襲い来る悪夢!そして第2の悲劇です!?
わたしが代表……ですか?
無理です、無理です。スターさん、ここは素直にカイザーさんにしましょう。
新米のわたしよりもカイザーさんの方が実力も高いですし、何よりわたしは闘いたくないんです。
美琴は心の中でこのように抗議したものの、気が弱い性格のため当然ながら口に出せるはずもなく、引きつった笑みを浮かべることしかできなかった。
「頼んだよ、美琴ちゃん! スター流の命運は君にかかっているのだからね」
「は、はい!(滝汗)」
返事はしたが、不安は消えるはずもない。
この日、美琴は部屋に戻ると早めに就寝しようとした。
明日に備えてということもあるが、何より心配な現実から逃れ楽しい夢を見ようとしたのだ。
時刻は八時だったが、彼女はパジャマに着替え、歯磨きをしてベッドの中に入る。
布団をかぶって夢の世界へと旅立つが、彼女の夢の中に出てくるのは、メープルが貫手でいとも容易くHNΩを葬った時の光景だった。
どれほど忘れよう見ないように心がけても、夢の中で何度もその映像が再生されてしまう。
「ハア……ハア……ハア……」
荒い息を吐き出し、ベッドから飛び起きると彼女は全身が汗でびっしょりであることに気付いたのだ。
額に触れると汗が冷たい。
冷や汗だ。
「わたしはどうしたというのでしょう。
メープルさんが怖いのでしょうか。
怖いのは事実かもしれませんが、早く眠らないと決戦に悪影響が出ますし……」
思案し、再びベッドに潜るが、再度同じ夢を見て跳ね起きる。
一時は巨大なおにぎりを食べる夢で楽しむことができたが、その楽しさはすぐに地獄へと変貌する。
結局、彼女は一時間おきに一度目が覚めるということを繰り返し、翌日を迎えてしまった。
「おはようございます」
「美琴さん、どうしたの。目の下に凄いクマが出来ているんだけど。まるで目黒怨みたいだね(苦笑)」
「昨日、怖い夢を見てしまって寝不足なんです」
「どんな夢を見たの?」
「メープルさんがHNΩさんに止めを刺しているシーンです」
「それは災難だったねえ。気分をよくするためにも、朝ごはんにしようよ」
「それがいいですね」
ヨハネスの提案に美琴も賛成し、食堂へ向かう。
だが、そこでは第2の悲劇が彼女を待ち受けていた。
「朝食はトーストですか!?」
「何もそんなに驚かなくてもいいと思うよ」
「すみません。おにぎりだとばかり考えていたものですから(涙)」
「気持ちはわかるけど、まあ、たまにはパンもいいものだよ」
「……ですね」
「顔に生気を全然感じられないんだけど!?」
「……いただきます」
暗い声とクマのできた元気が失せた顔でパンを頬張る美琴。
黒いロングヘアなこともあり、今の彼女はまるで亡霊のようだ。
モソモソとパンを口に運びつつ、美琴は心の中で言った。
こういう元気のない日はできればおにぎりが良かったのですが、もしかしてスターさんはわたしの心を見抜いて敢えてパンにしたのでしょうか。
だとしたらかなりの嫌がらせに感じますし、悲しすぎます。
スターさん、教えてください。
どうして今日、よりによってパンなのですか?
そんな美琴の様子を察してかスターは会長室で温かいミルクを一口飲み。
「だって美琴ちゃんがお米を食べ過ぎるから、もうこのビルには米が一粒も残っていないからねえ」




