【改訂版】RTした人の小説を読みにいく危うさ
⚠この章は過去の作品を加筆修正したものです。
チロン 「御主人、御主人っ! ボク様、ツイッターでいいモノを見つけたのです!」
黒崎 「いいモノというと、超絶キュートなチビロリ美乳JCが極小ビキニでサンバを踊ってポロリ♥ みたいな動画が満載な裏垢とかか?」
チ 「…………」
黒 「犬のフンを踏んだ靴の裏を見るような目で凝視するのはやめれ。で、いいモノって何よ」
チ 「これなのです」
黒 「どれどれ──?」
〈#RTした人の小説を読みにいく〉
黒 「──よくあるハッシュタグだな。これがどうした?」
チ 「御主人みたいなド底辺の自称ウェブ作家さんごときは、このタグで耳目を集めて売名しまくるといいのです」
黒 「さりげなく魂を踏みにじってくれる言い回しはさておき、僕様のためを思っての提案であることには感謝しよう。だが、断る」
チ 「きゅきゅ? なんで?」
黒 「語弊をおそれずに言うなら、なんか胡散臭いから」
チ 「……? どうしてなのです? たくさんの創作仲間と繋がるのは、いいことだと思うのです」
黒 「純粋に切磋琢磨する関係ならね」
チ 「あう。いつものことながら言い方が魯山人式納豆混ぜ混ぜ法なみにネチっこいのです」
黒 「考えてもみなよ。『なろう』をはじめとする小説投稿サイトにはタグで作品を取捨選別できる検索機能があるのに、何故わざわざツイッターで募集するんだ?」
チ 「創作仲間と繋がりたいからでは──?」
黒 「だったら最初からそう言えばよくない? あくまでも独断だと前置きしたうえでホザこう。『RTした人の小説を読みにいく』系のハッシュタグ(以下・RT読みタグ)を使う主たる目的は、暗に相互評価を目論む人脈作りでなのではないか、と」
チ 「きゅきゅー……それはゲスの勘繰りかもなのです。やっぱり御主人はレベッカさんを食い逃げした自意識こじらせマッシュルーム野郎もビックリなゲスの極みワナビなのです」
黒 「その台詞、自分がそのゲスの極みワナビのゲスい嗜好の産物だと知っての狼藉か?」
チ 「あうー。生まれてきてごめんなさいなのです。ぐすん」
黒 「迂闊に笑えない漫才はさておき、本題に戻る。確かに、純粋に小説が読みたくてRT読みタグを使う人もいるだろう。それは否定しない。が、だとしても関わるのはリスキーだと思わざるをえない現実がある。
少なくとも『よかったら私の作品も読んでね』的なコメントが付随してたら、地雷と思ったほうが無難かと。あわよくばポイント稼げるかもって程度の下心ならまだしも、なかにはド痛い人もいるからね」
チ 「ド痛い人って、たとえば?」
黒 「いきなりDMで相互評価を持ちかけてきて、断ったらブチ切れて二千字超えの罵詈雑言をよこしてブロックする奴とか。ちなみに、これは実体験だったりする」
チ 「あらま……それはド痛いのです」
黒 「ちなみに一部始終は保存してあるから、そいつ氏の作品が書籍化されるようなことがあったら有意義に使わせてもらうけどね。ふはははは、怖かろう」
チ 「さすが御主人。根に持たせたら寝取られ鉄仮面サイコ野郎の比ではないのです」
チ 「でもでも御主人? そういうヤバげ怪しげな問題ありありなら、どうしてRT読みタグを使う人が多いのです?」
黒 「単に相互評価予備軍と思われかねないリスクに気付いてないだけじゃないかな。あるいは大丈夫だろうとタカをくくってるか。実際、RT読みタグ自体はあくまでもグレーで、クロではないわけだし」
チ 「うーん……グレーなら、とりあえずは安全な気もするのですが」
黒 「いや、あながちそうとは言い切れないぞ。RT読みタグ使用者が相互評価クラスタの容疑で追放されたりしたら、それとは知らずに接触してしまった人も巻き添えを食うおそれがある」
チ 「あやや。それは怖いのです」
