妹の方が大きいくらいだったそうだ。


ふたりで慰めあって、仲良くなった。


しかし半年後にはレオは隠れていたリオネットの元に来ることは無くなった。

11歳を迎える直前の出来事だった。



レオ以外にリオネットの理解者は現れなかった。




15歳の春、リオネットとボニファーツィオは王都の高等学園に入学した。


ボニファーツィオは相変わらずでリオネットがおしゃれをすると渋い顔していた。

ふたりになると、お前の良さは俺だけが知っていればいい。など言われはしたがリオネットの心が動くことは無かった。


桜が舞う校門に茶色のおさげと眼鏡のリオネットは不釣り合いに見えた。

俯きかけた時に黄色い悲鳴が上がった。


「あれってバルトレオ様よね。相変わらず麗しいわ」


そんな声が聞こえた。

バルトレオ・カポヴィッラ公爵令息。10歳から13歳まで海外で過ごし帰ってきてからは14歳で騎士の位を拝命され、カポヴィッラ公爵の次期後継としての活躍もされているという才子だと噂されている。

見目も麗しく、綺麗な金色の髪に透き通るような肌は日光に当てられ輝くようだった。紫の瞳がリオネットを見つけ逸らされた。


リオネットも彼を見たのは一瞬でボニファーツィオの後に続いて歩いていた。


ボニファーツィオも貴公子のように整った顔立ちだが、バルトレオは完成された美しさのように見えた。




バルトレオには婚約者がいない。『候補』はいるらしいが表立って出たことはない。

なので婚約者といつもともにいるボニファーツィオよりもバルトレオの方が人気は高かった。

それが気に入らないのかボニファーツィオはリオネットにバルトレオを見るなと厳命したほどだった。

リオネットは何も言わずに頷くだけだった。


学園での成績は上位者のみ発表される。

10位に入れば素晴らしいとされるその順位の1位にはバルトレオがいて、2位はリオネットがいた。

ボニファーツィオはかろうじて発表される30位にいた。

リオネットに鞄を押し付けつぶやく。


「お前は俺の後ろにいりゃいいのに」


どんな思いでの呟きかはわからずとも気に入らないのだと言うのは分かるのでリオネットは俯いた。



手を抜くわけにはいかないから「わかりました」とは言えない。

故に俯いた。



ひとりでいる時間もなく、冷たくされるのに離れることも許されず、リオネットは辟易していた。


ボニファーツィオに纏わる噂が流れたのはすぐのことだった。

レオニー・ミレナリ子爵令嬢と噂になったのだ。

レオニーはバルトレオの幼なじみで婚約者候補なのではと噂されている1人だった。

そんなレオニーとボニファーツィオが2人きりのお茶会をしていた。

それが噂となるのは必然だった。



ボニファーツィオの噂が流れ始めてからリオネットはひとりになることが増えた。


「んー!!いい天気ね」


眼鏡をはずし、おさげにしてた髪はウェーブをかけて髪飾りでワンポイント。街に出るから華美にはならないようにしつつワンピースは流行を追いつつも気品を滲ませ、お気に入りのブローチを付けた。

