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第11話 義妹トラベル


 真白との買い物も無事に済まして、無事に家へと帰って来たよ。


 それと数十分前に変質者が捕まったんだって、ニュースになっていたんだ。最近、物騒なことが多いね。


 その変質者に真白が出会わなくてよかったよ。


「それでは白銀くん。また、制服や教科書を買いに行く時にお会いしましょう」


「う、うん。じゃあね、西蓮寺さん」

「………………バイバイ。澪ちゃん」


「今日は白銀くんのお家も把握できましたので、再会できて本当に良い一日になりました。さようなら~! お二人共~!」


 西蓮寺さんに家まで送ってもらったんだ。

 そして、高級車からにこやかに僕達へと手を振る西蓮寺さんが帰って行く。


 西蓮寺さんに家の位置を特定されちゃったよ。


〖どうしても白銀くんの家に行ってみたいんです!〗なんて言われたら断れないし。何の問題もなさそうだから、大丈夫だよね。


 それと1つ気になることがあるから、真白に質問してみよう……


「あれ? そういえばお互いに下の名前で呼び合うくらい、西蓮寺さんと仲良くなれたの? 人見知りの真白にしては、珍しいね」


「…………兄さんが女性関係にだらしないせいです」


「え? 今、なんて言ったの? 真白」


「何でもありません!……(うぅぅ……兄さんがトイレに行っている間に色々あったなんて言えるわけないでしょう。兄さんのあんぽんたん)」


 真白が恥ずかしそうに赤面してる。西蓮寺さんとなんかあったのかな? 真白に新しい友達ができてお兄ちゃんとしては嬉しいなぁ。


 なんてことを考えていたら、不意に真白からとんでもない質問されたんだ。

 

「それで、兄さん。痩せる前の2日間は結局どこに居たの?」


「……………え?」


 その真白の発言は絶対に答えることができない質問だった。


 そこで僕の思考回路はフリーズして、真白の質問に答えられなかったんだ。


「あら~! お帰りなさい~! 蓮、真白ちゃん~! デート楽しかったかしら?」


「お、お母さん! な、なんてこと言うの? ベ、別に兄さんとデートじゃないよ。普通のお出かけです!」


 そこに運良く、母さんが登場。真白の質問はうやむやになって、終わったんだ。


 良かった……これで明日から、何も気にせずに生活できるよ。お肉が食べれるようになったら、また大食い大会にでも出場しようかな。


 …………なんて夢は、すぐに真白に打ち砕かれたね。晩ごはんを食べ終わってから、真白による質問攻めが始まったんだ。


「それで? 痩せる前の2日間は誰と過ごしていたの? 兄さん」


「…………内緒かな」


「内緒? 義妹の私に内緒にできると思ってるの? 兄さん」


「……………思ってない」


 目が笑ってない、目が全然笑ってないよ。真白……そうだった真白は、僕がなにか秘密を抱えると、必死に暴こうとする女の子だった!!


「あらあら、2人とも本当に仲良しね。将来が楽しみだわ~!」


 僕達兄弟は気まずいのに、母さんだけはすごく嬉しそうなんだけど。何でなの? ていか、将来って何?


「兄さん。寝る前に2人きりでお話したいから、兄さんの部屋に行くからよろしくね」


「あ、いや、それなら僕が真白の部屋に行くよ。ねっ!」


「夜遅くは私の部屋には入らないって、紳士な兄さんが言ってたよね?……だから、私が兄さんの部屋にお邪魔するからよろしくね」


「…………はい。分かりました」


 冷たい目線が怖いよ、真白。

 逆らえない。昔から、僕は真白に逆らえないんだ。


 そう、あれは小さい時だった。真白のお願いは絶対叶えてあげるって、約束しちゃったんだよね。僕。


 このままだと、あの空き部屋の秘密が真白にバレちゃうよ! どうしよう。



◇◇◇


 打開策もないまま、その時があっという間にやって来ちゃったよ。


〖はぁ、義妹の夜這よばいですか……なかなか語呂ごろは良いですね。全然笑えませんが、フフフ〗


 僕が部屋で1人だからか、イヴさんが積極的に話しかけてくる。


 変態さん……じゃなくて、殺し屋さんとの戦いの時はアドバイスもくれなかったのにさ。


「……大爆笑してるじゃないか」

〖……してません〗


 いや、笑ってましたよね? 

