↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モテてほしいのは俺であってオレじゃない! かつて天才と崇められた魔法使いは、100回目の転生で自分にハーレムを作らせるため奔走します。  作者: いさき
第1章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/19

1

「どうか、この俺と結婚してほしい」


 目の前の男はそう言うと、片膝をつき恭しく頭を下げた。


 男の名前を、レクス・パシレウス・エーグル。

 

 魔法を極めた「魔王(まおう)」にして、ダナリア王国から正式な認可を貰い雇われた魔法使いでもある。

 

 容姿は端麗。

 一言で表すならイケメンで、野心家のような瞳は他人が見れば魅力的に見えたはずだ。


「初めて会った時からずっと、この出会いは運命だと確信した。いや、もしかすれば君に出会うために俺は生まれてきたのかもしれない」


 俯いた姿勢ではあるが、低く歪みの少ない声は明瞭に鼓膜を揺らす。

 そのせいで、発する言葉が全て聞き間違っていないと確信できてしまう。


「これは君のために用意した君だけの花束だ。是非とも受け取り、そして俺の伴侶となってくれ」


 ガサリと音が鳴り、差し出されたのは真紅の薔薇で作られた花束だ。

  

 数は恐らくだが百本ちょうど。

 この一瞬で数えたわけではないが、それでも確信できるだけの根拠があった。


(…………こうなることくらいは、想定はしていたが)


 時刻は夕暮れ。

 窓際から差し込む光は茜色に染まり、遠くからは少女たちの談笑が微かに聞こえてくる。


 きっと、彼女らは長い一日を終え、ようやく訪れた自由の時間を満喫するのだろう。

 王都の城下町の一角であっても、楽し気な声が廊下に響き渡るのは場所を選ばないらしい。

 本当ならそこにいられたのにと、心の底から羨ましく思う。


(まさか、出会って一時間で求婚してくるとは思ってなかった)


 だが。


 どれだけ黄昏ようと、目の前の現実は変わらない。


 レクスという男は未だ片膝をついたまま頭を下げ。

 香しい薔薇の束をこちらに差し出し返答を待っている。


 この状況で、本気で快い返答が貰えると確信している。

 貰えないとすら思っていない。


 そのあまりにも狭く偏った思想に、オレはすぅっと意識が遠ざかるのを感じた。


(いったい、どこでなにを間違えればこうなるんだろうな…………いや、それが分かるんなら、今ここにオレはいないんだが)


 レクスからの求婚を受ける相手。 

 それはまだ十四の年齢に達したばかりの、華奢で幼い少女である。


 名前をリリア・モーント・シュトラーレ。


 モーント地方と呼ばれる片田舎で商いをするシュトラーレ家。

 ここ王都にも影響力を持つ、由緒と格式のある名家だ。

 

 その三女であるリリアは、年齢からは想像もつかないほどの博識さを評価され。

 本人の強い希望も相まって、遠路はるばる王都へとやってきたばかり。

 届いた荷物の整理も、これから生活する部屋の場所も、文字通り何も知らない。


(最悪の気分だ…………予め予行練習をしたってのに、それでもこれは余りにも耐え難すぎる)


 天井を見上げ、部屋の左右に視線を遊ばせ、そして自分の体を一瞥する。


(これが転生魔法を使っていない、最初のオレ本人だなんて。この体に十分な魔力さえあれば、あまりにも醜悪すぎるオレを今すぐ殺してやれるというのに)


 九十九回の転生を経た元レクスことオレ、リリアは確信する。


 このどうしようもない俺は、やはり紛れもなくオレ本人であり。


 どんな手段を使ったとしても、この男にモテさせる必要があると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』、『評価』、『感想』をいただけると嬉しいです

☆☆☆完結済の過去作はこちら☆☆☆
異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?    ☆☆☆☆☆
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。