合同会議6
大日本帝国海軍連合艦隊第3機動艦隊と大日本帝国陸軍1個師団の全滅は確かに手痛い打撃であったが、だからといってそれが大日本帝国の戦争遂行能力を奪うものでは無かった。ましてやそれが戦争のターニングポイントになるという訳でも無かった。何せ大日本帝国海軍は戦時艦船急速建造計画に於いて過去最大規模の大軍拡を行っており、そして超弩級空母大鳳級以外は今月中に全て竣工予定だったのである。陸軍も選抜徴兵制により大規模な増強を行っており、120個師団まで増強していた。
この陸海軍共に大軍拡を行っていたが、それは選抜徴兵制による『経済力維持優先』を山本総理兼海相と東條陸相が、共通認識として採用したうえでの規模だった。山本総理兼海相と東條陸相は大日本帝国の人口が約1億1千万人である事から、経済力維持優先の選抜徴兵制により動員可能人口を500万人としていた。これにより大日本帝国は大規模な生産体制を維持出来ていたのである。しかも陸軍は連合軍により人口が多い中華民国と、影響圏にある満州帝国に師団編成を任せる為に人口に比しての過度な負担はせずに済んでいた。
その代わりに強力な海軍連合艦隊と、軍需企業の大量生産体制による大規模な軍事支援を行っていたのである。その為に陸海軍合同戦闘評価会議での重苦しい空気は、お先真っ暗な悲観からでは無く純粋なる敗北の衝撃からであった。それによりその後の会議ではある種の二正面作戦になっている現状を考慮し、太平洋方面は完全なる防衛優先を行う事が決定された。
現時点でハワイ諸島以外は大日本帝国もしくは連合国の支配下にある為に、北部・中部・南部太平洋どの方面から侵攻して来るアメリカ合衆国軍を徹底的に防衛するとされた。具体的には海軍連合艦隊を遊軍として使用し、各基地の陸海軍航空隊を全面的に活用する事になった。
そして優先するべきはイタリア王国での地上戦だと決定したのである。この為に軍事支援は大規模に行われる事になり、更には陸軍と連合艦隊もイタリア王国に更に増援する事になった。その中には更なる新兵器も含まれており、フランス共和国とオランダ王国を驚愕させたのである。




