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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第3章 旅する幼女
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愚痴が長い!

「私は成人してすぐに森を出て、人の町に行ってハンターになりました。弓が使えますし、力には自信があったのでハンターとしてやっていけると思ったんです」

「エルフの成人って何歳ですか?」

「50歳です」


さすがエルフ。ファンタジーっぽい。


「最初はハンターランクが低いので同じようにランクの低い人達とパーティを組んでいたのですが」


急にビアンカの雰囲気が変わってきた。


「私がエルフという事で最初は歓迎されたんですが、魔法が使えないと分かると、だんだん態度が悪くなってぞんざいな扱いをされるようになったんです」

「魔法が使えない?」

「はい。ちゃんと最初に言っているんですよ? 『魔法は使えない』って」

「全てのエルフが魔法を使えるという訳ではなくて、苦手な人や、私みたいに全然使えないというエルフだっているんです! それなのに、『エルフ』というだけで当たり前のように魔法が使える事を期待されるんです!」


だんだんエキサイトしてきたビアンカ。あれ? でも、さっき……


「魔法で水を出せると言ってなかった?」

「それは自分で少し飲めるだけの量です。パーティメンバー全員に行き渡るほどではないです」

「あ、そう……」


「それに、人がエルフに期待しているのは大規模な攻撃魔法や強力な支援魔法などです。でもそういうのは使えないんです。使えるのは、薪に火をつけるとか小さな明かりを灯す事ができるとか、ちょっとした事だけです」

「それは魔法が使えると言っていいのでは? 便利そうで、ハンター業でも役立つと思うんだけど」

「そういうのは別に魔法じゃなくてもいいので」


それはそうだけど。


「そういう『小さな魔法』を使うと『やっぱりエルフだから魔法使えるんでしょ?』って言われて……それで魔物討伐の時に魔法を使う事を期待されて、使えないと分かるとがっかりされるんです! 私、最初から使えないと言っているのに!」

「お、おう」

「『何ができるか』の確認って重要な事じゃないですか? それで『できない』って言った事を期待されるっておかしいじゃないですか?」


それは確かにおかしい。命がかかっている事なのに、そういう人間もいるのだろうか?


「『弓と盾で頑張ります』って言っているのに、『エルフ』というだけで魔法魔法魔法って……」

「まぁ確かにそれはおかしいね? あ、お粥まだ食べる? まだあるよ?」

「いただきます。ありがとうございます!」


「それでも弓があるうちはまだよかったんです。でも魔物討伐の最中に魔物に弓を壊されてしまって、新しい弓を買うお金が無かったので、お金を貯める為に盾役で頑張ってるつもりだったんですけど、盾役っていっぱいいるじゃないですか?」

「えーと、そうかな?」


いるじゃないですか? と言われても。


「盾役は魔力強化ができれば後は盾を買って痛いのや怖いのを我慢すればいいだけで、特別な技術とか経験とかあまり必要無いじゃないですか?」


無いじゃないですか? と言われても。そうだったっけ? あまり詳しくないわ。

あと、弓と盾役って同時にできる事じゃないような? 前衛と後衛じゃないの? それ。

弓が無くなってから盾役に専念しているという意味かな?


「だから盾役はいっぱいいて、どのパーティーにも複数いるんです。それに盾だと直接魔物を倒す訳じゃないから、報酬を分配する時、貢献度を低くされたりするんです」


それは明らかにおかしいような。

直接倒さないやつの評価を低くすると、斥候とか支援型が割を食うじゃん。それも重要な役割なのに。


「パーティーって基本等分割じゃなかった? 低いランクの場合は特にそうでしょう?」


経験の浅い人間には貢献度を客観的に判断する、というのは難しいから、揉めない為に低いランクのハンター同士の場合は皆報酬は等分割という契約を結ぶ、と前にジュディが言っていたような。


「でも、『お前の代わりはいくらでもいる』って言われると、あまり強くは言えないんです。実際にそうなので」

「えー……」


それ、ただのブラックパーティーなんじゃね?


「あ、おかわり自分で好きなだけよそっていいですよ」

「ありがとうございます!」


「何とかお金が貯まるまでは我慢しようと思ったんですが、盾も消耗品なのでお金がかかって、それでなかなかお金が貯まらなくて」


何だろう、何か他人事とは思えなくなってきた。


「それでこのままではいつまでたっても良くならないと思って、そのパ-ティーをやめて別のパ-ティーに入ったんですけど、そこでも同じ事があって」


「そうやっていくつかのパ-ティーをやめていくうちに入る事ができるパーティーが無くなってしまって」


「それで1人でもハンターを続けて何とかお金を稼ごうと思って森で狩りをしていたんですが、ゴブリンに捕まってしまって……気が付くのが遅かったです」


「やっぱり余裕が無いと無理が生じてしまうのですね。いい勉強になりました」


「お、おう」


勉強っていうか死にそうになってるじゃん。苦労しているなあ。


「大体おかしいんです! 人間だって皆が魔法使える訳じゃないですよね? 皆が剣が使えて弓ができて文字が読めて料理ができて、何でもできるという訳ではないですよね? 一つしかできないとか、何もできない人だっているじゃないですか!」

