戦略見直し3
1943年8月7日、フランス共和国首都パリのヴェルサイユ宮殿にてフランス共和国大統領とオランダ王国首相の会談が開催されていた。現状でフランス共和国とオランダ王国は追い込まれていた。イタリア王国侵攻を阻止されアルプス山脈まで押し返され、それを打破する為に行ったトルコ侵攻も大日本帝国の支援により停滞し、北アフリカはアメリカ合衆国陸軍が降伏してしまった。
そしてアメリカ合衆国に対しては西海岸と東海岸で輸送船が撃沈され、通商破壊戦が開始され今後の軍事援助継続が不安定となった。その為にフランス共和国とオランダ王国は戦略見直しが必要として、ヴェルサイユ宮殿で会談が行われる事になったのである。
会談は始まったが正直に言えば打つ手無しといえる状態だった。イタリア王国国境線のアルプス山脈には山岳師団と陸軍航空隊を配備し、イタリア王国の侵攻に備えるのに精一杯。トルコ侵攻は停滞しお互いに防衛線を構築し小競り合いを続けていた。そして最大の問題は北アフリカのアメリカ合衆国陸軍が降伏した事だった。
それは即ち連合軍は北アフリカに展開する兵力が自由に動ける事になる、そういう事であった。これにより最大の問題は地中海に展開する、大日本帝国海軍連合艦隊がどう動くかだった。フランス共和国海軍は地中海側のツーロンに配備していた艦隊は、既に全て大西洋側のブレストに回航し沿岸防衛は陸軍航空隊に任せていた。
だがそれはますます連合軍に対して地中海の柔らかい下腹部を晒す事になるのであった。そこでオランダ王国首相は、大西洋と地中海沿岸部の防衛線を更に強固にする必要があると力説した。イタリア戦線とトルコ戦線に動きがない事を逆手に取り、今のうちに陸軍と航空隊の増強、各種兵器の量産、沿岸防衛線の強化、この全てを行うべきだと語った。
そうすれば例えアメリカ合衆国の軍事援助を受けられなくなったとしても、ヨーロッパ全域を制圧している現状を考慮すれば防衛体制を強化する事で、長期戦による疲弊で連合国から講和若しくは休戦を引き出せる、ともオランダ王国首相は説明した。
その意見はフランス共和国大統領も賛同出来ると語った。現状フランス共和国とオランダ王国が制圧しているヨーロッパ全域は、当初の侵攻の被害からある程度は工業地帯を中心に復興させ戦争経済に動員させていた。技術や設備の接収も行い、軍需企業の大量生産体制は大幅に向上していたのである。
更に現状ではヨーロッパ全域に対しての直接攻撃が、連合国が行っていない為に大量生産体制にも支障は無かった。その為にフランス共和国大統領はオランダ王国首相の意見に賛同し、徹底的な防衛による持久戦を行い長期戦の疲弊による、連合国からの講和若しくは休戦を引き出す事を決定したのである。




