トーチ作戦2
アメリカ合衆国海兵隊は上陸を行うと、即座に橋頭堡を確保した。太平洋では完全に役割りを失った海兵隊であったが、大西洋で久し振りに活躍する機会を得た。その為に意気込んで上陸を行ったが、その数は少なかった。
『第二次世界大戦が勃発した時、アメリカ合衆国海兵隊の規模は3個海兵師団でしかなかった。その為に開戦直後に大幅な増強が決定したが、その方針は太平洋艦隊が大日本帝国海軍連合艦隊に敗北した事により、全面撤回された。それはアメリカ合衆国政府により海軍と陸軍の大軍拡が優先された為だった。
これにより海兵隊は既存の3個海兵師団の装備更新を行うだけとなってしまった。だがそれはある種仕方無い事でもあった。何せ太平洋方面は大日本帝国に押され続けており、海兵隊が活躍する場面は存在しなかった。もちろん大軍拡を行って以後の反攻作戦に於いて、太平洋の各島嶼を攻める必要があったがそれも現有規模で対処可能と判断されたのである。
その為にトーチ作戦へ投入された海兵師団は2個だけであった。1個は太平洋方面に残置されたが、2個海兵師団だけでは完全に橋頭堡確保だけの役割りでしかなかった。そして海兵隊が確保した橋頭堡には、真打ち登場とばかりにアメリカ合衆国陸軍が上陸を開始した。』
小森菜子著
『欧州の聖戦』より一部抜粋
フランス領アルジェリアに上陸したアメリカ合衆国陸軍は、ジョージパットン中将率いる第1機甲軍団であった。ルーズベルト大統領が直々に派遣直前に、少将から昇進させての派遣だった。それだけルーズベルト大統領の期待が大きい証拠だった。それは第1機甲軍団の編成にも表れており、第3歩兵師団・第9歩兵師団・第2機甲師団から構成されていた。歩兵師団の装備は開戦時から変わっていなかったが、機甲師団には最新装備が配備されていた。国産のM4戦車を筆頭に、フランスがスカウトしたドイツ人技術者が開発したV号戦車パンターとVI号戦車ティーガーI型であった。
そして更にアメリカ合衆国が開発した新型重戦車である、M26パーシングの先行量産型も配備されていた。あまりの規模に大英帝国とイタリア王国は、陸軍を退避させ迎撃準備を整える事にしたのである。