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脱出作戦

大日本帝国は8日の緊急閣議で大英帝国脱出作戦を閣議決定し、即座に関連法案が帝国議会に送付され可決成立した。これを受けて陸軍は第4飛行師団を本土からイタリア王国へ派遣し、海軍は第10航空艦隊をアラビア半島からイタリア王国へ移動させ、本土から二式大艇を大挙してイタリア王国へ向けて派遣したのである。大英帝国政府にも外交ルートを通して脱出作戦が伝えられ、大英帝国は総力を挙げた脱出準備を開始した。そして1942年9月15日に準備は整い、正式に大英帝国脱出作戦は開始されたのである。




『大英帝国本土グレートブリテン島からの脱出作戦は驚く程に大規模なものになった。何せ大日本帝国海軍航空隊の第10・第11航空艦隊と大日本帝国陸軍航空隊の第3・第4飛行師団が、大英帝国からイタリア王国間の空路を万全の態勢で護衛する事になっていたのである。それを大量の二式大艇と百式輸送機が往復し、大英帝国から王室・政府首脳陣を筆頭に科学者や技術者・経済界の有力者・軍人全てを国外脱出させるのだ。アメリカ合衆国との共同開発でようやく実用的な対空レーダーを配備していたフランスは、夥しい数の航空機に驚いた。だがレーダーで探知が可能でも早期警戒機や地上管制のノウハウが無い為に、さみだれ式の一貫性の無い迎撃となってしまった。しかしそれでもフランス陸軍航空隊の新型機であるFw190戦闘機とMe262ジェット戦闘機は勇躍、大日本帝国陸軍海軍航空隊に空戦を挑んだ。だが相手が悪かった。大日本帝国は陸軍海軍合計4個航空隊を投入し、装備する機体も従来通りの陣風艦上戦闘機に加え新型機である、局地戦闘機紫電と二式戦闘機鍾馗に更にジェット戦闘機の烈風と火龍を投入していた。その為に大英帝国からアルプス山脈を越えるまでは陣風艦上戦闘機・局地戦闘機紫電・二式戦闘機鍾馗がガッチリと護衛に付き、フランス陸軍航空隊のFw190戦闘機とMe262ジェット戦闘機を阻止した。そしてアルプス山脈を越えると航続距離の関係で長距離進出が行えないジェット戦闘機烈風と火龍が護衛を行い、最後まで努力し続けたFw190戦闘機を情け容赦無く叩き落としたのである。

余談ながらこの脱出作戦の段階ではジェット戦闘機烈風と火龍、Me262ジェット戦闘機の航続距離が短い為にまだ世界初のジェット戦闘機同士の空戦は行われなかった。話を戻す。

大日本帝国の決意を見せ付けられる事になったフランス陸軍航空隊は、何度も迎撃を行うが二式大艇と百式輸送機を遂に脱出作戦の間は撃墜する事が出来なかった。それに反して迎撃を行うフランス陸軍航空隊は次々と撃墜され、稼働率が凄まじい早さで低下していったのである。何せ相手は世界最大の航空兵力を誇る大日本帝国であった。機体性能と練度は世界最高にあり、即席で拡大させているフランス陸軍航空隊とは違っていた。しかも大日本帝国は陸軍海軍航空隊の操縦士をある程度の期間でローテーションを行い、前線と内地部隊の練度格差も広がらないようにしていた。更にそのローテーション先には陸軍なら陸軍航空学校や陸軍航空士官学校、海軍なら内地の航空隊にそれぞれ教官として配属する事もあり、戦時に於ける新兵養成に現場の生の経験を教示していたのである。このように練度にも気を遣っていた大日本帝国の航空隊を前に、遂にはフランスは被害を鑑みて迎撃の中断を決定したのである。あまりの損害に航空隊の再編と機体の量産、パイロットの訓練体制の見直しを優先したのだ。当然ながら敵が我が物顔で上空を横断しているのに手出ししない事への反対もあったが、フランス政府は爆撃機が随伴しておらず輸送機を護衛しながら往復している事と、大英帝国本土でフランス・オランダ陸軍が順調に北上している事から大英帝国から脱出していると推測したのである。

そしてその推測通りフランス陸軍航空隊が迎撃しなくなると、大日本帝国陸軍海軍航空隊は一切爆撃を行う事無く往復を続けた為に、フランス内部での反対の声は無くなった。そんな不思議な状態が発生したが、大英帝国からの脱出作戦は順調に継続されたのである。』

小森菜子著

『欧州の聖戦』より一部抜粋

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