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解説 帝国改革法案5

『そして最後が社会保障制度についてである。これにより国民健康保険制度が全面的に改正され[国民皆保険]、年金制度も全面的に改正され[国民皆年金]が制定された。国民皆保険制度により大日本帝国国民が全て等しく医療を受け医療費も8割の補助を受ける事が可能になった。国民皆年金により大日本帝国国民が全て等しく定年後に、年金を受け取る事が可能になったのである。この手厚い社会保障には大日本帝国の財政負担がかなりのものになったが、国民生活向上の為に山本内閣は断行した。大蔵省は当初は戦時中の臨時軍事費支出で大慌てであり、そこに更なる支出となる社会保障制度に反対だった。しかし山本総理兼海相の考えに賛同した賀屋大蔵大臣が責任をもって説得し、最終的には大蔵省も賛成した。だが大蔵省の危惧は杞憂であり、この社会保障制度を含めた大日本帝国の構造的改革により大日本帝国経済は活性化し更に発展する事になり、税収拡大により財政負担は軽減された。しかも中東の油田開発を大英帝国から譲渡された事による開発が成功し、膨大なオイルマネーが舞い込み財政負担は無くなる事になったのである。

帝国改革法案によるこの社会保障制度制定で特に大きな改革は、第二次世界大戦後になるが大日本帝国憲法が改正され生存権や社会福祉に関する規定が追加された事である。[国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む事を大日本帝国政府は保障する]という条項が追加された。

[国民皆保険]は大日本帝国国民全てが[公的医療保険]に加入する国民皆保険体制となる。国民健康保険法が制定され、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とするのが、国民皆保険の最優先事項だった。国民皆保険は内務省社会局保険部国民健康保険課が管轄し、大日本帝国国民全員が強制加入する保険となる。財源は全額国庫負担により、大日本帝国国民は病院の診療・入院・手術等の各種医療行為を受け、その会計時に医療費の補助を一律8割受ける事が可能になり、大日本帝国国民は2割負担だけで汎ゆる医療行為を受ける事が出来たのである。

[国民皆年金]は大日本帝国国民全てが65歳になれば受給可能となる、内務省社会局保険部国民年金課が管轄する[公的年金]制度である。当初案としては完全積立方式が構想されたが、最終的には全額国庫負担による[完全給付方式]が採用されたのである。65歳までの間に労働していた国民は全国平均月収を年金として[毎月]支給し、専業主婦等の労働をしていなかった国民は全国平均月収の8割を毎月支給するというものだった。全国平均月収は内務省社会局保険部国民年金課が毎年、内務省社会局労働部労働基準課と共同で制定する事になったのである。

この国民皆保険と国民皆年金こそが、大日本帝国に於ける社会主義的政策だと批判される最たる物だった。何せ国民皆保険は医療費を2割だけの支払いで済み、国民皆年金は大日本帝国国民は直接的負担をせずにその給付を受ける事が出来るのである。一部歴史学者はかつてのローマ帝国のように[パンとサーカス]になっていると批判していた。だがこの社会主義的政策により国民は将来的不安を感じる事無く、現在の生活を万全の態勢で行えそれが為に大日本帝国経済は大いに発展する事になったのである。その為にこの方針は[大日本帝国型平等社会]と世界各国は呼称し、このモデルは大日本帝国にしか実施出来ず大日本帝国でしか維持出来ないと、全ての社会学者は断言した。』

小森菜子著

『帝國の聖戦回顧録外伝〜帝国改革法案解体新書〜』より一部抜粋

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