侵入者あらわる
ルカたちがそんなことをしている間、
王宮では
アクバルが物凄い剣幕で怒鳴っていた。
「決して取り逃がすなっ!」
彼の前には武装した数十のメイド。
彼女たちは
「はいっ!」
と言って一斉に駆け出した。
特殊部隊
「SM」のメンバー。
ちなみにこれは
「すごいメイド」の略である。
そして
彼女たちが動き始めたのには訳がある。
実は
宮殿に侵入者が現れたのだ。
しかも今度はルカのように無害ではない。
悪意をもつ敵だとはっきりわかっていた。
宮殿内の幾人ものメイドがその何者かによって、
「全裸」にされ、
なおかつ、
「パジャマ」を着せられていたからだ。
「あいつらだ……」
とアクバル。
そう。このやり方は
まちがいなく隣国のザザン朝だった。
「パジャマ」を着せられてしまった元メイドたちが、アクバルの前でうずくまっている。顔を押さえながらその一人が言った。
「私……汚れちゃいました……うっ……ひくっ」
アクバルが頭をなでて、
「君の恨みは僕が必ず晴らそう。
侵入者を捕まえたら、ソイツにメイド服を着させてやる」と慰める。
「本当ですかっ!?」
メイドが顔を輝かせる。
「ああ。約束するよ」
しっかりとメイドの目を見つめながらアクバルが言った。
また場所は変わってここはララの部屋。
誰かの影がある。
きょろきょろと空気孔から部屋の中を覗く。
誰もいないのを確認すると。
「はあ。危なかったぁ」
ほっと息をはく。
「……ったく、なんちゅーメイドや」
金属の枠を外して風呂場に着地。
そう。彼女こそが犯人だった。
と言っても元はただの使者だったのだが。
「勢い余ってまったわぁ」
宮中のメイドがあまりに可愛らしかったので、
つい
「パジャマ」を着せてしまったのだった。
しかし、これは……、同時に宣戦布告の合図でもあった。
「まったく悪い手や」
ぺちんと左手を叩く。
しかし、
「あかんわぁ。もう出れへん」
行き場を失った
もうかなりの距離を走り回っていたので、この女にはほとんど体力が残っていなかった。
風呂場でよろよろと
「壁」に手をつく。
すると、
ゴゴゴゴゴッ
「な、なんや!?」
壁の岩が動き出し、
小さな空間と、謎の階段が現れた。
「……」
ごくり、と喉を鳴らす女。
「……もしかすると、これで逃げられるかも……」
そう言って、
パジャマ女は慎重に登っていったのだった。