黒 「さらに言うなら、界隈には有料でレビューやポイント提供を請け負うようなエグい輩もいる。運悪く、そんなのに出会してしまうと、あらぬ疑いをかけられない。そういう意味でも、RT読みタグに関わるのはリスキーだと思う。要は〝瓜田に履を納れず〟ってやつさ。ま、あくまでも個人的見解だけど」
チ 「きゅきゅー。言いたい放題のすえに小狡い人間の常套句で予防線を張るとは、さすがの姑息ぶりなのです。そこにシビれる憧れるぅ! のです」
黒 「………お前のネタ、いちいち古くね?」
◆ ◆ ◆
黒 「さて、ここからは切り口を変えて、RT読みタグの無難な使い方について語るーにゃ」
チ「あれだけディスっておいて使い方の考察っておかしくね? と思う純情可憐なボク様に納得のゆく説明をしやがりくださいませなのです」
黒 「なかには正しい──というか安全な使い方をしてる人もいるんで、そのあたりもフォローしとかないと片手落ちかと思った次第」
チ 「さては御主人、ここにきて日和る気充填120%ですか?」
黒 「否。RT読みタグが胡散臭いという自説は曲げない。ただ、臭くない人もいるよねってことを言いたいのである」
チ 「ふーん。たとえば?」
黒 「実例を挙げるなら、『相互評価の意図は無いのでブクマ等はしません』と宣言してる人がいた。この人も書き手だったけど、募集ツイで自作の宣伝をしていなかったし、RT読みタグの危険性を認識したうえで利用してると思われる。少なくとも『必ず感想書きます』みたいな甘言で釣ってる人よりは、はるかに信頼できるよ」
チ 「なるほど」
黒 「実際、感想やブクマで釣ってる人、けっこういるんだよね。そんなの通報厨に見つかったら玩具にされかねないのに」
チ 「RT読みタグで相互評価の容疑をかけられて通報されたとして、BANされる可能性はあるのですか?」
黒 「どの程度かは判断しかねるけど、可能性なら確実にある。ためしに『必ず評価します』的なこと言ってる人を某小説投稿サイト(なろうではない)に通報してみたら、ほどなく垢BANされたしな」
チ 「試したんかーい!」
黒 「生贄一人で仮説を立証できたんだ。安いものさ」
チ 「……御主人、たぶんロクな死に方しないのです」
黒 「かもな。けど、たった一件の通報だけで機械的にBANされるとは思えないから、他にも何かしらの不正を疑うに足る行為があったんだろ」
チ 「だとしても、なんか後味が悪かったりしないのです?」
黒 「正直、しない。かといって飯ウマとも思わないけど。ともあれRT読みタグを活用するなら、あらかじめリスクを見極める必要があるってことさ。
具体的には──
① 募集ツイに自著の宣伝をぶっこんでる
② 評価・レビュー・感想等を約束してる
③ 頻繁に募集してる
④ 募集する作品数が無制限
⑤ サイトや作品のジャンルを問わない
──こういうケースが芳しき地雷フレーバー。とにかく数を集めたい思惑が透けて見えるような人は避けたほうがいい。
これらの地雷要素に当てはまっても、募集者が読み専さん(創作活動をしない人)なら基本的には〝安全〟なんだけど──読み専さんのふりして自著をステマしてくるナイス害もいるんで要注意」
チ 「うーん……そうなると、どれもこれもデンジャラスな事案ばっかに思えてオールレンジ疑心暗鬼アラート鳴りっぱなしなのです」
黒 「まあ、そうなっちゃうのよな。でも、大丈夫そうな人も少なからずいるよ。ツイ垢フォロワー百人ちょっとの僕様ですらタイムラインでチラホラ見かけるんだから、探せばたくさんいるだろうさ」
チ 「ほほー。低浮上のうえにほとんど他人様と絡まない人見知り気質のせいで思うようにフォロワーさんが増えないヘタレな御主人の薄ら寂しいツイ垢でも見つかるのなら、希望はあるのです」
黒 「…………泣いてもいい?」
──終劇──