 なんて、これ以上聞いたら何をされるか分からないから。これ以上は踏み込まないよ。


「それより、どうしよう。イヴさんが、僕に課した異世界ダイエットせいで空いた、空白の2日間をどうやって、真白に説明したらいいんだろう?」


〖異世界ステラで、王女様と運命的な出会いをし、一緒に行動してダイエットしたと素直に言えばいいと思います〗


「そんなことを、真白に素直に言ったら怒られるじゃないか! もっと、穏便に済ませる方法を知りたいの! 僕は」


〖……わがままな。マスターですね〗


「誰のせいで、こんな状況におちいったと思ってるんだい!」


 あー、ダメだ。僕の案内役、相談しても良い案もくれないよ。どうしよう。


「兄さん、失礼します」

「ま、真白!? はい、どうぞ!」


 悩んでいる間に真白が来ちゃった。そして、条件反射で真白に返事をしちゃったよ。


「お、お邪魔します……夜に兄さんの部屋に入るなんて、すごく久しぶりだね。半年ぶりくらいかな?」


 パジャマ姿の真白が、恥ずかしそうに僕の顔を見ながらモジモジしてる。女の子らしい姿で大変可愛いらしい。


「………ううん。3日前にも勝手に入って来てたよ。いや、今日も僕の着替え中に覗いて……」


「ません! あれは、兄さんの体調が気になったから、心配で部屋の扉を少し開けようとしたら、全開に開けちゃっただけです!」


「そ、そうなんだ。ごめん、僕の見間違いだったね」


「はい! 分かってくれて良かったです!」


 真白に凄い慌てながら怒られちゃったよ、怖い怖い。


〖マスター、この真白という妹さんは、すさまじいムッツリスケベです。気をつけて下さい〗


 イヴさんの冷めた声が、僕の脳内に響いた。


「真白がムッツリスケベ? そ、そうなのかい? 真白」


「だ、誰がムッツリスケベですか。私は健全な引きこもり娘です!」


 ……また怒られたよ。僕、今日だけで真白に何回怒られたるんだろう?



《一方リビングでは……》


『『――――――――――――――!!!』』


「あらあら~! もう寝る前なのに2人とも元気ね~! 良いことだわ……快斗くんのせいで色々と大変だったものね。蓮の苛めに文句を言ったら、私をさらって海外に売るなんておどしまでかけてくる怖い子だったけど……快斗くんって本当に中学生だったのかしら?」





