第79話
第79話 ドラゴンの解体
緊急クエストをクリアした冒険者たちは、ギルドから報酬が配られた。
とくにリンに対しては、多くの報酬が支払われるとともに、『メルキバトラ』の素材についても手に入れることができた。
「あんたが『メルキバトラ』を倒したっていう冒険者かい?」
「はい。一応。」
「俺は解体屋のフランクってもんだ。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「『メルキバトラ』はでかいから荒野で解体してからアルムストラに運ぶつもりなんだが、それでいいだろ?」
「はい。素材に関しては、特に私たちには必要ないので、換金してもらえますか?」
「ええ?そうなのかい?ドラゴンだぞ?これだけのもんがあれば相当な武器や武具が作れるってもんだ。本当に換金しちまっていいのか?」
「はい。素材よりもお金のほうがひつようなので。」
「そうかい。わかった。じゃあ、解体が終わったらギルド経由でお金を渡すようにしておく。」
「ありがとうございます。ではよろしくお願いします。」
―――――
『メルキバトラ』の討伐地についたフランクとその作業員たちは、圧倒された。
「しかし、でかいなぁ。って頭が完全につぶれちまってるじゃねぇか。」
作業員たちは、巨大な体を少しずつ切り分け、荷台に乗せて運んでいく。主な素材は、牙、爪、鱗、尻尾、骨などである。『メルキバトラ』の特徴的な顎に関しては相当な価値がつくと予想される。
顎は硬質であり、武器や防具の素材としてうってつけであり、その希少性から高額な値がつけられると思われる。
解体屋はそういった素材を余すことなく、そして、丁寧に解体していった。
そして、数日が経ったころ。
「よお。解体は終わったぜ。ドラゴンの素材なんてなかなか手に入らねぇからな。今回の闇市はとんでもねぇことになりそうだ。」
「闇市ですか?」
「あぁ。ギルドから買い取った商人たちが月に一回ある闇市に、通常じゃ手に入らねえ一級品の素材を出してんだ。」
「魔女と関係する闇市のことかぁ?」
「魔女?さぁそりゃあわからねえけど、闇市の素材は誰でも買える。だが、一級品だからよお。資金は大目に持って行かないとだな。」
「そうですか。ちなみにいつ開催されるのですか?」
「今回は、次の日曜日だぜ。ちなみに解体屋の俺も店を出してんだ。よかったら来てくれよ。安くしておくからよ。」
「出来たら闇市を案内してくれませんか?」
「おう。いいぞ!」
「ありがとうございます。では、これを。解体手数料です。」
「あぁ。今回はいらねえよ。」
「なぜですか?」
「『メルキバトラ』の解体の時に出た商品にならない素材を解体屋のうちで引き取らせてもらったからよ。商品にならないって言っても闇市とかだと買い手がつくんだ。だから、今回はもらえねぇ。」
「そうですか。わかりました。ありがとうございます。」
―――――
「というわけで、闇市の開催とそれを案内していただける方を確保いたしました。」
「冒険者をしている間にすごい情報まで集めてくれてありがとう!」
「だろぉ?うちは天才だなぁ!」
「紅は特に何もしていないと思いますが・・・。」
「なんだとぉー!お金稼ぎも頑張ってるんだぞぉー!フィル!もっと褒めていいだぞ!」
「うん。紅もありがとうね。」
「それで今回の闇市なのですが、フィル様と私で回ることにいたしますか?」
「そうだね。一応茶々丸も連れて行こう。リリィと翠と藍は、アルムストラ全体の情報収集に徹してもらう。」
「うちはぁ?」
「紅は、冒険者ギルドでクエストをこなしてお金を稼いできてください。」
「またかぁー!」
「宿屋に長期間泊まるのもお金がかかるんですから重要な仕事ですよ。」
「わかったぁ。大金を稼いでくるぜぇ!」
―――――
「今帰ったぞ!今回はすげぇことになりそうだ。」
「あなた、とても上機嫌ね。」
「あぁ。そりゃあ、ドラゴンの素材が手に入ったんだ。今回の闇市は儲かるぞ!」
「ドラゴン?もしかして、ドラゴンの血も手に入ったの?」
「なんだ?興味あるのか?もちろんだ。どこかの国ではドラゴンの血は秘薬になるらしいからな。」
「そうなんですね。じゃあ、今回の闇市で売り上げがあがったらおこずかいも増やさないとですね。」
「いいのか!ニコ!ありがとう!ありったけを売り込むぞ!」
「私もお手伝いしますからね。一緒に頑張りましょう。」
解体屋フランクと妻のニコは闇市で売る商品をどうするかなどを遅くまで話し合った。
妻のニコは店員としてフランクの店の手伝いをしていた。
そして闇市の当日。
「いらっしゃいませー!ドラゴン、ドラゴンの素材がお買い得ですよー!」
店員のニコは、元気な声で客引きを行っていた。




