その83
メインストリートの脇道。もうすぐ日が下がり始める時刻になり、そろそろ夕食の食材を求めに周辺のおばちゃんがやって来る。
「さぁ、値切りに負けねぇように気合を入れなおさんと……んん?」
自慢の野菜たちの陳列を一番輝くように並べなおすかと、上を見上げていた顔を下げると…どこか見覚えのある帽子がこちらに近づいてきているのが見えた。
「ありゃあ母ちゃんが作った麦わら帽子だよな?何でひとりでにこっちに来てんだ」
「ひとりでにじゃねぇっての」
「おおっと、あんときのおっちゃんか!いらっしゃい!」
「おう、約束通り買い物に来たぜ」
道行くつーか道駆ける初期服のプレイヤー共を横目にやってきたのは、麦わら帽子を譲ってもらった八百屋だ。何事もなく着いて良かったぜ……メインストリートやらの店主の目がすでに迷惑がっていたからな。同胞がすまんなと謝ってはおいたんで、俺への認識は変わったかもしれんか。保身ってのは割と重要だ。
「嬉しいねぇ!存分に買ってってくれや!」
「ああ、買った後に聞きたいこともあるんだがいいか?」
「まだ忙しくないんで構わないぜ」
「そりゃよかった」
なら早いところ野菜やらを買って服屋の情報を手に入れるとしよう。
「こんなもんか?」
「まいどあり!本当にいろいろと買ってくれて嬉しいぞ」
「有言実行は大事だからな」
細長い加熱に良いトマトと玉ねぎ、それにオクラにバジル…ついでに気になった横幅が広いネギ――リーキって言うらしい。こいつも加熱がオススメだそうだ――とでかいニンニクやらと他にも色々購入した。店主の兄ちゃんがこれも良い質だぞって進められてつい増やしちまったよ。
「それでも安いがな。これで1000ミールってのは驚きだぞ」
「うちは良い質のやつでもちょっとでかくなったやつや数が多すぎて市場を圧迫しちまうのを、俺が交渉して取り寄せてるからな!」
「いわゆる訳あり品ってことか?」
「大体そんな感じだな。今回のトマトも時期物で数が余り過ぎたからこうなったわけだしな!」
「これは普段からこうじゃなかったのか」
陳列の半分を圧迫しているから、もうそういうこだわりでもあんのかと思ってたぜ。
「そりゃそうよ。多い時でもこれの半分ぐらいだぞ……まぁたまに全部トマトになるけどな!」
それはもう、ただのトマト専門店なんじゃねえか?
ディスカウントトマトストア。
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