第31節「羨望と忘却の正義」
よく忘れられ「ル」。「ル氏」だ。
「つもり」というのが一番厄介だ。
水筒にお茶をつくって持って来たつもりだった。
喉が乾いた。
何っ!水筒が無い。いったい何処へ…?
大体予測はつく。
俺の予測能力は、必要無い時に高い。
キッチンのシンク横にきっと奴は居る。
口実は出来た。
喫茶「天」に行こう。
そして、歩きながら、どうでも良いような予測。
今日帰った後、俺は右靴下の第一指が当たる部分に穴を見つけるだろう。
まだ、見てない。
「天」の扉を右手で開ける。
席に座って、物思いにふける。
世界には理がある。
許される何かと許されない何かだ。
他人がどうこう言おうが俺には関係無いが、何か言われると、凹むよな。
給仕さんの残り香を焙煎豆の香りが塗り替えていく心地よくも惜しい感。
窓の外を眺めると、広告を貼られた路線バスが信号待ちをしている。
ドンドン亭協賛
「MUTE♡KISS」世界征服全国+ちょっと海外ツアー 〇〇公演決定!
この街でも公演があるらしいな。これは許される世界征服だな。
俺は、メニュー立てに上半分が重みで曲がったチラシ?があるのを見つけた。
世界征服断固阻止!三上 銀杏ゲリラミニライブ
(※路上使用許可取得済 認可番号…)主催 まいもんや九兵衛
同じ日にぶつけて来てる。
こっちの陣営にとっては許されない。
難しいものである。
おや?
奥の席でゴーさんがミクちゃんに何か話してる。
聞き耳を立ててるわけじゃないけど聞こえてくるんだから、これは許されるよね。
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裏山欲しい。
うらやましい。
他人を羨んでも仕方ないのです。
そうなってる背景がそもそも違うし、世界は元々公平じゃない。
勇者は勇者。魔術師は魔術師。戦士は戦士。遊び人は遊び人。
経営者は経営者。私は私。人は人。警察は犬。犬は可愛い。そうすると、警察は可愛い…のか?
可愛いは正義。…?
羨ましいと思うのも仕方ないのです。
どうせ羨ましいんだから、積極的に羨ましがらなくても良い。
羨ましいぞーと。言ってみて自分が同じになれないことを自覚しても良い。
黙って、そうなるように努力してみるのも良い。
隣の爺さんの犬が裏山を掘ったら宝が出たらしい。
そして、犬は死ぬ。ポチだかシロだかわからんが。
最後には花が咲く。
そういうことである。
警察は可愛い。
なんで私ばっかり。なぜか通過してる前の奴らが羨ましい。
先日、私はスピード違反で取り締まられました。
南無三だ。num Thunder.
慌てない慌てない。一休み一休み。
一休。it's cute.
以上
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…だそうだ。
ゴーさんはやらかしたらしい。
ミクちゃんがゴーさんの話を深く頷いて聞いている。
ミクちゃんはゴーさんのやらかし話を過大評価してるはずだ。
喉を潤し、店を出た俺は、虫の音を聞く。
秋の交通安全週間が始まった。
第31節「羨望と忘却の正義」ここまで