「それで、兄さん。空白の2日間は、どこの女の子とイチャイチャしていたの? ちゃんと答えて」


 また詰められ始めたよ。真白が怖いよ。


「いや、だからね。僕が、女の子とイチャイチャできると思う? 僕だよ」


「…………できるよ。兄さんは、できる。兄さんは太っていても痩せていても、カッコいいもん」


 右手を口元に置いて、真白がそんなことを言ってきた。


 嬉しいことを言ってくれたんだけど。なんだか恥ずかしいなぁ。


「そ、そうかな? ありがとう、真し……」

「それで? 2日間誰と居たの?」


 真白にお礼を言おうとしたら、また詰められた。


「い、いや……だから。誰とも居ないって、1人で異世界なんて行ってないってば」


〖つっ!……マスター、口がすべってます〗


「え? 嘘ぉ!?」


「………異世界? 何それ? 異世界って、たしか剣と魔法のファンタジーだよね?」


「え、いや……そのぉ……そうなのかな?」


 とぼける……隣の部屋の押し入れを潜れば。異世界に行けるなんて、真白に知られるわけにはいかない。


 知られたら……イヴさんに、絶対きついお仕置きをされるのが目に見えているからね。


「……………! そういえば、兄さんの部屋にこんな鏡なかったよね? いつ買ったの?」

「鏡?……あっ!」


 僕が思考をめぐらせている間に、真白が、例の空き部屋に繋がる鏡の前に立っていたんだ。


「兄さん。何で私が鏡の前に立っただけで、そんなに焦って驚いているの?」


「あ……いや~……その鏡には何の仕掛けもないよ。真白」


〖つっ!……なんですか。その大根役者振りは? そんなの、そこが怪しい場所ですと伝えているようなものですよ。マスター!〗


 イヴさんがガチギレしてるよ。この後、お仕置きされちゃうじゃないか。


「ここに何かの秘密があるんだね? 兄さん……兄さんが2日間も家に居なかった理由……女の子が鏡の向こう側に隠れ住んで居るんでしょう?」


「……は? いやいや、そんなわけないじゃないか。そんな空き部屋に人が住めるわけないよ。中には、異世界に行ける押し入れしかないんだよ……あっ!」


 勢いに任せて言っちゃった。


〖…………マスターのお馬鹿さん。私との2人だけの秘密だったのに〗


 イヴさんが悲しそうに何かを言っている。でも、聞き取れなかった。僕の脳がフリーズしてたからね。


「この鏡の向こう側に異世界に行ける押し入れ? 兄さん! 私が、いくら世間知らずの引きこもり娘だからって、そんな冗談……あれ? 鏡が光ってるよ。兄さ……」


「へ? これって、僕が最初に異世界に行った時と同じ光じゃないか……」


 ……こうして、僕と真白は兄弟揃って異世界トラベルすることになったんだ。


〖これは?……マスターの妹さんも、異世界に招待したのですか? ステラ様〗




◇◇◇


(真白は大きくなったら、お兄ちゃんとずっと一緒にいるの! 凄いでしょう? 快斗くん)


(は?……あんなデブのどこが良いんだよ。それよりも、真白。お前は俺の物なんだから、ずっと俺の側にいろよ。命令だ!)


(い、痛いよ。快斗くん。それにお兄ちゃんは、好きで太ってるわけじゃないもん。私の為だもん……痛い…両手が痛いよ…助けて、お兄ちゃん!!)


 あれ?……これ、小学生の頃の思い出だ。


(僕の妹に手を出すな! 快斗。お、怒るぞぉ!)


(ちっ! クソ豚。毎回毎回、手も出してこねえくせに、しつこいんだよ! 弱虫デブ!!)


(お、お兄ちゃん! お、お兄ちゃんを殴らないで。快斗くん)


 そう、昔の思い出。私、お兄ちゃん、快斗くん、三人の思い出。


 嫌な思い出……私はこの頃から、お兄ちゃんが大好きで、快斗くんがすごく怖かったんだよね。


(お兄ちゃん………ごめんなさい……ごめんなさい……私のせいで殴られてばっかりで……ごめんなさい……)


(ううん。大丈夫だよ……僕の方こそ、ごめん。もっと身体を頑丈にするから、沢山食べて強い身体にするから……だから泣かないで、真白)




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 最初に嫌な夢、最後は最高な夢を見れた気がした。


 最低な人………最愛の兄さんと思い出を。


「ん……昔の思い出、兄さんとの?………ここは、お爺ちゃんの別荘の中?……そういえば、兄さんは?」


「……………真白」


「私を大切そうに抱きしめてくれてる、守ってくれてたの?……ありがとう、兄さん」


 ふかふかのベッドの上に居る。兄さんと一緒に……嬉しい。嬉しいけど。


「ここはどこ? 家の中はお爺ちゃんの別荘と同じだけど。外は……」


 懐かしい庭園。あそこで、兄さんと本当に小さい時に遊んでた。私はそれを今も覚えてるの。


「………ヨイショっと。ごめん、兄さん。先に起きるね。相変わらず、可愛い寝顔だね」


 ベッドから下りて、窓から外の様子を見る。


「!……外で誰か戦ってる?」



【キシャアアアア!!!】


「おのれ! 私を……どこまでも追いかけて来るつもりだぁぁぁ!!」


【ギャシャアアア!?】


「……ハァ……ハァ……なんとか倒せた。逃げないと、逃げて逃げて……復讐してやる。アイツに!」


 外でフードを被った女の子とコモドドラゴンみたいな動物が戦って、女の子が勝って……


「どこかに行っちゃった。何なの? この世界……兄さんが起きたら聞き出さなくちゃ」


 私はそんな疑問と恐怖を抱きながら、兄さんが眠るベッドに戻って、兄さんが目を覚ますまで一緒に居ようと決意した。


 だって、この世界凄く怖そうなんだもん。





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