そんな休日のおでかけに待ち合わせていた少女が笑みで迎えてくれた。


「リネちゃん、今日もかっわいーね!」

「やめてよ、レーちゃんの方が可愛いわよ」


褒め合うとお互い微笑み合う。


「リネちゃん今日はレース編み教えてくれるんだよね?」

「もちろんよ。レーちゃんは筋いいもの。でもいいの?こんなことが『対価』で」

「うん、いいのいいの。どうせ学園を卒業すれば私は領地に引っ込むんだし、気にしないわ」


レーちゃんは私の数少ない友人だ。

学園では仲良くしていない。あのボニファーツィオの目を欺きたかったからだ。

彼は私を束縛したがる。

それが同性でも異性でも関係なく私と仲良い子達が気に入らないのだ。


「レーちゃんのおかげでスムーズに進みそう」


ふふっと笑うとレーちゃんも笑顔を覗かせた。

私もレーちゃんも卒業と共に結婚が決まっている。

その相手は公表してはいない。『お互いとその相手、その家族たちしか』知らないのだ。


「ふふ、レーちゃんと『身内』になること本当に楽しみだわ」

「今でも姉妹以上に仲良いと思ってるけど?」


そんな会話を楽しみながら私たちの時間は過ぎていく。




こつん、と、ティーカップを置くと景色を眺める。

学園の裏庭にある寂しい机。椅子も美しいとは言えない。

そんな所にリオネットは座っていた。

ボニファーツィオに呼ばれていたからだ。


侍女の用意してくれた紅茶を飲んで待っていた。

ボニファーツィオは苛立った様子で現れ、乱暴に向かいの席に座った。


「リオネット、なんでリボンをつけてる?」


きょとんとしてボニファーツィオの目線を追うと、鞄に付けていた淡い紫のリボンが目に入った。


「私ではなく、鞄にでもいけませんか?」


いつもなら申し訳ございませんと言いながらすぐに外すのにと怪訝そうに見つめるボニファーツィオにため息ひとつ。

そっとリボンを外し鞄に丁寧にしまった。


「お前が可愛いのは俺の前だけでいいんだ、他の人間の見えるとこで可愛げを出さないでくれ。いいな?」


愛の言葉にみえてその実違う。彼は私を束縛したいのだ。その奥底に秘めた気持ちは分からない。

この寂しい場所での茶会も初めてでは無い。

『いつも』なのだ。


私とボニファーツィオは仲がいいとは見えていない。今でも権力で麗しい彼を手に入れたという人は多い。私もボニファーツィオも否定しない。もう言い飽きたのだ。「違う」と言っても「分かってるから」と返される。


