戦略見直し2
会談でフランス共和国政府首脳陣を代表する大統領は、戦略見直しとしてトルコ侵攻を提案した。それはオランダ王国首相とアメリカ合衆国駐仏大使を驚かせた。
現状フランス共和国とオランダ王国はイタリア王国を除くヨーロッパ全域を占領していた。北はノルウェー、西は大英帝国、東はウクライナ、南はギリシャまでがフランス共和国とオランダ王国の支配下にあった。そして満を持して最後の障害である、イタリア王国占領を開始したフランス共和国とオランダ王国だったが、大日本帝国率いる連合軍が救援軍として展開した事によりアルプス山脈まで叩き返されてしまったのである。
連合国に加盟したトルコとは占領したギリシャと国境を接しており、その国境沿いはお互いに防衛線を構築していた。大日本帝国ではトルコからのヨーロッパ侵攻が計画されたが、イタリア王国救援を優先する事が決定されその計画は保留とされていた。
その大日本帝国のある意味で隙をつく事になるのが、今回のフランス共和国大統領の提案だった。フランス共和国大統領はそのトルコ侵攻の意義について説明を始めた。イタリア王国への侵攻を連合軍は阻止する事に成功し、その軍事力はイタリア王国に集中しておりヨーロッパが唯一国境を接する連合国のトルコは、防衛線を構築しているだけでその隙を突くのに絶好の機会だと語ったのである。軍事力についてもギリシャの防衛線に展開している陸軍を利用し、後方に展開する陸軍を間髪入れずに増援として派遣すれば容易に侵攻出来ると付け加えた。
そこまで説明されるとオランダ王国首相とアメリカ合衆国駐仏大使には反対意見は無かった。特にアメリカ合衆国にとっては北アフリカ戦線で反攻作戦を受けており、トルコに新たな戦線が生まれるのは喜ばしい事だった。オランダ王国としてもイタリア王国侵攻失敗の挽回としてはもってこいの内容だった。イタリア王国はアルプス山脈を再び防衛線にする筈なので、自分達も同じくアルプス山脈に防衛線を構築して侵攻を防げば良い、と断言した。
両国の賛同を得た事によりフランス共和国大統領は謝意を述べ、作戦実施について早速軍部での作戦会議を行う事を提案した。それも賛同を得た為にトルコ侵攻を次なる主力の作戦として行う事になったのである。




