日英伊中四カ国首脳会談2
『軍事同盟と太平洋憲章、連合国共同宣言が調印される事が決定されると次は純粋な軍事援助について話し合われる事になった。山本総理兼海相は今回大日本帝国が行う軍事援助について説明を開始した。それは賀屋大蔵大臣が卒倒しそうになりながらも大蔵省を纏め、山本総理兼海相の決断を支持する事にし海軍省と陸軍省の軍事援助拡大計画の予算を編成した。その軍事援助計画の説明を聞いたムッソリーニ統領と蒋介石国家主席は驚いた。チャーチル首相は先の日英首脳会談で聞かされていたが、驚くべき規模であったのだ。大英帝国とイタリア王国に対して海軍は駆逐艦のみならず、軽巡洋艦・重巡洋艦・軽空母・正規空母も建造数を拡大し貸与すると語ったのである。驚くべき計画だった。現状でも駆逐艦を100隻ずつ貸与するとの事であるのに、それに加えて軽巡洋艦・重巡洋艦・軽空母、更には正規空母まで貸与するとの事だった。あまりの規模にムッソリーニ統領は大日本帝国の経済的負担が大き過ぎるのでは無いかと危惧した。その危惧に山本総理兼海相は連合国共同宣言の一部を引用し、[戦いに各国が持てる全ての物的・人的資源を投入する事]とあるように、大日本帝国は汎ゆる手段を尽くして軍事援助を行うと断言した。そして海軍のみならず、陸軍兵器と各種航空機の貸与まで山本総理兼海相は説明したのである。
ムッソリーニ統領はその説明を聞くとただただ感謝の言葉を述べるしかなかった。それに対して山本総理兼海相は大英帝国とイタリア王国の対価が十分である為に、それにより現状打開の為に軍事援助を強化すると語った。そして中華民国に対しても軍事援助の拡大を行うとし、陸軍兵器と各種航空機の新型を貸与すると言ったのである。それを聞いた蒋介石国家主席は感謝の言葉を述べ、我が国も大英帝国とイタリア王国にならい対価として各種資源の等価交換を行うと語った。大英帝国とイタリア王国のように植民地の施設利用や油田開発権、工作機械の等価交換が出来ないからこそ中華民国は資源の等価交換を行うと、蒋介石国家主席は言ったのである。
山本総理兼海相は中華民国からの資源の等価交換が可能になった事に満足していた。この返答が山本総理兼海相が中華民国への軍事援助拡大に際して、大蔵省を説得した理由であった。大英帝国とイタリア王国に加えて、中華民国にまで軍事援助を拡大させる事に大蔵省は反対だったが山本総理兼海相は、中華民国は必ず対価を提示すると力説し大蔵省を説き伏せたのである。モナコのカジノを出入り禁止にされた稀代の勝負師である、山本総理兼海相の面目躍如といえる結果であった。驚くべき規模の軍事援助であったが、もはや大日本帝国を頼るしか無い大英帝国・イタリア王国・中華民国は、大日本帝国に付き従う事にしたのであった。』
小森菜子著
『帝國の聖戦回顧録』より抜粋