ボニファーツィオの方は優越感に浸っていたのかもしれないようで強い否定は一度もしなかった。

リオネットには自分がいないとダメなんだよ。そんな言葉が返される事もしばしばあった。


周りが誤解を解く機会は失われたように思えた。



季節が巡り夏に大きな休みがあった。

ボニファーツィオは自分の領地に連れていこうとしたが、リオネットにも家族がいて会いたいのだと懇願すれば流石に折れてくれた。


「困った方ね……」


呟いて馬車の外を見る。ボニファーツィオはもう領地だろうか。

思えばため息がこぼれ落ちた。


夏休みは1ヶ月以上ある。その間一度もボニファーツィオとは会わなかった。

風の噂で彼は早い段階で王都のタウンハウスに戻り、何人かの女の子と逢瀬を重ねていると聞いた。

そのうちの一人であるレオニーはバルトレオと連れ立って歩いていたとも聞こえてきた。

風が頬を撫で、暑さがましになった気がして、空を見あげた。


「いよいよね」


父から告げられた内容はリオネットにとって喜ばしいものだった。

心からの笑みで手紙を広げた。


「やっと、堂々と貴方の名前を呼べるのね」


大好きなリネへ、と書かれた文字に触れ、柔らかく微笑んだ。



長い休みを終えて学園に戻った時に私は初めて笑みを浮かべたまま馬車を降りた。

決まってしまったとはいえ、これから起きることを思えば頭は痛いのだが、高揚しているのもまた事実で複雑だった。


1歩、学園の門をくぐればざわりと周りが騒いだ。

それはトロヴェージ侯爵家の馬車から降りた私が普段とはまるで違う格好だったからだろう。


こつん、ヒールのある靴など学園では初めてだわ、と思えば自然と笑みが零れた。


「え、だれ……??あの馬車って……トロヴェージ侯爵家では??まさか」

「それではリオネット嬢ですの……??」


聞こえては居たが笑みを向けるだけでそうとも違うとも言わなかった。

今日からは『隠さない』と決めたのだ。堂々としているだけでいいはず。


「ごきげんよう」


笑みの後で挨拶すれば、戸惑いがちに令嬢たちも挨拶を返してくれた。



大勢が困惑する中、コツコツコツと急いで近ずく足音がした。

あまり近ずかれる前に振り向くとふわりと笑みを浮かべた。


「ごきげんよう、ドメニコーニ伯爵令息様」


信じられないと言うようにボニファーツィオが目を見開きぽかんと口を開けた、が、すぐにその瞳には怒りが宿り口は閉じられた。


「……どういうつもりだ、リオネット!」


冷静に話そうと思ったが、失敗したように彼は怒鳴った。

何かをリオネットが答える前にキラキラした金色がリオネットに抱きついた。

その正体に周りがまたざわついた。


「リネちゃん、おはよう!」

「もぅ、レーちゃんったら、はしたなくてよ?」


お互いに愛称で呼び合う。ボニファーツィオの浮気相手と噂されていたレオニーとの仲に驚くのは当然だろう。

しかし彼女との付き合いは長い。

ボニファーツィオに見つからないように会うのは骨が折れたが今日を迎えるためだと思えば耐えられた。


あまりのことにボニファーツィオはまた黙った。


「リネちゃん、今日のそれは兄様の?」


紫の髪飾りを見られたのだと分かってリオネットは微笑みながら頷いた。


「ええ、レオからのプレゼントよ。でもあの人は『選ばせてくれる』の。これも贈られたものの中から選んだのよ?」

「でも選んだって言ったってどうせぜーんぶ兄様からのものじゃん。絶対に今頃にやけてるわよ??」


黙ったボニファーツィオを無視する形でふたりは会話を続けていた。

意味を理解してボニファーツィオはリオネットに手を伸ばした。

その髪飾りを奪おうとして。


「リオネットにこんなもの似合わない!それに、浮気してたのか?!」


そんな言葉と共に。

リオネットから表情が抜ける。

ボニファーツィオに似合わないと言われるのはもううんざりだった。


「ドメニコーニ伯爵令息、乱暴は良くないな」


低い声が落ちた。

穏やかな貴公子だと評判のバルトレオの刺々しい声色にボニファーツィオも周りも黙った。


「おはよう。リネ」


直後嬉しそうにリオネットに声をかけた。


「ええ、おはよう。レオ」

「ちょっとぉ、私には??」


リオネットの首に抱きついたままレオニーが頬を膨らませた。


「はぁ……お前は相変わらずだな。レニーもおはよう」

「ええ、おはよう。兄様」

「ところで、いつまで『僕の』リネに抱きついてるんだ?」

「はっ、遅れて来たくせに……それに所有物扱い??さいっていね」

「ぐっ……レニー、お前容赦ないな」

「当たり前でしょう!?『私もレオだったのに』兄様のせいだもの!」

「違う!リネは『僕をレオと呼んだ』だろう?忘れたのか??」


この話になると決着はつかないのでリオネットが手を合わせパチンと音を出す。


「レオもレーちゃんもそこまで、ね?」


ふたりはリオネットを見て、分かったよ。と、口論を辞めた。


「……なんなんだよ。これは」


ボニファーツィオの声にリオネットはまた表情を無くした。


「何がお聞きになりたいのですか?ドメニコーニ伯爵令息様」


リオネットの声にはなんの感情も読み取れなかった。


「お前は俺の婚約者だろうが!なんで」


言葉の続きを拒むように被せてリオネットが凛とした声を掛けた。


「いいえ、婚約は解消されております」


リオネットの言葉に続いてレオニーが呆れたように言葉を重ねた。


「そちらの有責での破棄ではなく、円満な解消に感謝すべきなのに、未だに婚約者気分なの?」


ボニファーツィオの親からリオネットとの婚約が危ういとは聞いていた。今朝になって親から手紙が届いたが小言が多くてその類いだと目を通さなかった。

まさかと思う。後で読もうとチケットポケットに入れていた手紙を震える手で取り出し読む。

婚約が解消されたという文字が見えたが理解を頭が拒否する。


「うそ、だろ……」


ボニファーツィオが手紙から顔を上げリオネットを見る。


「申し訳ございませんが、今後はリオネットではなくトロヴェージ侯爵令嬢と呼んで頂けますか?私はもう貴方の婚約者ではありませんし、今の婚約者が不機嫌になってしまいますので」

「……いまの、婚約者……?」


ボニファーツィオの問いにリオネットが頬を染めて答えた。


「ええ、ドメニコーニ伯爵令息様との婚約は家の為でしたので、諦めて居たのです。ですが、ドメニコーニ伯爵領での鉱石の採掘量が減っておられましたでしょう?そこで婚約を続ける意味が無くなったのですよ。ですが、鉱石は必要でどうしたものか、と頭を悩ませていた所、兄の婚約者の領地で新たな鉱脈が見つかりまして、その利権と引替えに未来の義姉上の『本当の両親』と話しましてね。彼らは我が家から求めるものは私と……私がその家の嫁入りする事を条件にされました。あとで知ったので彼には叱りましたけれど……ですけれど、やっと一緒になれると言われれば許すしかありませんわ。ほんとうにもう」


そこまで言うとバルトレオが蕩けるように優しい笑みで引き継いだ。


「リネと一緒にいたくて海外留学して立派になったと思ったのに帰ってきても婚約にもありつけず、君に会うのも我慢してたの知ってるだろう?君はレニーとばかり一緒にいるし、『元』婚約者とも定期的なお茶会していたし、我慢も限界だったんだよ?正直に言えば君の提案に乗る気はとてつもなくあったんだ。ほら、君が『元』婚約者と結婚しなくてはならない時になればふたりで逃げようってやつ。でも、偶然にもあちらの鉱山の枯渇とこちらの鉱脈発見があった。ならば交渉するよね。だって僕は君の為だけに存在してるんだからさ」

