その85
あの後教えられた服屋に行き、ここいらで良く見かける生成りの長袖シャツと濃いブラウンのカーゴパンツみてぇなのがあって気に入ったんで購入して即着替えた。服選びや着替えのシーンはないのかだって?中年のお着換えや悩む姿なんざ誰が見たいんだ……そういうのはどっかの科学の石に出てくる爺さんの真っ裸で満足しておいてくれ。
それに着替え自体はステータスからタップして装備から入れ替えればいいだけなんで、脱ぐシーンやらも一切ないぞ。まぁ、店に試着室っていうか着替えの部屋があったんでそこで変更はしたけどよ…店員の好意を無駄にするのは悪いだろ――――俺はさっきから誰に言い訳してんだ。
「八百屋の兄ちゃんの言うとおり、穴やほつれやらもなくて質は良かったし安かった。これで町に馴染めるって考えたら十分な益があるもんよ」
それでも1500ミールはしたがな!そのうちの1200ミールがカーゴパンツなんだが、ポケットやらの収納が多い分、余計に布を多く使うから高くなるんだそうだ。ただ土木やらの作業者や漁船の船員やらには人気だから、入荷したら早い者勝ちだと…残っていて助かったぜ。
「にしても、マジで町のやつらからの見る目がちげぇな」
メインストリートに来ると余計にそれを感じる。服屋の通りにはタイミングか何なのかは分らんが、人が全く居なかったんで感じなかったが…そのすぐ隣の通りに移動してからは分かりやすく反応が違った。なんというか、ただ単にドワーフのオヤジが歩いているだけって認識になったんだよな。この町自体にドワーフが少ないというか見た覚えがないんで多少珍しいものを見たって顔はされるが、それだけで済む。
’まだ見つからないのかよ!’
’ギルドの周辺とかにはなかったぞ!’
’そもそも本当にあんのか?’
「うぅ~む、見事に違う」
丁度メインストリートに出てきた初期服のプレイヤーが騒いでいるが、店の店員や客から迷惑そうな目線を向けられている。買出しに来ている主婦層なんかはもっと露骨だな…一緒に来ている子供をプレイヤーの居る反対側に引き寄せて急いで通り抜けるのもいるし、邪魔で仕方がないと敵意すら混じっていそうなレベルで睨んでんのも居るぞ。
’…何か見られてね?’
’あぁ?別に気にする必要ないだろ。どうせNPCなんだから’
’そんなことより次の場所行くぞ!あの場所は俺たちが手に入れるんだよ!’
そんなことは知っちゃこっちゃないとドカドカと3方向に散らばって走り去っていくプレイヤー共。ありゃどうしようもないな。
”まったく、騒がしいったらありゃしないね。ドワーフの旦那もそう思うだろ?”
「ああ、迷惑でしかないな」
何に急いでいるのかはわからんが、早いところ騒ぎが治まらんもんかねぇ?
騒ぎの根本定期。といっても、別に煽っていたりもしていないので…
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