表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/15

17場 青空


悠輝が静かに口を開く。

「……俺、 あなたを利用しようとしてた」

視線を落とす。

「探偵事務所を使って、いつか復讐できるかもしれないって。」

シオンは低く笑った。

「知ってたさ」

悠輝が顔を上げる。

「探偵だぜ?」

少し笑う。

「社員の素性くらい調べる」

悠輝は呆然とする。

シオンは真っ直ぐ悠輝を見つめた。

「悠輝」

静かな声。

「人は、 憎しみだけじゃ生きていけない。」

空を見上げる。

雨は止み始めていた。

「この広い空の下——」

「一人ぼっちだと思っていても、 誰かがお前を見てる。」

「お前と同じ痛みを抱えた人間が、 必ずいる」

そして、 優しく笑った。

「まずは…… 俺を思い出せ。」

そう言って、 悠輝の頭をくしゃりと撫でる。

「うわっ」

悠輝が顔をしかめた。

「せっかくセットしたのに!」

シオンが笑う。


「私もずっと1人だと思ってた。」

悠輝は目を見開く。

瑠奈は続ける。

「でも、違った。」

シオンを見る。

「ちゃんと見つけてくれる人がいた。」

シオンが続ける。

「小学生の頃、母をなくして沈みがちな俺を

父は田舎に連れて行った。そこで出会ったんだ。同じ境遇の、女の子に。」

瑠奈を見つめる。

「俺はその娘に歌を教えた。

次の日も会う約束をしていたのに、急に帰る事になって。でも、ずっとその子の事が気になっていた。…まさか出会えるなんて。」


静かな沈黙。


やがて瑠奈が、あの歌を口ずさむ


悠輝が小さく笑う


シオンもふっと笑う


そして自然に、三人の歌声が重なっていく


君は一人じゃない


僕も一緒だ


風が吹き抜ける


シオンは2人の頭を、ポンと軽く叩いた。


「…子供か」

「ちょっ、髪」


悠輝が抗議する。


瑠奈が笑う。


「先輩。俺、探偵続けていいですか?」


「お前は、相棒だろ」


シオンは空を見上げた。


厚い雲は消え、青空が広がっている。


「…雨、上がったな。」


見上げた空には——

どこまでも青い空が、 広がっていた——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