緊急閣議11
同時刻、大日本帝国帝都東京首相官邸では、山本総理兼海相により緊急閣議が招集されていた。内容はハワイ諸島占領による、大規模な戦略見直しであった。まず山本総理兼海相はハワイ諸島の全面的な要塞化を推進すると断言した。その為に汎ゆる工兵部隊を投入して、まずは基地設備の再建を実行する事になった。何せミッドウェー島ジョンストン島からの陸海軍航空隊による日常的な空襲により、ハワイ諸島の基地設備は壊滅状態だった。
真珠湾の港湾設備や補修設備は大日本帝国は破壊しなかったが、燃料タンク等は破壊した為にその再建も必要不可欠だった。山本総理兼海相としてはハワイ諸島を全面的に再建し、徹底的な要塞化を行いアメリカ合衆国に対するプレッシャーを与える必要があるとしていた。その為には大規模な予算が必要であり、その捻出も行わなければならなかった。そして再建の為の資材輸送の為の補給兵站線構築が必要不可欠であり、海上保安庁の護衛隊群を新たに編成しハワイ諸島への補給兵站線専従とする必要もあった。
更に陸海軍航空隊の進出や陸軍の守備隊、連合艦隊機動艦隊の常駐も必要だった。予算は幾らあっても足りない程であった。山本総理兼海相や東條陸相は大規模な予算が必要であると語っており、その為に賀屋大蔵大臣はもはや何も言うまいと目を瞑り黙っていた。戦時財政を預かる為に日々奮闘しているのは誰もが承知しており、それは全員が感謝していた。
だが何としても必要なのは予算である為に、捻出してもらうしかなかった。山本総理兼海相と東條陸相は敢えて賀屋大蔵大臣に話を振らず、更に話を続けハワイ諸島に配備する事を目指している新型戦略爆撃機について話題を変えた。現状の海軍航空隊の重陸上攻撃機深山と陸軍航空隊の重爆撃機連山は、航続距離8800キロを誇る為に搭載爆弾の軽装状態ならハワイ諸島と西海岸間を往復可能であった。だがアメリカ合衆国に決定的な打撃を与えるには更なる航続距離を有する新型戦略爆撃機が必要不可欠だった。
そこで陸海軍共同で新型戦略爆撃機を開発していた。開発主体は中島飛行機であり、エンジンは石川島播磨重工業が担当した。その新型戦略爆撃機は全長50メートル、全幅75メートル、爆弾搭載量25トン、航続距離は25000キロ、6発エンジンという超巨大戦略爆撃機であった。ハワイ諸島からならアメリカ合衆国全土を航続距離に収め、更には大日本帝国本土からもアメリカ合衆国西海岸に到達可能だった。
だがあまりにも高性能過ぎる為に開発の総費用は既に約100億円を突破していた。その総費用は核兵器開発であるG計画の50億円の倍であり、大日本帝国の意地ともよべる金額が投入されていた。総費用が約100億円と聞いた賀屋大蔵大臣は、驚愕の表情を浮かべた。確かにG計画とは違い一括の支出では無く、追加追加での予算だったがそこまで積もり積もっていた事に驚いたのである。
だが山本総理兼海相は、その巨額の費用を投入した甲斐もあり来年の春には実用化出来ると語った。
1939年から開発が開始された為に、ようやくの実用化でもあった。賀屋大蔵大臣は話が変わったとして、本腰入れて予算編成に取り組むと語った。山本総理兼海相と東條陸相は、予想以上の反応に驚いたが予算編成を任せたのである。