「うっわ、兄様ちょっと病んでるね」


バルトレオの言葉にレオニーが遠い目で呟いた。


「うるさいな、レニーも婚約者と一緒にいろよ」

「はぁぁ????もうあの人は学園卒業してるの知ってるでしょう?!こんなのリネちゃんに癒されるしか私救われないじゃん!」

「何が救われないだよ。僕のリネだって言ってるだろうが。義兄さんに言うしかないな」

「え、な、なにを??」

「レニーのやりたい放題を、まぁ少々??」

「うっわ、さいってい!!兄様なんてリネちゃんに」


また始まった、と言うように慣れた様子でリオネットが手を鳴らす。


「ほーら、ふたりとも皆様が驚いてますわよ?」


その言葉でふたりはまた黙った。


「そういう訳ですの。ドメニコーニ伯爵令息様との婚約を受け入れなくてはと思った時期もありますが、無理でした。レオへの想いが強かったのもありますが、それでも、私は貴族令嬢です。しかも侯爵家。家の為の結婚と割り切るつもりでした。ですが、ドメニコーニ伯爵令息様は私にとって『苦痛』でしかありませんでした……。貴方と婚姻すれば私は『以前の地味なままの自分』を強要される。耐えられません。それに貴方は自分の屋敷に招いた時だけ私に『貴方の選んだドレス』で『貴方の選んだ宝石』をつけさせ着飾らせた。私はお洒落が好きです。ですが、ただ着飾りたいのではなく自分で選び着飾りたいのです。それなのに、この生活が続くのだと思えば耐えれませんでした。だから、つい零してしまったのです。『助けて』と……。その後私のためにレオが留学してまで婚約者を自分で選ぶと言い出したのは想定外でしたけれど」

「リネは僕の半身だからね。当たり前だろ?」

「レオったら」


くすくすと笑うリオネットは本当に幸せそうだった。


「まて、留学って、それは……」

「ええ、ドメニコーニ伯爵令息様と婚約が成立した翌年の事です。」

「お前、そんなに長い間浮気を……」

「人聞きの悪いこと仰らないで下さい。貴方との婚約期間は、ふたりきりで会ってませんわ。ですわよね?レーちゃん」


呼ばれたレオニーは無邪気に笑っていた。


「そーだね、兄様は不満そうだったけど。私がいつもいたわよ?」

「そもそもなぜレオニー嬢が……」


きょとりとしてレオニーが答える。


「あーそうか、リネちゃん以外知らないんだ。そかそか、隠してはないんだけどなぁ。私はミレナリ子爵令嬢ではあるけど、ミレナリ子爵の子ではないわ。そもそも昨年子爵に子が生まれたから後継者をその子に指名した時に私は実家に『戻る』ことになってるもの。手続きの関係で学年が上がるタイミングでとは思ってるけどね」

「え、っと、子爵令嬢では、ない?貴族ではないのか?」

「やだな〜、違うわよ。ねー、リネちゃん!」

「ふふ、そうね。だってレーちゃんは公爵令嬢だものね」


その言葉にまた周りが凍りつく。

下位貴族だと思い接していたレオニーが公爵令嬢だったと知り、無礼な物言いをした令嬢たちは顔面蒼白になっていた。レオニーは見目もいいので愛人にと誘っていた令息はさらに酷い状態だった。


「そうだけど、公爵令嬢って疲れるのよね〜。そもそも嫁いだら侯爵夫人だもん!」

「そうね、でもその前に子爵令嬢の教育から公爵令嬢への教育に変わるのでしょう?合格出るまでは婚姻させないとおじ様おっしゃってたわよ」

「え、うそ。お父様そんなこと言ってた?」

「ええ、だから頑張ってね?レーちゃんの婚姻後に私達も式をあげるんですから」

「って事はレニーがサボるとリネと一緒に暮らすのお預けってこと?」


ここに来てその情報の繋がりが分からずに皆聞き耳を立てた。


「レーちゃんがうちに、私がレオに嫁ぐ。そんな子供の頃の冗談が数年後には実現するのね」


その言葉に皆が絶句する。


「アレス様も一緒になって話したよねー!」


リオネットの兄であるアレスディオの事だろうと分かるとレオニーとアレスディオの仲も良いのだと推測できた。


「そうね。でも公爵家と侯爵家の繋がりは既に出来てしまったからレオと私の婚約には両家とも乗り気ではなかったのよね」

「本当に遺憾だよ。僕はリネ以外は眼中に無いのにな」

「ふふ、私もよ。レオ」


ここに来てレオニーの実家がバルトレオの家だと察し始めた者が出てくる。

まさか、もしかして。そんな声に答えるようにレオニーが笑う。


「ほんっとーに、兄様はリネちゃん狂だよねー!あ、そうそう、私は兄様の幼馴染じゃないわよ?私は兄様の双子の妹!」


からからと笑うレオニーは高位貴族の令嬢には見えない。


「あ、ふた、双子……?」

「うん、そうよ。年齢差ないのに兄妹なんてそのくらいしかないでしょう??でもまぁ一応年子でも生まれた時期によっては有り得るか。でも私達は正真正銘双子よ?」


ざわりとした音が幼い頃を思い出させた。

読んで下さりありがとうございました

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