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帝國連合艦隊〜史上最大の空母艦隊出撃!!〜  作者: 007


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侵食2

『大日本帝国はシベリア解放作戦に於いてシベリア鉄道改修工事・複々線工事・防御の為に、陸軍鉄道師団をフル活用する事になった。鉄道師団とはかつての鉄道連隊であり、鉄道連隊とはもともと戦地で鉄道を建設したり既存の鉄道を管理運用する部隊であった。だが鉄道の管理運用は国鉄に任せる事になり、鉄道連隊の役目は戦地での鉄道建設となった。

それが今回のシベリア解放作戦では大規模に行う必要から、鉄道連隊は3個連隊を1つにし鉄道師団として再編成したのである。そしてその鉄道師団は6個師団が、今回のシベリア解放作戦に投入された。そしてシベリア鉄道の改修工事と複々線工事を行う事になったが、重要なのはシベリア鉄道そのものの防御だった。

それは陸軍参謀本部でも議題に上がりいくら組織的勢力が存在しないとはいえ、補給兵站線をシベリア鉄道に依存しないといけない以上はその防御は最優先事項だった。そこで考案されたのが、『装甲列車』の新造であった。

第一次世界大戦のような古臭さを語る者もいたが、気象的に航空機が飛べない真冬の吹雪を考慮すれば、装甲列車は最適な選択だった。そこでかつて運用していた装甲列車を全面的に改めて、『1式装甲列車』として再設計された。

装甲列車の車両編成は、通常の貨物列車等のように蒸気機関車を先頭にして、最後尾に車掌車が連結される配置では無い。まず装甲列車の先頭には警戒車が配置される。警戒車には車体前部に装甲シャッター付きの30センチ探照燈を備え、左右に8ミリ機銃を、各一挺備えた限定旋回銃塔が配置してある。また車内には有線と無線通信機器を設置していた。さらに上の二枚式扉を開けると、対空火器とし、旋回銃架に載った連装の機銃が姿を現す仕組みであった。また警戒車の後部には、交換用レールや枕木を積み込む区画が設けられている。

しかし参謀本部は再設計に辺り、この警戒車は対人専用で「対戦車戦闘には不向き」だと指摘した。そこで従来の警戒車より一回り大きな車体が製造され、これに三四式中戦車の旋回砲塔を取り付けた。砲架には三四式中戦車が装備する長砲身の85ミリ戦車砲と機銃を同軸機銃として装備している。

二枚扉の位置に主砲塔を取り付けた関係上、対空機統は砲塔上部に据えられた。これは砲塔上の車長用ハッチに、銃架を取り付けた8ミリ機銃を、そのまま流用している。なお前部の30センチ探照燈はそのまま残されたが、左右に取り付けた機銃の銃塔は撤去されている。こうした装備改編は、一見すると対歩兵戦を軽視しているようにも見える。だが参謀本部は対歩兵戦用に大量の散弾を充填した、榴散砲弾を通常装備に付け加えた。この対歩兵砲弾はかつては九五式戦車用の散弾が生産されたが、85ミリ砲用にも白憐弾や散弾は発煙弾と並んで開発されている。したがって機関銃塔の数を減らしても、対步兵戰闘を軽視したわけでは無かった。

そして一編成の前後に接続される警戒車では、車体上部に取り付けた主砲塔に兵装を集中したことで、 車内空間に余裕が生まれ、弾薬の搭載量を増やすことが可能となり、更に交換用レールは車体後部にまとめて積まず、警戒車の側面に金具を使って、直接取り付ける方式に改めた。これで警戒車に積み込んだ予備のレールを、参謀本部は『増加装甲の代用』と考えていることが窺えた。警戒車の次に接続されるのが、火砲車と呼ばれる車体で、車体上に大型旋回砲塔を搭載している。火砲の形式により甲型と乙型、それに丙型の3種類が存在する。甲型とは12センチ高射砲一門を、軽装甲を施した旋回砲塔に装備したタイプで、対空戦闘及び対戦車戦闘に威力を発揮する。次の乙型は、155ミリ榴弾砲一門を、やはり旋回砲塔に装備したタイプで、対歩兵戦や陣地戦の火力支援などにその威力を発揮する。甲型、乙型は上部にハッチを設けた密閉砲塔に収容されている。そして最後の丙型火砲車は、再設計により追加された車両で、海軍の40ミリ4連装機関砲と20ミリ4連装機関砲を装着した砲塔がそれぞれ1基ずつ搭載されている。これは低空から突如飛来する対地攻撃機に備えて、 対空弾幕を張るのが目的だ。

ただし丙型火砲車の砲塔に関しては、他の火砲車と少し構造が違う。具体的には、対空機関砲の砲塔上部はより高い仰角を取る必要もあってか、天井部が開放されているのだ。雨天や吹雪の時には一応は防水布のカバーを被せるが、普段は吹き晒しだ。その為に極寒の最中に、鉄路を走る列車の風が吹き込むので、砲員らの間では「冷蔵砲座」と呼ばれている。 だが対空戦闘では、目視での見張りが重要なので砲員らは足元の電気ヒーターと、水筒に入れた焼酎で暖を取りながら、当直が終わるまでは我慢するしかなかった。

火砲などを搭載しているのは、以上の車両だけだが、この装甲列車の編成には指揮車、電源車、電探車、材料車などが含まれている。

まず指揮車だが、装甲列車の頭脳となる指揮官が搭乗する他、後方や航空機と連絡を取る関係から、 各種通信機器が装備されている。また各火砲車の砲塔を、一括して射撃指揮をおこなうために、光学照準器内蔵の観測展望塔が、天井部に設けられている。この他新たに電源車と電探車のペアが再設計に辺り編成内に追加された。電探車は車体上部に、対空用の起倒式アンテナを搭載した車両だ。電探の作動には大電力が必要なので、発電機を搭載した電源車が接続している。

材料車は、装甲化された貨物車に予備の発電後と通信機器、それに鉄道補修器材や材料を満載している。さらに必要であれば、無蓋の長貨車にレールなどを満載した予備材料車を接続する場合もある。装甲化された蒸気機関車と補助炭水車は、編成の中ほどに組み込まれている。これは攻撃を受けた際に、なるべく最初に直撃を受け難い位置に機関車を配置したためだ。こうして再設計された新しい1式装甲列車は、従来の装甲列車よりも、さらに車両が追加されて14両編成が基本形になっている。


だがそもそも大日本帝国国鉄は弾丸列車の建設や電化工事、それ以外でも軽油や重油のディーゼル機関車を運用している。それなのになぜ大日本帝国国鉄のディーゼル機関車を、南満州鉄道が採用していないのかといえば、軽油や重油だと極寒の時期は凍結防止か粘土対策が不可欠になるのである。だが軽油や重油なら防寒対策を施さないといけない極寒の時期も、石炭なら露天に野晒しで放置しても凍結する心配はないのだ。さらに撫順炭鉱や煙台炭鉱一帯の炭田は無煙炭を大量に産出する炭田であり、特に撫順炭鉱は露天掘りで有名である。

その為に南満州鉄道は沿線にこうした大規模な炭田がいくつも存在する事から、石炭は大量にしかも安価で購入できるのである。その為に南満州鉄道はコスト面と自然環境の両面から、ディーゼル機関車や電化に切り替える予定が無かったのである。それにより大日本帝国陸軍参謀本部も、装甲列車の再設計に辺り機関車は南満州鉄道の蒸気機関車を、運用する前提で再設計したのであった。

こうして大日本帝国は、シベリア解放作戦を成し遂げたのである。』

小森菜子著

『帝国の聖戦』より一部抜粋



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