第77話
第77話 魔物狩り
「ゴブリンばっかり倒してもつまんないなぁ。」
「そうですね。角もそれほど高く買い取ってくれるわけではないので・・・。」
ギルドボードの前で悩んでいる二人に受付の女性が話しかけてきた。
「リンさんと紅さん。折り入ってお話が。」
「なんですか?」
「現在、銅の冒険者で手練れなのは、お二人しかいないので、頼みたいクエストがありまして。」
「どういった依頼ですか?」
「ホブゴブリンの討伐なのですが・・・。」
「またゴブリンかぁ!」
「申し訳ございません。現在銅の冒険者に提供できる最高のクエストなのですが、ちょっとした厄介ごとがありまして。」
「厄介ごとですか?」
「はい。ホブゴブリンの討伐はもちろんなのですが、その中にキングゴブリンの存在があるようでして・・・。キングゴブリンの討伐とはいかなくても、存在だけ確認して頂ければ報酬はお出しします。キングゴブリンの討伐は銀の冒険者案件なので。」
「それが一番報酬の高いクエストということなら断る理由はありませんね。行きましょう。」
「ありがとうございます。」
―――――
「リン。すべてうちに任せておきなさい。」
「どうしたんですか?急に。」
「今回のクエストは、洞窟なんだろう?炎を洞窟のなかに充満させればいちころだぁ。」
「確かに。手間をかける必要はありませんね。では、お願いします。」
「おう!任せておけぇ!」
二人は、受付の女性にもらったゴブリンの巣らしき洞窟を見つけた。
「あれで間違いなさそうですね。」
「外のゴブリンは、リンに任せる。」
「わかりました。」
リンはさっと移動し、『電子砲槌』を振り下ろした。
ドシャアっという音とともにゴブリンは、血だまりになった。
その横をテクテクと歩き、紅は洞窟の前でスタッフを構え、洞窟内に火炎を放った。
充満する炎は、酸素を失っても燃え続けている。
火炎放射器のような炎が、洞窟内を蹂躙する。
すると、中からゴブリンより一回り大きなホブゴブリンが燃えながら出てきた。
そして、洞窟の前で絶命した。
「これ、奥まで届いてるのかなぁ?」
「少なくとも洞窟内の温度は上昇していると思いますよ。もっと火力を上げたらどうですか?」
「温度を上げてみるかぁ。」
紅の放つ炎はゴーっと音とともに急激に温度を上げた。洞窟の入り口は、高温に熱せられ、赤くなっていた。
「単純に温度を調整することは、余裕そうですね。」
「それはできるぞ!ただ燃やすものを変えるだけで温度は高くなるんだ。」
「へ~。そうなのですね。」
「やろうと思えばもっと高い温度にできるぞ。5,000度くらいなら余裕だ。」
「太陽の表面温度くらいじゃないですか。そんなことしたら、この洞窟が融解して無くなってしまいますよ。」
「あ、そうか。」
「もうそろそろいいんじゃないですか?ホブゴブリンも出てこないですし。」
「そうだなぁ。洞窟探検と行こう!」
二人は焼け焦げた匂いの充満する洞窟内に侵入した。
昼間にも関わらず中は暗い状態だったが、紅の炎のおかげで辺りが明るく照らされていた。
「紅もちゃんと角を拾ってください。」
「正直なぁ、どれが角だかわかんないんだよなぁ。」
「こんな高温で燃やすからでしょう。」
「弱火くらいかぁ。難しいなあ。」
「これですよ。これ。」
リンは見せたのは鈍色に光る角だった。
「それならちゃんと取れてるなぁ。大丈夫だぁ!」
「ちょっと袋の中見せてください。ってこれただの石じゃないですか!?」
「えぇ!角じゃないのぉ?」
「色は確かに似てますが、これはただの石です。はぁ・・・。」
「ごめんなさい。」
「まあ、いいでしょう。帰りに拾って帰ればいいので。これからは気をつけてください。」
「わかりました・・・。」
シュンと肩を落としながらも、今度はちゃんと角を拾っていく紅。
リンとともに奥に進むと開けた場所に出た。
「ありゃりゃ?」
「これはラッキーですね。」
そこには、燃え尽きずに横たわるキングゴブリンの姿だった。
洞窟内の酸素が燃え尽き窒息死していた。
二人は洞窟からキングゴブリンを引きずりだした。
「これはかなりの金額になりそうですね。」
「宿代何日分だぁ?」
「わかりませんが、期待大です。」
―――――
冒険者ギルドに帰ってきたリンと紅の姿をみた他の冒険者がひそひそと話しているのが聞こえる。
それもそうだ、大量のホブゴブリンの角とキングゴブリンの死体をそのまま引きずってきたからである。
「クエスト完了だぁ!」
「こ、これは!?キングゴブリンですか?」
「そうです。討伐できたので、持って帰ってきました。」
「そ、そうですか・・・。ありがとうございます。こちらで買い取らせていただきますね。一応キングゴブリンの討伐は銀の冒険者パーティーでお願いしているところなので、ランクの昇格についても併せて確認してまいります。」
「よろしくお願いします。」
「ランクアップできるのかぁ?」
「さぁ?まだわかりません。ですが、さすがに鉄の冒険者にはなれると思いますよ。」
数時間後、リンと紅は冒険者ギルド内で最速となる期間で1ランク昇格となり、鉄の冒険者となった。
報酬もただのゴブリン狩りよりも数十倍の金額を手に入れることが出来た。




