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皇帝フィルネオの心(エピローグ)

ああ…フィルネオ様。何をおっしゃっているの?

わたくしは良く解らない…


フィルネオ様はわたくしの方を優しい眼差しで見つめて下さって。


「私が愛しているのは、リンディアナ…君しかいない。初めて会った時に、君に皇宮の庭を見せた時から…」


「でしたら何故??アリアを…レティシアをっ…わたくしがどれ程苦しんだか。」


「今度は私に話をさせてくれないか?

君はとても魅力的で、頑張り屋で…辛い妃教育も一生懸命頑張ってくれて…

日に日に愛しさが増して、私は君と共に歩める幸せに包まれていた。

でも、不安だったのだ。本当に私は君に愛されているのだろうか?

婚約者になったから、仕方なくではないだろうか?

君は私に優しくしてくれただけでなく、周りの誰にでも優しかった。

ああ、燃えるような情熱が欲しい。私を強く強く愛して欲しい。

だから、留学した時に、王太子という婚約者がいながら、私に近づいて来たアリアと親しくなった。


アリアは男爵令嬢に浮気をし、素行が悪い王太子を見捨てていた。

だからって…簡単に私に鞍替えをすることは無いだろう?

皇太子という立場は普通、婚約者がいる立場だ。

アリアなら、生贄にする事にためらいはない。

私はアリアを生贄にする事にした。


本当に私を愛しているのなら、君は…必ずアリアを殺す。

そして、私と再び婚約者になるように努力するはずだと。

案の定、アリアは婚約期間中に亡くなった。でもね…確信が持てなかった。

事故だったのか?それとも君が手を下したのか…判断がつかなかったのだ。


あああ…君が手を下して殺していただなんて…君は私を愛していたんだね。

何て嬉しいのだろう…。

でも、私は確信がその時は持てなかったから、君と結婚した後に、

子が出来ない事をいいことに、レティシア・グリニスを利用する事にした。

レティシアは、私が視察に行った時に案内を買って出た女性で、私に近づきたがっていた。

姉が愛した私という人物に興味があると言っていた。

だから、それを利用して側妃にしたのだ。

今度こそ、君が私を愛しているのか確かめることが出来る。

皇室の陰の者に、君と君の周りの者を見張らせたよ。


だから、ハルディオがレティシアを刺殺した事も、赤子であったファルトとマークを入れ替えた事も知っている。


君は私を激しく愛してくれていた。

私は喜びに震えたのだ。

レティシアを殺す程に愛していてくれたってね…


私の子が皇帝になる事に意味はない。ハルディオの子が皇帝になろうとも、

私にはリンディアナ…君さえ傍にいれば良いのだから。

勿論、マークが奴隷として売られたり、虐待されるようなら、助け出そうとは思っていたがね。

でもマークを立派な騎士へ育ててくれた。

感謝してもしきれない…」


「フィルネオ様…わたくしは…。罪を犯しましたわ…何人も殺しております。悪女ですわ。」


「私も同罪だ。グリニス公爵家の事も、君が私を愛しているならば、必ず滅ぼすであろうと私が仕組んだ事なのだから…わざと、ティーネをファルトの側妃になるように進言した。見事に罪を着せられて、彼らは処刑された。

私の手でティーネの首を刎ねるように、手を回したね…。

私は嬉しかったよ…。君が憎しみを募らせるだけ、私の事を愛しているって事だから。

嬉しくて嬉しくて、嬉しさを隠すのが大変だった。

君が悪女なら、私は悪人だ。

悪人であることを隠し続けて、君の前でアリアやレティシアを失った事を悲しむふりをした。君が傷つくのを楽しんでいた。そう…私は君以上の悪人だよ。」


サラがポツリと口を挟む。


「リンディアナ様。毒必要あります?お互いに愛し合っているのでしたら、

もう、よいのでは?」


ハルディオも頷いて。


「そうですよ。悪人と悪女…お似合いでしょう。」


わたくしは、フィルネオ様の手足の拘束を取って差し上げましたわ。

フィルネオ様は強くわたくしを抱き締めて下さいました。


「お互いに、悪人悪女と解った訳だ…これからは、もうリンディアナと離れたくない。二人で離宮で暮らそう。」


「わたくしも同じ気持ちです。ここで静かに暮らしましょう。二人で。」


それからどうしたかというと、フィルネオ様は皇帝を退位し、ファルトに皇帝の位を譲りましたわ。わたくしも皇妃を退位して、二人で離宮に移り住みました。


勿論、ハルディオやサラ。わたくしの味方をしてくれた者達も一緒ですわ。


今は二人で花を愛でながら、時折訪れる皇帝ファルトに助言を与えたり、のんびりと過ごしております。毎日が幸せで…


でも…ハルディオに調べさせた皇帝ファルトの敵に対しては容赦しないですわ。

今度は愛するフィルネオ様も加わって、いかに叩き潰すか、相談するのが楽しくて…

ええ…わたくしは悪女なのです。だから…今度は、皇帝ファルトの為に、

この手を血に染めますわ。


もう、善女の仮面はいりません。だって悪女だと愛しい方に知られていますから。

色々とありましたけれども、今、わたくしは幸せです。




二人が本音をぶつけ合う場面は楽しかったです☆

ポイントとブクマ有難うございます。滅多にない多い反応いただけて嬉しいです。

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