銀髪メイド「ララ」
「閣下、侵入者はこの者です」
銀髪のメイドがアクバル王に一人の男を差し出した。
その男は後ろ手で縛られており、突き出されたためバランスを失い、その場に転んだ。
「うーん」
若干20歳のアクバル王は、どうやら同じくらいの年らしい侵入者を見て唸った。
「なんだか怪しくないね」
侵入者はどこから見ても旅人で何かを企んでいるようには見えなかったのだ。
「ですが、万が一のことを考えまして、」
その長身のメイドが冷静に言った。
「処刑しましょう」
「って馬鹿いうなっ!」
その言葉に驚いた男が必死に逃げようともがいたところ、男の足がそのメイドに引っかかり、王の方を見ていたメイドは……
「きゃあっ」
前方に転び……
「うわあああ」
男の元へ倒れこんだのである。
すべては一瞬の出来事だった。
…………
男がふと目を覚ました。どうやらちょっと頭を打って気絶したらしい、と思うやいなや、
むにっ
男に顔に柔らかい感触。
むにっむにっ
その柔らかいものは男の顔で暴れた。
むにっむにっむにっ
男は気持ちよくなって顔をうずめると、
スパーン
叩かれた。
目を開けると、
スリッパを持った小柄なメイドの隣に、
顔を真っ赤にした銀髪メイドが、
男を睨んでいた。
「お、おのれ……、貴様わざと……」
メイドからは並々ならぬ殺気が感じられ、
男は今自分が
「ヤバい」状況らしいと、わかった。
わかってもどうしようもなかったが。
まもなくして銀髪メイドが叫ぶように宣言した。
「この者を処刑に課す!!」