逮捕
ふと、隣の部屋から物音が聞こえたような気がした。
いや……、勘違いじゃないらしい。
周りのメイドたちもピタッと動きを止めた。
「いる……」
とレン。
いつの間にか、その手には日本刀が握られていた。
「いるわね……」
とララ。
彼女は銃を持っている。
「ええ……」
とリリ。
彼女の手にはバイブが握られていた。
っておいっ!!
どさくさに紛れんなっ!
彼女たちは、しかし武器を持っていると言っても、みんな裸だし……、やっぱりここは……。
「私が、見てくるよ」
私は服を着ているからな。
すると、バイブを手にしたリリが囁く。
「わたくしも」
さすがに裸は躊躇うのかビキニ姿だったが。少しは頼りになりそうだ。
二人で扉に近寄る。
そして、静かに、耳をすませてみる。
と、
「……っうわもう」
何やら女の声が聞こえた。
「全然逃げ道やないやんっ」
誰だろう?逃げ道?
「はあ、もう捕まるんかなぁ」
こちらに近づいてくるようだった。
……怪しい。
リリが私を見ていた。
うん。なんだか捕まえた方がいいらしい。
目で合図を送る。
リリが口だけ動かす。
こ・れ・つ・か・っ・て・い・い?
バイブを指差す。
いいわけないだろっ!
そして、何者かが扉を開けて……
「大人しくしろ」
「大人しくしなさい」
勢いよく腕をとり
侵入者を床にねじ伏せる。
「あたっ!あたたぁ!」
悲痛の声を上げる女の服は、
……パジャマ?
「大正解みたいね」
と濡れた下着をつけたララ。
「そいつはザザン朝の者ですな」
こちらも下着姿のレン。
ということは、
「今縄を持って参りますわっ」
……どうやら本物の侵入者らしかった。