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アルプス山脈攻防戦2

『イタリア王国に展開する大日本帝国海軍航空隊と大日本帝国陸軍航空隊は、山本総理兼海相と東條陸相の合意により指揮系統を一本化しており、第11航空艦隊司令官である塚原二四三大将と参謀長である大西瀧治郎中将が、大日本帝国海軍陸軍航空隊を統合運用する事になった。そしてイタリア王国からの支援要請を受けた第11航空艦隊司令官の塚原大将は、麾下の大日本帝国海軍陸軍航空隊に対して即座に出撃を命令したのである。

そしてその命令により各種支援機と重陸上攻撃機深山・重爆撃機連山以外の戦闘機が出撃した。塚原大将としては優先すべきはイタリア王国への空襲阻止だとして、戦闘機のみの出撃を命令したのである。こうして海軍航空隊は局地戦闘機紫電とジェット戦闘機烈風、陸軍航空隊は二式戦闘機鍾馗とジェット戦闘機火龍が出撃しアルプス山脈へ向けて飛行したのである。

古くはポエニ戦争時にカルタゴの司令官ハンニバルがローマを攻める為にアルプス山脈越えを行い、イタリア遠征時にフランスの皇帝ナポレオンがアルプス山脈越えを行ったが、第二次世界大戦に於いてフランス・オランダは航空機によってアルプス山脈越えを行ったのである。フランス・オランダ陸軍航空隊共にMe262ジェット戦闘機とFw190戦闘機、Do317重爆撃機とJu488重爆撃機という編成で飛来していた。アメリカ合衆国からのレンドリースで受け取った航空機は訓練が間に合わない為に、イタリア王国への空襲はフランスが開発した機体のみを使用して行われた。

そしてイタリア王国空軍も国産機のMC.202フォルゴーレ戦闘機と、大日本帝国からの軍事援助である局地戦闘機紫電と二式戦闘機鍾馗を出撃させて迎撃を開始した。バトルオブブリテン以来となる大規模な航空撃滅戦となったが、今回のイタリア王国空襲は史上初のジェット戦闘機同士の空戦が行われたとして、空戦史にその1ページを残す事になったのである。』

小森菜子著

『欧州の聖戦』より一部抜粋




アルプス山脈を越えた時からレーダーサイトに捕捉されていたフランス・オランダ陸軍航空隊は、大日本帝国海軍陸軍航空隊とイタリア王国空軍に迎撃を受けた。バトルオブブリテンの時からであったが、フランス・オランダ陸軍航空隊は未だに航空管制による効果的な空戦を行えていなかった。大日本帝国の保有する零式艦上早期警戒機のような機体をフランス・オランダ共に開発していなかったのが最大の理由だが、問題はこの時点でもフランス・オランダ共にその機体の有効性を理解していなかった。アメリカ合衆国もトラック島沖海戦で散々に敗北したが、正面装備ばかりに気を取られ支援機開発には取り組んでいなかった。その点が長年航空兵力拡充に取り組んで来た大日本帝国と、アメリカ合衆国・フランス・オランダの大きな違いといえた。大英帝国とイタリア王国は大日本帝国の指導によりレーダーサイトによる防空と、零式艦上早期警戒機による航空管制を行い効果的な迎撃が行えた。大日本帝国は新型の早期警戒機開発に取り組んでおり、それは地上の航空隊用と艦載機用の2種類であった。

そしてフランス陸軍航空隊のMe262ジェット戦闘機と、大日本帝国海軍航空隊のジェット戦闘機烈風が史上初めて直接空戦を行う事になった。勇躍空戦を仕掛けたMe262ジェット戦闘機隊であったが、その銃撃をジェット戦闘機烈風隊は簡単に回避した。そして攻守逆転したジェット戦闘機烈風隊はMe262ジェット戦闘機を捕捉すると、両翼に装備する50キロ噴進弾を発射したのである。速度はあるが直線軌道で飛翔する噴進弾を、Me262ジェット戦闘機は回避出来たと思っていた。しかしすれ違うと思っていた噴進弾はMe262ジェット戦闘機が接近すると、突如として次々と爆発したのである。

驚くべき事態だった。その為に軽く回避出来ると思っていたMe262ジェット戦闘機は、その大多数が撃墜されたのである。この噴進弾こそ大日本帝国の新開発した近接信管を装備したものだった。近接信管は先行量産型であり未だに大量生産体制が整っておらず、数は少なかったが大日本帝国はイタリア王国での脅威度が高いとして先行量産型全てを、イタリア王国駐留部隊用に輸送したのである。

その成果は目に見えて表れていた。フランス・オランダ陸軍航空隊はMe262ジェット戦闘機一気に叩き落されたのを見て、明らかに狼狽していたからだ。そしてその隙を見逃さずに局地戦闘機紫電が襲い掛かった。イタリア王国空軍も国産機のMC.202フォルゴーレ戦闘機と、大日本帝国からの軍事援助である局地戦闘機紫電と二式戦闘機鍾馗で襲い掛かり、次々とフランス・オランダ陸軍航空隊を叩き落とした。機体性能差そして練度差は明らかであり、空戦は一方的なものになった。撤退を開始したフランス・オランダ陸軍航空隊であったが、その退路は大日本帝国陸軍航空隊が阻止していた。ジェット戦闘機火龍と二式戦闘機鍾馗が襲い掛かり、撤退は完全に阻止された。空戦終了後フランス・オランダ陸軍航空隊は、文字通り全滅していたのである。

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