「お、おう、そうかな」


また興奮し始めた。


「『人間なら槍が使えて当たり前だ』なんて言わないですよね? それなのにどうしてエルフなら魔法が使えて当たり前だろうとか、エルフなのに攻撃魔法使えないの? なんて言われないといけないんですか?」

「そ、そうだね」


「挙げ句の果てにはエルフなのに力自慢は不自然だとか、エルフなのに胸が大きいのは変、とかいやらしい事言われたり!!」


うっ、ゴメン。それ俺も思ったわ。特に胸の件。

エルフの女性ってスレンダーで胸はぺったんこじゃないの? とか思ったわ。


「人だって魔力強化を使っているじゃないですか! 女性のハンターは皆使っていますよ? どうしてエルフが魔力強化を使っちゃダメなんですか!?」

「ダメとは言ってないんじゃ……」


「おかしいです!」

「そ、そうだね」

「胸が大きくて何が悪いんですか!?」

「そう……だね」


エルフ娘の愚痴が止まらない。よほど鬱憤が溜まっているのか……

おっと、いけない。服を作らなくては。

布を取り出して作り始める。


「『エルフって肉食べないんでしょ?』って言って私のお皿から肉を取ろうとしたり! そんな訳無いじゃないですか! 肉を食べないでどうやって大きくなれるというんですか!?」


ばいんばいん! 大きな胸を揺らしながら力説するエルフ娘。


「『エルフって木の上に家を作って住んでいるって本当?』なんて聞いてくる人もいるんですよ? 木の上に住むなんて不便なだけじゃないですか!? 常識で考えれば分かるでしょう!?」


もうハンターと関係ない話になっている……

ビアンカの服はどんなデザインにしようかな?


エルフっぽいのがいいな。ゲームキャラみたいなやつ。

色は緑がいい。緑色の布、買ったはいいけど使えなかったんだよね。

シルヴィアにもエクレールにも合わないからさ。


「『エルフは手先が器用なんでしょ?』って決め付けられたり! じゃあ不器用な私はエルフじゃないって言うの!?」


どんな場面でそれを言われたんだ……


「不器用なの?」

「弓が壊れた時にお金が足りなくて新しいのが買えないって言ったら『自分で作ればいいじゃない』って言われて、魔物相手に使える弓なんて素人が作れる物じゃないですよ? 作れないって言ったら『エルフは皆手先が器用なんでしょ?』って、そんな訳あるかー!!」


「人だって器用不器用があるじゃないですか! 器用な人が人間なら、不器用な人は人間じゃないっていうんですか!?」

「そ、そうだねー」


これ、いつまで続くのかな……


「これは偏見! エルフに対する偏見です! そうは思いませんか!?」

「そうだねー」


エルフって○○なの? という聞き方はしないように気をつけよう。

だが服のデザインは別の話。エルフっぽく作るぞ!


「聞いていますか? セシリアさん!」

「聞いてるよー」


ビアンカには似合いそうだ。裁縫スキルですぐにできるよー。

スパッツというかレギンスはいるかな? 定番だけど暑いからなぁ。いらないか。でも一応作っておく。


「エルフの盾役がいたっていいじゃないですか! 何がいけないんですか!?」

「そうだねー」


下着はどうしよう? 作る事はできるんだけど、着るかなぁ? これも一応作るか。


「本当に聞いてくれていますか? セシリアさん!」

「聞いてるよー。ビアンカさんは『シールドバッシュ』ってできますか?」

「できますけど、あれは丈夫な盾が必要で、そういう盾は高価なので……」


買えないか。

丈夫な盾ならあるぞ。重いけど。土魔法で作ったやつ。


「それなら私が作った盾を試してみませんか? 魔法で作った盾で、かなり頑丈ですよ」

「えっ?」


いろいろとかわいそうだとは思うけど、いつまでもエルフ娘の愚痴につきあってはいられない。

服も出来上がるし、そろそろ切り上げよう。


「食事はもういいのですか?」

「あ、はい。たくさん食べる事ができて嬉しいです。こんなに食べたのは久しぶりです。凄く美味しかったです!!」

「それは良かった」


食事をする手が止まっていたからもう満足したのかと思ったら、そうではなく単に全部食べ尽くしていただけだった。


うん、全部食べたんだね。もう何も残っていなかったわ。

かなり多めに用意したつもりだったんだけど。


話をしながらたくさん食べるって器用だなー。俺、これができないんだよねー。

別にできなくてもいいんだけど、ちょっと羨ましいわ。




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