ポー平原戦車戦
三式重戦車は少し先進的過ぎますが、IS-3重戦車をモデルにしています。
1943年5月8日。イタリア王国北部のポー平原にて、大日本帝国陸軍・イタリア王国陸軍とフランス共和国陸軍・オランダ王国陸軍の戦車戦が勃発した。
『フランス共和国陸軍とオランダ王国陸軍は、主力のVI号戦車ティーガーI型を前面に推し出して侵攻を開始した。ドイツ人技術者をスカウトしてフランス共和国が開発したVI号戦車ティーガーI型を、この時点ではフランス共和国とオランダ王国は絶対的な自信をもっていた。その能力は大日本帝国の軍事援助を受けて配備している、イタリア王国陸軍の三四式戦車を圧倒していた。
その為にフランス共和国陸軍とオランダ王国陸軍は、VI号戦車ティーガーI型を前面に推し出す事にしていたが、その能力に頼りすぎているのも事実だった。イタリア王国に展開する大日本帝国陸海軍航空隊とイタリア王国空軍の攻撃には、如何なVI号戦車ティーガーI型といえども撃破されたが戦車戦では、無敵を誇っていた。
その為に今回の侵攻でもフランス共和国陸軍とオランダ王国陸軍は自信満々であったが、何時もの三四式戦車では無く初めて見る巨大な戦車に度肝を抜かれた。傾斜装甲と避弾経始を重視したその先進的な砲塔は、フランス共和国陸軍・オランダ王国陸軍の戦車兵達の視線を集めた。慌てながらも自分達の性能を過信する為に、VI号戦車ティーガーI型は主砲の88ミリ砲を発射した。
その発射された主砲弾はその殆どが巨大な戦車に命中したが、全ての主砲弾が弾き返されたのである。驚異的な光景だった。唖然とするフランス共和国陸軍とオランダ王国陸軍の戦車兵達であったが、巨大な戦車は停車すると主砲を発射した。その長砲身の大口径主砲から発射された主砲弾は、VI号戦車ティーガーI型の装甲を容易く貫通したのである。
その性能差は隔絶しており、VI号戦車ティーガーI型は次々と撃破されていった。大日本帝国陸軍の開発した新型の三式重戦車が、その性能を証明した瞬間だった。海軍の10センチ両用砲を改良した主砲を装備した物として開発が進み、その65口径100ミリ砲は試験通りにVI号戦車ティーガーI型の最大装甲厚120ミリを貫通し撃破したのである。
海軍の艦載型10センチ両用砲と同じく射撃指揮装置を装備しており、射撃精度も従来の戦車砲よりも格段に向上しており発射した主砲弾は全て命中していた。三式重戦車は最大装甲厚170ミリを誇り、VI号戦車ティーガーI型の88ミリ砲に対して完璧な防御力を発揮していた。
重量も55トンを誇るが750馬力を誇る新型エンジンにより50キロが発揮可能であり、進撃は続き相対距離は着実に詰められていった。その間に三四式戦車はフランス共和国陸軍とオランダ王国陸軍の側面に回り込み、85ミリ砲の砲撃を加えた。前面の三式重戦車に対処するのが精一杯であった為に、フランス共和国陸軍とオランダ王国陸軍の戦車部隊は撃破されていった。
あまりの被害にフランス共和国陸軍は、陸軍航空隊に航空支援を要請したがその通信は大日本帝国陸軍に傍受されており、大日本帝国陸海軍航空隊が先手を打ちポー平原に進出してきたのである。』
小森菜子著
『欧州の聖戦』より一部抜粋




