イタリア王国救援軍2
石原大将は第1第2方面軍の兵力について説明を始めた。配備兵器は大部分はイタリア王国に軍事援助しているものと同じだが、目玉は新型重戦車である、『三式重戦車』であった。三式重戦車は海軍の10センチ両用砲を改良した主砲を装備した物として開発が進み、その65口径100ミリ砲はあらゆる戦車を撃破可能な威力になると、石原大将語った。海軍の艦載型10センチ両用砲と同じく射撃指揮装置を装備しており、射撃精度も従来の戦車砲よりも格段に向上したと説明した。
試験では120ミリの厚さを誇る標的の装甲を、距離800メートルで貫いたと語った。そして三式重戦車そのものの装甲も、距離800メートルからの砲撃に耐え抜き、重装甲が証明されているとも語った。三式重戦車は最大装甲厚170ミリを誇り、車体後部でも80ミリの装甲厚を誇ると石原大将は説明した。
重量も55トンを誇るが750馬力を誇る新型エンジンにより50キロが発揮可能と断言した。その代償として搭載砲弾がやや少ないという欠点があると語った。避弾経始を三四式戦車と同じく重視するのと、車体を小ぶりにしようとした結果搭載砲弾がやや減少する事になってしまった。継戦能力が低下するのは困るが、それを上回る程に攻撃力と防御力が向上しているので問題無いと石原大将は断言した。
そしてその一連の説明を纏めた記録映画を石原大将は、副官に命じて統合軍参謀本部の作戦会議室で上映が行われた。その性能にアンブロージオ参謀総長以下イタリア王国軍将官達は驚愕の表情を浮かべた。既存の戦車を上回る強力過ぎる戦車だったからである。イタリア王国陸軍参謀総長は、是非とも軍事援助して頂きたいと懇願した。だが石原大将は、それは現時点では難しいと答えたのである。
最新鋭戦車であり従来の戦車に比べて遥かに巨大になっており、量産体制の拡大が予想以上に難航し大日本帝国陸軍全体にも未だに配備出来ていない、と語ったのである。そう言われたイタリア王国陸軍参謀総長は、残念そうに引き下がるしか無かった。大日本帝国陸軍全体に未だ配備出来ていないのに、軍事援助を求めるのは自分勝手にも程があると思ったからである。
だが阿南大将は、大日本帝国本土では必死に量産体制拡大を行っている為に、軍事援助が可能になるのもそう遠くはないとすかさずフォローをいれた。
それを聞いたアンブロージオ参謀総長は笑顔を浮かべると、近い内に軍事援助してもらえるのを期待して、まずは喫緊の課題を話し合いましょうと語った。




