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レコードショップ黎音堂の音楽怪異譚  作者: 甘月
最終話 レコードショップ黎音堂
39/39

エピローグ:とあるレコードショップの噂

20XX年X月X日


「バンド練お疲れー」


「おう、お疲れ。ありがとなー。普段あんまこっちの方来んけど、結構いいスタジオだったな」


「このへんレコードショップとかも多いんよ。どうせなら寄ってかん?」


「いいね! どっかおすすめのとことかある?」


「そうだなー。ここらへん、大手のチェーンはあんまなくてさ。個人経営の店が多いんだ。あ、こことかは? 黎音堂ってとこなんだけど。行ったことある?」


「いや。知らんなあ……いや、なんか聞いたことあるような気も」


「知る人ぞ知る名店だしな。サークルの誰かが話してたんじゃね? 渋いハード・ロックとかニッチなバンドのレコードとか、品揃え豊富でさ。荻窪来たときは、絶対寄ることにしてんだ」


「ふうん……いや、違うな。前に、ニッシーから聞いたんだよ。高円寺でライブするってなったときに、あっちにはバンドマンには有名な心霊スポットがあるから気をつけろって。その名前が、たしかそんなだった気がするわ」


「ああ、あの噂ね。それとは別の店だよ。いや、店名同じだから何か関係あるのかもしれんけど……高円寺にあった黎音堂はとっくの昔に潰れて、荻窪にある黎音堂はその後にできた店らしい」


「へえ」


「珍しいのは、あの店、店主が女なんだよな」


「そりゃ、確かに珍しいな」


「まあ、結構な年だし、いまは他の従業員にわりと任せてるっぽいけど。何歳か知らんけど、髪の毛ツートンに染めてて、見かけはめっちゃロックな婆ちゃんでびっくりするぞ。話すと普通だけどな。でもいろんなバンドのことに詳しいし、楽しい婆ちゃんなのは間違いない」


「名物店主みたいな感じか」


「そうそう。ピンク・フロイドが好きらしいわ。店に『おせっかい』のTシャツ飾ってる」


「え! めっちゃいいじゃん。俺もピンク・フロイド好きだから趣味合いそうだわ。他に何好きなんだろ」


「俺もフロイド以外はそこまで話したことないけど、あの人が店にいるときはよくユーライア・ヒープがかかってるイメージあるな。この前も『対自核』流れてたし」


「ますますいいじゃん! そこらへんの70年代のバンドってめっちゃかっこいいよな。でもあんまり扱ってる店なくてさあ。俺、その婆ちゃんとも話してみたいわ。その店行こうぜ」


「オッケー。ここからすぐそこだから……」



ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!

なんとか完結できたことにホッとしています。

レコードショップを舞台に、ホラーの要素を交えつつ音楽のもつ「力」を表現したいと思ったら、いつの間にかこんな話になりました。

少しでも、読んでいただいた方の心に残る部分があれば、これ以上ない喜びです。


気に入っていただけたら、ぜひ評価・感想などいただけると嬉しいです!

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